全日空(ANA)のエアバスA380型機が2019年春、東京/成田~ホノルル線に就航する。これに合わせ同社は、ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に自社ラウンジ「ANA SUITE LOUNGE」と「ANA LOUNGE」の新設を発表した。同社の平子裕志代表取締役社長は5月30日の会見で、「ANAならではのホノルル線のわくわく感を感じていただけるよう、大いに期待をしている」と述べた。
日系航空会社によるハワイ路線は、ANAが東京/成田~ホノルル線の1日2便と、東京/羽田~ホノルル線の1日1便。これに対しJALは、東京/成田~ホノルル線の1日4便、大阪/関西~ホノルル線の1日2便、名古屋/中部~ホノルル線と東京/成田~コナ線の各1日1便と、合計8便を運航する。ANAも2016年から両路線の機材更新を進めるなどテコ入れを図っているが、“ハワイと言えばJAL”という世間のイメージは未だ根強い。平子社長は「この概念を変えたい。そう思って今回このような飛行機(エアバスA380型機)を導入した」と意気込む。
同社のエアバスA380型機の機内仕様は、ファーストクラス8席、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミークラス73席、エコノミークラス383席の全520席。導入にあたっては、「思いっきり面白い飛行機を作ろう」(平子社長)と、社内でプロジェクトチームを立ち上げて様々な検討を行ったという。平子社長が「奇想天外なシート」と語る「ANA COUCHii」は、隣接する3~4席のレッグレストを上げてベッドのように使えるカウチシートで、エコノミークラスの一部に導入する。「主要ターゲットを家族やカップルと定めてシートをデザインした」という言葉通り、ビジネスクラスにはペアタイプのフルフラットシートも設置された。
総座席数は、現在運航しているボーイング787-9型機(全215席または246席)と比べ2倍以上となる。平子社長は「(東京/成田~ホノルル線の)搭乗率は今、90%を超えているので、乗りたくてもお乗りになれないというお客様がたくさんがいる」として、潜在的な需要の取り込みを狙うという。さらに、会見に同席したANAホールディングスの片野坂社長が「ハワイはレジャー路線という先入観が強いと思うが、意外とビジネスのお客様がいらっしゃる」と付け加え、「欧米(路線)と同じように、エコノミークラスとビジネスクラスの中間に乗る方が確実にいるのではないか」と、プレミアムエコノミークラスに一定のビジネス需要を見込んだ。
また、同日発表されたダニエル・K・イノウエ空港のラウンジは、海外空港においてANAが自社で運営する唯一のものとなる。同空港では最大のラウンジとなり、「他社ラウンジの倍以上は(広さを)確保している」(平子社長)という。平子社長は「リゾート路線の象徴としてハワイにしっかりと投資していく」と、ホノルルに自社でラウンジを持つことの背景を述べる。そして「乾坤一擲、ハワイの概念を変える。勝算を持ちたい」と、これまで後れをとっていたハワイ路線戦略において攻勢に出る構えを見せた。