本開発品は、「浸炭鋼*1溶接保持器」と「高負荷条件用新クラウニング*2ころ」の開発により、こうした過酷な使用環境への対応を可能とした。保持器は、これまで使用していた特殊低炭素鋼よりも高強度な浸炭鋼を採用し、疲労強度を向上させることで、高速回転性能を従来品比で約10%向上させることに成功した。
ころについては、クラウニング形状を最適化することにより、傾き条件下においても、接触応力やエッジ応力の増加を抑制し、厳しい潤滑条件での表面起点型剝離寿命を改善する。また、クラウニング部の真円度の向上により回転時のころの挙動を安定させることで、従来品よりも約8%の静音化を達成しており、より静粛性が求められる電動車両のニーズにも対応する。
【特長(従来品比)】
・ 高速回転性:約10%向上。保持器に浸炭鋼を採用し、疲労強度を向上
・ 長寿命化:ころのクラウニング形状の最適化により接触応力を低減
・ 静音性:約8%の静音化(傾き条件下)、ころのクラウニング部の真円度向上により、挙動を安定化
【用途】 AT・CVT用遊星ギヤ、EV用減速機 等
なお、NTNは本開発品を5月26日〜7月30日に開催される「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」に出展する。
*1 浸炭熱処理を施したはだ焼き鋼
*2 クラウニング:ころの面取りと転動面のつなぎ目に発生するエッジ応力を抑えるため、転動面から面取りにかけて数ミクロンの傾斜をつけること