スマートキーやコンビブレーキ、新設計のeSPエンジンやフレーム、燃費運転を教えてくれるECOインジケーターなど、最新技術が盛り込まれるが、軽快すぎる走りも爽快で、乗れば乗るほど愛着と信頼感が増していく。そんな魅力に満ち溢れているDio110は価格も25万円以下と手頃なので注目だ。




REPORT●千輪 毅(CHIWA Tsuyoshi)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダ・Dio110.....24万5300円(ブルー/ブラック)24万2000円(ホワイト/シルバー)

写真ではわかりずらいが、光の当たり方によって幾何学パターンの見え方が変化する「グラデーションテクスチャー」が採用されている。前後のアルミ製キャストホイールは新設計だ。

車体色は、写真のマットスターリーブルーメタリックのほか、マットギャラクシーブラックメタリック、ディセントシルバーメタリック、パールジャスミンホワイトの4色のラインナップ。

ECOインジケーターが燃費運転を教えてくれる

 圧縮が高められてロングストローク化され、一部が新設計となったeSPエンジン。全開加速してみると、軽快な発進から速度が上昇していくが、約50km/hくらいでエンジン回転がやや落ち込み、加速の谷が感じられる。その後、65km/hを超えたあたりからは、駆動系の変速が完了し、エンジン回転の上昇とともに80km/hを超えていく。フィーリング的には低中速域ではもう少し高回転を使用した駆動系のセッティングのほうが加速フィーリングが良くなるのでは? と感じられた。




 また、燃費を気にするなら、燃費の良い運転をしている時に点灯して知らせてくれるECOインジケーターをチェックしながら運転するのも楽しそう。どんなアクセルワークが低燃費運転なのかを確認できるのだ。

 フロントブレーキの効きはマイルドな仕上がりで、雨天時に急制動してもスリップなどの心配が少ないだろう。フロントブレーキだけを使用してみると、フロントフォークが柔軟にストロークして、タイヤの接地感も良好だ。




 一方、リヤブレーキは、コンビブレーキが採用されており、左側のブレーキレバーを握るだけで、リヤブレーキだけでなく適度にフロントブレーキも作動するので、のんびりとした街乗りなら、リヤブレーキだけを使用して走行することができる。実際にリヤブレーキをかけてみると、フロントブレーキと同程度の制動力を発揮する。また、滑りやすい路面など、フロントブレーキを強くかけるのが不安なときは、リヤブレーキを積極的に使用するのもおすすめだ。

 走行フィーリングは96kgの軽量な車体と、14インチの前後タイヤによって、まるで自転車に乗っているかのような軽快な走りだ。低速ではまさに自転車かと思うような、自由自在な動きが軽々とできてしまい。中高速域ではスクーターらしい安定感がある。市街地で遭遇する程度のギャップなら、走破性も操縦性も良好だ。




 この軽快さは駐車時や、エンジンを停止して車体を押して歩く場合などもまったく同様で、同クラスのライバル車ではこれほど軽快な車種も少ないはずだ。

 アイドリングストップは燃費の良さだけでなく、停止時にエンジンの振動がなくなるので、快適性にも貢献していることを実感。再始動時はACGモーターによって瞬時に始動し、タイムラグなく発進してくれるので、後続車がいても気兼ねなく使える。ACGモーターによるエンジン始動はじつに静かなので、早朝や深夜のエンジン始動も気になりにくい。また、バッテリーの電圧がチェックされていて、電圧が下がると自動的にアイドリングストップは解除される。ハンドル右側のスイッチで任意にON/OFFすることも可能だ。




 スマートキーシステムも使いやすく、キーを取り出さなくてもハンドルロックの施錠と解除、シートとフューエルリッドの解錠やイグニションのON/OFFが可能。ウインカーを点滅させて自車位置を知らせてくれるアンサーバック機能は、混雑した駐輪場で便利な機能だ。

バーエンド間の全幅は685mm。ミラーの先端部での車幅は813mmと、128mmも広いので、ミラーを小型のものに変更すれば、混雑した市街地での走行や、パーキング時に停めやすくなるはずだ。

ライディングポジションと足着き性(170cm・63kg)

高さを抑えたシートと低めのハンドルがコンパクトなライディングポジションとなる。ステップも広々としていて快適だ。
760mmのシート高と良好なシート形状により、足着き性はとてもいい。

ディテール解説

ハンドル右側のスイッチはアイドリングストップのON/OFFスイッチ。
ハンドル左側にはウインカーなどのスイッチを配置。左ブレーキレバーは、リヤだけでなくフロントブレーキも適度に同時作動させるコンビブレーキとなっている。
液晶ディスプレイ付きのメーターは、各種情報が得られやすい視認性を持つ。右上にはECOインジケーターがあり、低燃費運転時には点灯して知らせてくれる。
スマートキーを持っていれば、キーを取り出さなくてもメインキーの操作ができる。
500mlのペットボトルも入るインナーボックスはフタ付きなので雨天時にも使いやすい。
シート下スペースは18ℓで、フルフェイスも収納可能。

Dio110 主要諸元

車名・型式:ホンダ・2BJ-JK03


全長(mm):1,870


全幅(mm):685


全高(mm):1,100


軸距(mm):1,255


最低地上高(mm):150


シート高(mm):760


車両重量(kg):96


乗車定員(人):2


燃料消費率(km/L)


 国土交通省届出値 定地燃費値 (km/h):59.4(60)〈2名乗車時〉


 WMTCモード値(クラス):54.9(クラス 1)〈1名乗車時〉


最小回転半径(m):1.8


エンジン型式:JK03E


エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒


総排気量(cm3):109


内径×行程(mm):47.0×63.1


圧縮比:10.0


最高出力(kW[PS]/rpm):6.4[8.7]/7,500


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):9.0[0.92]/5,750


始動方式:セルフ式


燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火


燃料タンク容量(L):4.9


変速機形式:無段変速式(Vマチック)


タイヤ:


 前 80/90-14M/C 40P


 後 90/90-14M/C 46P


ブレーキ形式:


 前 油圧式ディスク


 後 機械式リーディング・トレーリング


懸架方式:


 前 テレスコピック式


 後 ユニットスイング式


フレーム形式 アンダーボーン
情報提供元: MotorFan
記事名:「 フルモデルチェンジでナニが変わった? |ホンダ新型Dio110試乗レポート