TEXT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
良品廉価を掲げるダイハツ。軽スーパーハイトワゴンの王者ホンダN-BOXよりも価格を抑えながら、タントのパワートレーンの仕上がりの良さは、N-BOXやスズキ・スペーシアを上回る。とくにターボモデルは、力感があるのは当然としてスムーズ。スプリットギヤを組み合わせた「D-CVT」と呼ぶトランスミッションとの組み合わせも、CVTのネガであるラバーバンドフィールをかなり抑制している。
後席のスライドは、リヤゲート側からはできず、リヤドア側に回って操作する必要があるが、「ミラクルオープンドア」側だけで荷物の出し入れは十分に可能。タントのオーナーはリヤゲートを頻繁に開け閉めしていないそうだ。こうした調査の上、掛けるべきコストを入念に選定している。
同門のプジョー208は、最新のプラットフォームを使うが、21年1月にマイナーチェンジを受けたばかりのシトロエンC3は、古い世代の「PF1」を使っている。それでも走りに古さはあまり感じさせないし、フランス車の古き良きソフトな乗り心地は、高い機動力が光る208よりもC3の方が濃厚に味わえる。1160kgという軽めの車両重量であれば、ハンドリングも乗り心地の面でも旧車体でもカバーできている印象だ。
C3の価格は235万円~257万5000円(特別仕様車は除く)で、249万9000円〜299万円のプジョー208よりも安い。その分、C3は6速AT、従来型クルコンなどに留まり、208のように8速ATではなく、アダプティブクルーズコントロールも設定されないが、タウンスピードでの快適な乗り味は、現行のBセグメントの中でも光るモノがある。
トヨタの現行ハリアーもスタイリッシュなエクステリア、高い質感を誇るインテリアを備え、都市型SUVの先駆者にふさわしいクールなムードを放っている。「トヨタ」ブランドを代表する高級SUVでありながら、先代ハリアーと同様に300万円を切るエントリーグレードを設定しているのが大きな魅力だ。
現行型も先代同様に開発陣からは、「若い層にも乗ってもらいたい」という声が聞かれた。実際に目玉価格である300万円を切る2.0Lガソリンの「S」を購入する人は少ないだろうが、ガソリン「G」も350万円を切る。ハイブリッドは「S」が358万円からで、「G」は400万円ジャストと大台に乗るものの、なんとか手が届くという方もいるだろう。
「プロジェクター式LEDヘッドランプ」や電動テールゲートを備える「G」以上を狙いたいものの、「S」でもハリアーらしい内外装は享受できる。
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