自由を謳歌できるバイクと、非日常感を楽しめるキャンプ。この二つの親和性が高いであろうことは容易に想像できるだろう。普段からツーリングを楽しんでいる、でもキャンプ用品は一切持っていないので何から揃えれば……。というライダーのために送るこの新連載。さぁ、あなたも今シーズンはLet's キャンプツーリング!




REPORT・PHOTO●大屋雄一(OYA Yuichi)

ライダーにとって北海道=キャンプツーリングだった

2019年の苫小牧フェリー乗り場の様子。ご覧の通りどのバイクも荷物が満載だ。北海道は今も無料もしくは1000円以下で宿泊利用できるキャンプ場が珍しくなく、また折りからのアウトドアブームもあって、それを楽しむために上陸したというライダーが非常に多い。

日本国内で最もバイクが売れたのは1983年のこと。この前後から1990年代にかけて、ほとんどのバイク専門誌(今よりもはるかに多かった)が毎年のように巻頭で北海道ツーリング特集を組んだ。北の大地を旅するライダーは、当時のバイクブームを支えていた若者が圧倒的に多く、彼らは少しでも旅費を浮かせるため、簡易宿泊施設のライダーハウスやキャンプを好んで選択した。これが日本におけるキャンプツーリングの第一次ブームと言えるかもしれない。

数ある移動手段の中で、なぜバイクとの親和性が高いのか

真冬にキャンプツーリングをしたときの筆者近影。防寒のためにどうしても携行品が増える傾向にあるが、それでも工夫次第で大型シートバッグとトップケースに全ての荷物が収まる。

そもそもキャンプとは「屋外で一時的な生活をすること」と定義されている。かつてのキャンプツーリングが旅費を抑えるための「手段」だったのに対し、ここ最近のアウトドアブームを発端とするそれは、キャンプ場で何かを楽しむという「目的」に重きが置かれているというのが、31年前に北海道で初キャンツーを経験した筆者の率直な肌感覚だ。


さて、キャンプ場までの移動手段は、公共交通機関や徒歩なども含めるとたくさんあり、筆者はバイク以外に4輪や自転車でも経験がある。それぞれにメリットとデメリットがあるのだが、比較的安価な用品で始められること、また現地までのルートも存分に楽しめるという点において、私はバイクでのキャンプが最も楽しいと感じている。

標高830mのふもとっぱらにて。氷点下が予想される12月上旬だったため、路面が凍結する恐れもあり4輪で移動した。もし寒さに耐えきれなくなったり、雨や雪が降ってきたとしても車内に逃げ込めるという安心感は、バイクでは絶対に得られないものだ。
折り畳み自転車で自宅から30km先の河川敷キャンプ場へ。積載量か限られるので、できるだけ軽量コンパクトな装備(一般的にUL=ウルトラライトと呼ばれる)が必要となり、それでも積みきれなければ「目的」のための装備を減らすことに。とはいえ、その制約も醍醐味の一つではある。
ある3人家族のサイトを拝見させてもらう。奥のテントがベッドルーム、手前のスクリーンタープがリビングという構成で、ファミリーキャンプでは一般的なレイアウトだ。
装備は全く異なるが、サイトのレイアウトは基本的に左のファミキャンと同様で、テントの奥は寝袋を置いた就寝スペース、その手前はキッチン兼リビングとなる。愛車を眺めながらの一杯は格別だ。

ブームを受けて、キャンツー向けのアイテムが続々登場!

一口にキャンプ用品と言っても、冬季登山用の非常に高価なものから、レクリエーションを目的とした安価なファミリー向けまでさまざまあり、そのチョイスはなかなかに悩ましい。最近はブームを受けてキャンプツーリング向けの用品が増えてきたので、今後はそれらについても紹介していきたい。

2018年にデイトナが独自ブランド「デイトナアウトドアサプライ」を立ち上げ、キャンツー業界に本格参入。その第一弾として発売されたのが、老舗アウトドアブランド「ogawa」とのコラボテントだ。
大型シートバッグの上面がテーブルに早変わりする、モトフィズのキャンプテーブルシートバッグ。このブランドはキャンツー向きのバッグを多数ラインナップしており、本格的に始めるなら要チェックだ。

あなたを全力で応援! ぜひキャンプツーリングの世界へ!

この連載では、必要なキャンプ用品とその選び方、ライダーに優しいキャンプ場の見分け方、安全な積載方法、そしてキャンプの醍醐味である焚き火や調理についても紹介していきたい。乞うご期待!

情報提供元: MotorFan
記事名:「 「バイクでキャンプ」は、なぜ楽しい。【キャンプツーリングのススメ】