ホンダは空冷4ストロークOHC単気筒348ccエンジンを搭載した新型ロードスポーツモデル・GB350を2021年4月22日(木)に、GB350 Sを2021年7月15日(木)にHonda Dreamより発売。ここでは外観デザインを徹底検証してみた。


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

ホンダGB350…… 550,000円(消費税10%を含む)

GB350(キャンディークロモスフィアレッド)。全長×全幅×全高は2,180mm×800mm×1,105mm。重量は180kg。ホイールベースは1,440mm。

ホンダGB350 S…… 594,000円(消費税10%を含む)

GB350 S(ガンメタルブラックメタリック)。全長×全幅×全高は2,175mm×800mm×1,100mm。重量は178kg。ホイールベースはGB350と同寸の1,440mm。

インドではCB350の名称で大人気!GB350シリーズは国内にある「ものづくりセンター」が開発を担当

GB350/マットジーンズブルーメタリック

 GB350シリーズの開発テーマは、「日常から遠出まで~ The Honda Basic Roadster」。開発にあたっては、各技術領域において、




・車体:ライダーの存在感、ゆったりした操縦フィール、取り回しやすさ


・外観デザイン:Massive &Shaped Design


・パワーユニット:クリアな鼓動と力強さ




 を目標に定めた。




 日常的な扱いやすさはもちろん、「遠くにも、楽しく、安心して」知らなかった道や景色と出会うツーリングでの感動まで、豊かな「体験」をもたらすことをGB350シリーズが提供すべき価値と考え、新しいカルチャーの一端を担えるモーターサイクルを目指した。




 GB350シリーズは、車体、エンジンを始め、すべてを新設計。国内にある「ものづくりセンター」が開発を担い、世界中のあらゆる二輪車開発に携わってきた豊富な経験と最新の知見を存分に反映することで、Hondaのグローバルな品質水準と先進性を獲得している。

GB350 S/パールディープマッドグレー

 GB350シリーズの車体開発では、ライダーとモーターサイクルの一体感を見据えながら、市街地からツーリングまでの扱いやすさ、動力性能、外観との統合が図られている。


 


 車体のねらいは、ライダーの存在感、ゆったりした操縦フィール、取り回しやすさ。車両が最も引き立って見えるのは、ライダーが安心感と余裕を持って車両を扱っている状態であると考え、市街地から郊外、さらに長距離ツーリング、各場面での交通環境や車速、路面状況など様々なコンディションでの走り。




 また、押し歩きや駐車時などの車両取り回しまで、ライダーがGB350シリーズと体験する幅広いシーンにおいて、堂々と自信を持って扱えることがファンライドの前提条件と位置づけた。

GB350とGB350 S、ライディングポジションの違い

GB350とGB350 S、ライディングポジションの違い。

GB350のライディングポジション。ライダーの身長は168cm。

 GB350のライディングポジションのポイント。それは、取り回し性を考慮して引き寄せられたハンドル位置。これによりアップライトな上半身姿勢につながり、市街地の混雑した交通環境下などで、周囲の状況にもより目を配りやすくなっている。




 この快適で堂々としたライディングポジションによって、ライダーの存在感を強調しながら、安心感のある車体挙動が得られる諸元を設定。ホイールベース1,440mm、キャスター27°30′、トレール120mm、フロントフォークオフセット量45mmとし、クルーズ時のリラックス感や、大型モーターサイクルにも引けをとらない車格を実現。




 また、左右43°に設定したハンドル切れ角により、最小回転半径2.3mを実現し、市街地での機動性を獲得。さらにツーリングなどでの長距離走行を念頭に、フロントに19インチ、リア18インチホイールを組み合わせるなど、安心感のある特性に仕上げている。




 一方GB350 Sは、GB350のディメンションをベースに、より積極的な走りをイメージさせるスタイルが特徴。リヤホイールをGB350の18インチから17インチに小径化し、積極的な走りに応じたグリップ特性と高い安定感を両立する、よりワイドなラジアルタイヤを採用(130/70-18 → 150/70R17)。




 また、ライダーが荷重入力しやすく、同時により深いバンク角を確保するため、GB350比でメインステップ位置を、より後方上部に配置し、ハンドル位置をより低く、より遠く、絞り角をより浅く設定。




