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福岡市が公表している旅館業法の簡易宿所の施設数によると、2017年12月末時点の市内簡易宿所施設数は169施設(866客室)で、2016年12月末時点の施設数54施設(379客室)から1年間で約3倍に増えたことが明らかになった。
一方でホテルの総施設数は169施設(2016年12月末時点)から180施設(2017年12月末時点)へ微増、旅館は92施設(2016年12月末)から95施設と微増にとどまり、簡易宿所の増加が目立つ。
福岡市では、国家戦略特区法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊である特区民泊の営業を行うことはできないため、市内で民泊の営業を行う場合、旅館業法の許可を取得するか住宅宿泊事業の届出が必要だ。
福岡市内で民泊を手掛ける企業によると、「訪日客の増加および民泊ニーズの拡大を受けて、簡易宿所が市内で急増している」との声も聞かれていたが、実際データの上でも簡易宿所を活用した宿泊施設が増えていることが明らかになった。
福岡市では、2016年に福岡市旅館業法施行条例を緩和し、集合住宅における宿泊施設と住居の混在を禁止する規定や簡易宿所営業施設におけるフロントの設置義務規定について、一定の要件を満たしている場合に例外規定を追加していた。
簡易宿所が急増しているのは福岡市だけではない。福岡市同様に、訪日外国人からの人気が高い京都市でも同様に、ホテルや旅館を差し置いて簡易宿所が急増している。
京都市が公表した旅館業施設数の推移によると、2017年度(12月末)の簡易宿所施設数は2,210件で、2016年度の簡易宿所施設数は1,493件から1年間で約2倍に増えたことが明らかになっていた。
一方でホテルの総施設数は163(2015年度)から182(2016年度)へ微増、旅館は369(2015年度)から368と微減にとどまることから、簡易宿所の増加が目立つ。
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今年6月に一定のルールのもとに民泊を解禁する住宅宿泊事業法が施行されるが、民泊の最大営業日数は年間180日以内と限られ民泊の営業のみでは採算が合わないのが実状だ(福岡市では住宅宿泊事業法を区域・期間で制限する条例はない)。
物件の供給側については住宅宿泊事業法の施行や旅館業法の規制緩和など過渡期にあるが、民泊にに宿泊することに対するニーズは依然として高い。今後は、引き続き簡易宿所を中心に民泊ニーズを捉えた宿泊施設が増えるとみられ、同市も「民泊」スタートアップガイドを作成するなど対応を強化する。