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来年施行される住宅宿泊事業法をまえに東京都大田区は12月8日、全国で初めてとなる民泊条例を成立させた。同日の区議会で可決し、住居専用地域と工業専用地域などでの民泊営業が全面禁止になる。条例は住宅宿泊事業法(民泊新法)に合わせて6月15日に施行される。
住宅宿泊事業法ではこれまで民泊の営業が認めれていなかった住宅地でも民泊の営業を可能とする点が大きなメリットとなっているが、大田区は独自の条例により住居専用地域での民泊を全面禁止とした。
民泊は主に外国人観光客に利用されることから、多くはごみ出しのルールの不徹底、早朝・深夜の騒音問題などが一部で起きていることを踏まえ、平穏な住環境を確保するのを狙う。
大田区では民泊事業者に、近隣住民への事前説明を行うことや宿泊者に対面での案内なども求めていく。トラブルや不測の事態での対応など、住民の不安を解消することが目的。民泊新法を条例で規制強化することによって、住民への負担を軽減させていく考えだ。
大田区は民泊の先駆けとして2016年1月に、民泊条例を施行。特区民泊として解禁され、同4月に大阪府でも施行された。ただ、特区民泊は「6泊7日以上」という宿泊規定があり、柔軟性に欠けることがネックになっていた。
今回の大田区の民泊条例では、特区民泊の要件の一つであった「6泊7日以上」という最低宿泊日数を緩和。「2泊3日」以上とし、18年3月15日から施行することもあわせて成立した。民泊条例では住民保護の観点から無許可民泊に対する規制を強化する一方、緩和策も講じて弾力的に運用していくという。
このほか、全国的に問題になっている無許可民泊の調査にも本格的に乗り出す。8日の区議会では調査の必要経費として、320万円の計上も可決された。
全国でも大田区と同様に、民泊を条例で規制する動きが数多く出ている。京都市や東京23区内外、北海道、長野などでは、民泊新法の施行に合わせてた独自の条例制定に向けて調整が進んでいる。
多くの自治体では民泊新法の年間営業日数の180日の上限をさらに短縮したり、大田区と同様に民泊営業のエリアを限定させる内容だ。大田区以外にも複数の自治体で独自の民泊条例が全国で成立する見込みが高い。
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