開発したソーラールーフは、帝人のポリカーボネート樹脂「パンライト」グレージングを表層に用いた、太陽電池搭載のLS-EV向けルーフ。同社が長年培ってきたポリカーボネート樹脂グレージングに関する知見を駆使し、ガラスでは難しい車体ルーフに適した曲面形状を一体成形することで、求められる強度や剛性を実現している。また、ポリカーボネート樹脂は耐衝撃性に優れる一方で耐候性に課題があり、屋外での長期間の使用に向けては適切な加工が必要となるが、このたび使用した「パンライト」グレージングは、帝人独自のハードコート技術を活用することにより、自動車に要求される10年相当の耐久性を実現している。
このソーラ―ルーフに搭載した太陽電池セルの出力は、豪州の日照条件下でのテストにおいて、一般的なソーラーパネルと同等の約330Wを記録している。さらに、帝人とAEV社はソーラールーフのエネルギー効率を実証すべく、一般車両向けLS-EVを想定した10kWhのバッテリー搭載のプロトタイプ車体を製作し、「Blanc Robot」に装填して、豪州の日照条件下で試験を行ったところ、走行距離が30km~55km(最大約30%)伸びることを確認した。
今後、帝人とAEV社は、各部品に帝人の素材や技術を活用した量産向け軽量LS-EVを、2022年後半に実用化することを目指しており、このたび開発したソーラールーフの技術向上を図りながら、「Well to Wheelゼロエミッション」の実現に向けた取り組みを進めていく。