この度トーヨーカラーが開発したリチウムイオン電池正極材用導電CNT分散体LIOACCUMは、独自の分散技術を用いることで安定したCNT分散を可能にし、リチウムイオン電池の高容量化を実現することでEVの航続距離を伸長するほか、電池の安全性、小型化、充電スピード向上、耐久性向上といったリチウムイオン電池が抱える課題を解決する。
トーヨーカラーの高い技術力と、自動車の四大市場である北米、欧州、中国、日本に安定供給可能な生産拠点をもつ唯一のCNT分散体メーカーであることが評価され、リチウムイオン電池正極材用導電CNT分散体LIOACCUMは韓国のSKIで採用が決定した。本製品は、東洋インキグループのライオケム(アメリカ、 2021年2Q~)および東洋インキハンガリー(2022年1Q~)が製造し、SKIを経てフォルクスワーゲングループおよびフォード・モーター・カンパニーへ供給される。
東洋インキグループは、 2026年までの長期構想SIC27期間中に約100億円を投入し、北米、欧州、中国、日本、各拠点の車載用高容量バッテリー向け分散体生産設備の増強と安定供給を図る。売上高200億円を目指し、本事業を東洋インキグループの中核事業へと成長させていく。さらに、負極用CNT分散体を早期に実現することで、リチウムイオン電池のさらなる性能向上を達成し、世界規模でのEV普及を通じて持続可能な社会の実現に貢献していく。
トーヨーカラーはカーボン分散に強みを持ち、2015年よりリチウムイオン電池正極材用カーボン分散体を供給し、リチウムイオン電池材料メーカーとしての信頼と実績を積み重ねてきた。
リチウムイオン電池の正極材は、主に活物質と導電材、バインダーから成る。導電材にカーボンブラックではなくCNTを用いることで、少量の導電材で導電性能を発揮することができる。トーヨーカラーは、CNTメーカーとの協業により高性能CNTを開発し、さらに独自の添加剤と分散体製法を用いてCNTの分散性と導電性を飛躍的に高めることで、より少ない使用量でリチウムイオン電池正極の抵抗値を大幅に下げることに成功した。
これにより、リチウムイオン電池の導電材コストを低減するとともに、正極中の活物質増量を可能にすることで電池の高容量化を実現し、EVの航続距離の伸長や急速充電性能の向上を実現する。