TEXT:松田勇治(MATSUDA Yuji)
大別するとアプローチには2種類ある。ひとつは「独立ツインターボ」。6気筒エンジンなら1基のターボユニットで3気筒ずつを受け持つ。当然、1基あたりのタービン容量は小さくて済み、タービンホイールの径も小さく収まる。タービンの慣性モーメントはタービンホイール直径の5乗に反比例して向上するので、ターボラグが大幅に改善されるわけだ。
もうひとつが、ここでとりあげる2ステージ(シーケンシャル=逐次)・ツインターボ。容量の異なる2基のタービンを直列に配置。排気流量が少ない状態では小容量タービンを、流量が増えたら大容量タービンを作動させ、全負荷までに対応させる。ターボラグ対策として、一時期はその代名詞的存在だったが、最近はほとんど採用例がない。システムが複雑になり、特にターボラグ低減目的の場合、費用対効果の面でツインスクロールターボのほうが上と判断されるようになったためだろう。
逆に、下で紹介しているBMWのように、ディーゼルエンジンでの採用例が出てきたことは興味深い。その背景には、要求されるトルク範囲の拡大がある。必要とされる過給度が高まり、シングルターボでは十分な過給圧が確保できなくなってきたために......というわけだ。BMWのシステムは、現在最も完成度の高い順次型ツインターボであり、ダウンサイジングを目的としたガソリン過給エンジンへの応用も十分に期待できるところだ。