新たな日産SUVの国内市場登場への期待を込めて、そしてエールを送る意味で、マニアックな四駆専門誌編集長が、今なお人気が高く、かつて愛車としていた「日産・初代サファリ愛」(?)を語ります。今回は引き続き初代サファリの年譜を、いわゆる「後期型」モデルを中心に振り返ってみましょう。
走りの質やバランスは良し。しかし市場ニーズへの対応は今一歩?
1983年9月、ターボ車の追加、ミッションの5速化、足回りやファイナルレシオの変更を伴って型番を161に移行。キャブシャーシのFG161以外は角目ヘッドライトとして、印象を変えた。便宜的に、これを初代サファリの3期目としたい。
新しく追加されたエクストラバンハイルーフはおデコに色付きガラスの「スタールーフ」をはめ込み、パノラマデッカーの観光バスを思わせた。しかし運転中にどうも気が散るというか、ありがたみを感じないものだった。案の定、同じルーフ形状を持つY60系では廃止された。
もともと柔軟な足だったが、さらにソフト化したサスペンションを一部のグレードに採用した。これは軽積載仕様とされ、短尺車の場合400kgから250kgへ、長尺車で500kgから350kgに積載量が落とされた(2名乗車時の数値)。
いわゆる4期目となる最後のマイナーチェンジでは、小改良やグレード整理のほか、全グレードでオールメッキのグリルになったり、オーバーフェンダー等で1ナンバー登録となる「グランロード」が加わった。ライバルを意識した過剰装飾の感はあり、このため「サファリ=派手」という、本来の持ち味とは逆の印象を持つ人が多くなったように思う。
「売り方が悪い」との声もあったが、いくら走りの質やバランスが良くても、車の性格を決める使い勝手やセンスが今一歩だと売れない。
旧パトロールのボディを4ナンバー枠に収まるように改良し、少し豪華にしてディーゼル化したほうが良かったという四駆好きの声も多かった。
どうせ新型ボディにするなら、輸出仕様にあった乗用車系のL28型+ATを投入したり、最初からターボ化していたら流れは変わったかもしれない。
結局「パッとしない実力派」という、あまり有難くないキャラクターを引きずったまま、サファリは昭和62年秋にコイルリジッドサスペンションを持つY60系の二代目に移行していくことになる。
海外では継続生産され愛された161系サファリ
161系はスペインの日産モトールイベリカでも生産され、コイルサスのY60二代目サファリが発売されて以降も継続し、260系として欧州で人気を博した。
260系はY60系と共通イメージのフロントマスクに、2.8ℓOHCのRD28型ディーゼル(ターボの有無を設定)を搭載する。これは乗用車系の高速型ディーゼルで、国内のサファリスピリット(WYY60)と同じである。
ランクルのラインナップにもいえることだが、リーフサスを好むユーザーもあっただろうし、継続生産はコスト面で有利だ。日産モトールイベリカは260系の生産終了後に、日本では「ミストラル」と呼ばれた「テラノⅡ」の生産を開始した。
"サファリ沼"にはまれる(?)連載も、後期型の解説で終了と思ったら大間違い。次回はいよいよ試乗編。いま乗る初代サファリのインプレに乞うご期待!!