 これらにより、標準的なネイキッドスポーツのライディングポジションの範疇に収めながら、前後フェンダーの軽量化などによりマス集中化を図った軽快な外観イメージ通り、よりコーナリングを楽しみたくなる運動性能も備えている。

外観デザインのねらいは「Massive &Shaped Design」

 GB350シリーズの外観デザインは、ライダーにフィットさせた車体パッケージングにより得られる、ライダーの存在感とバランスのとれた「車両自体の存在感」を追求し、その調和の到達点として目指す姿を「外観デザインのねらい」として定めた。




 外観デザインのテーマは、「Massive &Shaped Design(重厚な形状のデザイン)」。スタイリング、車体、エンジン各担当者を始めとする、各技術領域のスペシャリストが一体となって、この高い目標を具現化。




 “骨格”としての役割を明確化した、スリムな鋼管セミダブルクレードル式フレーム、“ボディ”としての役割を代表する表情豊かなフューエルタンク、“象徴”としての空冷直立単気筒エンジンを、外観の印象を左右する核と位置づけた。




 そして内側に“骨格”を感じさせる立体的な“ボディ”とともに、エンジン周りなどに「空間」を設けることで、ライダーと車体の双方をアピール。この幅方向に奥行きを持った深い立体感が、GB350シリーズの外観の大きな特徴となっている。

GB350のイメージスケッチ。
GB350 Sのイメージスケッチ。
安定感のあるシルエットのイメージ図。

 GB350シリーズの安定感ある完成車シルエットは、




1:ダウンチューブ、ピボットパイプ、リアクッションそれぞれの角度を平行とした車体骨格のライン。


2:それを対称となる角度で受けるフロントフォークのライン。


3:タンク/シートなどを主としたライダーが触れる車体上側と、パワーユニット/足周りなどのメカニズムを主とした、車体下側を分ける水平ライン。




 以上の3つの要素によって構成。これらによって、ライダーの頭の位置、前後アクスルを頂点とする二等辺三角形を形作り、さらに腰下に水平線を通した安定感のあるシルエットを獲得。




 また、補機類のサイズや配置に工夫を重ねることで、シリンダー前後、前輪からヘッドパイプ周り、サイドカバー下部から後輪に抜ける“空間”を設置。この、意志を持ってスッキリと空けられた明確な余白は、構成部品の形状と量感を際立たせ、完成車のメリハリある姿に大きく寄与。




 これらによりGB350シリーズは、調和のとれた部品構成からなる完成車の佇まいを実現し、「GB350」「GB350 S」という2つのスタイルの選択肢を提供している。

GB350シリーズの「空間」を表したイメージスケッチ。

「GB350」外観デザインのポイント

GB350/マットパールモリオンブラック

 フューエルタンクを始め、前後フェンダーやサイドカバーなどの、スチールならではの深く絞られた温かみのある形状、アルミダイキャストによるクランクケースカバーや、冷却フィン端面を一枚ずつ切削加工して仕上げたシリンダーヘッドなど、主要部品を金属の豊かな表情でまとめた高品位な造りからくる、信頼感や落ち着きと抑揚が調和した外観が特徴。




 主な専用仕様は、




 ・クローム仕上げのマフラーとメイン/ピリオン別体の専用ステップホルダー


 ・ヘッドライト、テールライトのクローム仕上げと、スチール薄板(0.8mm)前後フェンダー


 ・スチール薄板(0.8mm)サイドカバー

「GB350 S」外観デザインのポイント

GB350 S/ガンメタルブラックメタリック

 フューエルタンクやエンジンなどの製法や仕上げは、GB350共通としながら、より現代的なイメージの灯火器、マス集中化に寄与する前後ショートフェンダー、よりワイドな17インチの後輪など、一層積極的な走りを喚起させる、軽快、ワイルドでスポーティーな外観が特徴。




