キャブコンは海外にもあるのだが、いわゆるモーターホームと言われる大きなサイズのもので、国産キャブコンのような大きさとパッケージングは、やはり日本のお家芸と言えるものだ。国産モデルの多くは、ハイエースかタウンエースベース、もしくはトヨタ・カムロードというキャンピングカー専用シャシーに居住部分となるシェルを載せて、内部に家具などの装備をインストールしていく。
多くの部分が手作りのため、どうしても納期が長く、またバンコンなどに比べると高額になってしまう傾向がある。価格帯は広いが、500万円台後半から1000万円くらいと、輸入高級車とさほど変わらないプライスになっている。昨今では快適な居住性が身上のキャブコンが台数を増やしているが、やはり高額なために、キャンピングカー愛好家たちの垂涎の的であることには変わりない。
そんな中、三重県のダイレクトカーズが一台の新型キャブコンを発売した。その名は「伊勢志摩」だ。
どうしてその名前からは後からお話するとして、まずはそのコンセプトから説明したい。ダイレクトカーズは元々、ハイエースベースのバンコンを得意とするビルダーだが、これまでも「トリップ」というハイエンドキャブコンモデルをラインナップに持っていった。
このモデル、とにかく付いていない装備はないのではというほど、充実かつ豪華な内容だった。価格も869万円から963万円と堂々たるもので、内容から考えると当然と言える。一方の伊勢志摩は、もっともベーシックな状態で632万円に抑えられている。その分、装備は必要最低限なものに抑えて、ライフスタイルに合わせてオプションで追加していくという形になっている。
サイズも手頃。同じカムロードベースながら、トリップの全長5150mmに対して伊勢志摩は4990mmと、若干だが取り回しがしやすくなっているのも、キャブコンエントリーユーザーには魅力のひとつだ。
さて、伊勢志摩の名前の由来についてだが、このモデルは地方の地場産業を支援するという「地方創生モデル」なるコンセプトが掲げられている。どの辺が地方創生なのかというと、内装に「伊勢木綿縫製」と「伊勢型紙」を使うことができるのだ。ただし、これらはオプション設定になっており、あくまでも好みで選べぶことができる...という内容のものだ。
ということで、今回はなかなかセンセーショナルな名前のキャブコンを紹介した。ダイレクトカーズは今年に入って、この伊勢志摩の他に「AMAHO」という軽キャンも発売しており、既存のラインナップから新規路線に振りつつある。伊勢志摩もその路線のひとつであり、ナッツRVの「クレア」や、AtoZの「アンソニー」といった人気モデルの対抗馬になりそう気配だ。キャブコンオーナーを目指している人は、ぜひ実車をチェックしていただきたい。
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