 主な専用仕様は、




 ・リアホイール17インチ化と、よりワイドなリアタイヤ


 ・バンク角を増したマットブラックのマフラーとメインステップ位置を後退させた専用ステップホルダー


 ・より低く遠いグリップ位置のハンドル


 ・マス集中化と軽量化を図った前後ショートフェンダーと、よりコンパクトなテールランプ、ウインカー


 ・ライダースペースをより長く取ったワディングシート


 ・よりシャープな面構成としたサイドカバー


 ・コンパクトなアルミダイキャスト製リアグリップ


 ・フォークブーツ標準装備

各部のデザインのポイント

エンジン始動方式は、便利なセルフスターター。

 エンジンの外観は、力強くクリアな鼓動を生み出す源として、空冷、直立、単気筒という特徴を主軸に外観表現することで、機能美を導き出すことを追求。




 水平に配置されたスロットルボディからシリンダーヘッド、エキゾーストパイプ接続部は、吸気→燃焼→排気というエンジン機能の原点を想起。また、単気筒であることを強調するラウンド形状の空冷フィンは、放熱性を考慮し1枚ごとに形状変化させた構成により、空冷エンジンならではの立体感を獲得。そのシリンダーヘッド部フィン端面に施された切削加工の輝きは、前述の吸気から排気への流れを美しく表現している。




 さらに、クランクケース上部に低く配置したスターターモーターや、配管など細部にも配慮しカバーを廃したキャニスター、バランサーウエイトを内蔵するクランクケース前部など、補器類の機能的な配置を工夫することで、シリンダー前後にスッキリとした“空間”を設け、ロングストローク単気筒エンジンとしての存在感を引き立てている。




 これらにより、GB350シリーズのエンジンは、その鼓動がライダーに与えるフィールまでも直感させる外観を上手に実現。

ガソリンタンク容量は15Lを確保。

 フューエルタンクは、長距離ツーリングも考慮し15Lの容量を確保。また、大きく幅を絞ることで下半身の自由度を確保し、乗車時の端正な姿に大きく寄与。




 張りのある曲面から、左右ショルダーのエッジにかけて徐々に変化していく面の造形により、力強く立体感に溢れ、また材質や製法(鋼板プレス)と調和した温かみのあるイメージに作り込まれている。

 フロントフォーク上部は、ヘッドライト、メーター、ハンドルなど、多くの部品が集中するエリア。GB350シリーズでは、凝縮感のある配置のメーターとヘッドライトハウジング部、また、フロントフォーク摺動部からボトムブリッジ締結部までの長さや締め付けピッチなどの比率を吟味することで、信頼感や安定感のある外観に寄与。

 シートレールを支えるフレームサブパイプを、ピボットパイプの中ほどに接合することで、そこから後輪へと抜ける空間を作り出し、リアブレーキホースを下側に通したスイングアーム上面をスッキリと見せている。




 また、フレームサブパイプとピボットパイプ接合には鍛造製ブラケットを採用。二人乗り+荷物積載時の荷重入力も考慮した強度を確保しながら、スマートでコンパクトな外観としている。

 乗車時のライダーの存在感を重視したGB350では、メインステップの位置を最適化するため、メインステップブラケットをピリオンステップブラケットと別体としている。




 右側メインステップブラケット締結位置をフレームアンダーパイプ内側に設定(※特許出願中)することにより、低重心化を図ったエンジン搭載位置や、高い効率を発揮する触媒位置など周辺部品の高密度な配置を可能とし、バンク角を確保。

メインステップブラケットおよび締結位置(GB350)。

 全灯火器に省電力長寿命のLEDを採用。ロービーム時に上部3つと下部中央のLED灯体に加え、上下端のレンズを発光させる独自のスタイルとし、GB350シリーズの先進性を伝えている。




 また、各灯火器には両モデルとも異なる外観にデザイン。テールランプの他、GB350のウインカーでは、独自のアイキャッチとして灯体を取り囲むようにラウンド状に発光するポジションランプを採用。




 GB350 Sにはシャープなイメージの軽量コンパクトなウインカーを採用し、それぞれのキャラクターを魅力的に引き立てている。

 メーターは、トップブリッジのイグニッションスイッチとオフセットさせたコンパクトな配置とし、ライダー視界に解放感を与えている。アナログ指針式の速度計とLCD表示部で構成した車両状態を示すエリアと、ライダーに注意を喚起するコーションランプを集めたエリアを分け、豊富な情報をわかりやすく伝えてくれる。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 国内発売決定のNEWビッグシングル・ホンダGB350/S|外観と機能を解説