REPORT●千輪 毅(CHIWA Tsuyoshi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
跨ってみると、身長170cmの私では両足の踵は接地せず、足着き性はさほど良くないが、シート幅がスリムで車体の近くに足を着けるので不安感は少ない。
アクセル全開での加速では、発進から時速20km/h程度までを7000rpmほどでの変速となり、それ以上の速度域では8000rpm付近での変速となる。振動などの少ない上品なフィーリングながらパワフルな加速を発揮する。15psの加速力は市街地では十分な動力性能だ。
この加速力は100km/hまで途切れることがなく、高速道路での追い越し時にも頼もしいパワーを発揮してくれる。最高速付近は110km/hくらい。ライダーが伏せることなく、この速度域までは無理なく加速していく。
走っていて不思議だったのは、ギャップを拾って車体は突き上げられているのに、振動がライダーに伝わりにくいこと。身体は揺れていないのに、身体の下で車体だけが揺れているような、不快な振動を乗り手が感じにくいフィーリングで、乗り心地が良かった。リヤサスペンションに、マスの集中にも寄与するモノクロスの水平配置されたミッドシップダンパーが採用されていることも少なからず関係しているだろう。
ハンドリングについては、前後タイヤはマジェスティS用に専用開発された台湾製のマキシスR1Nで、フロントが120/70-13、リヤが130/70-13サイズ。接地面積の大きなハイグリップタイヤが、低速時の機敏な動きと、高速時の安定感の両立につながっている。
フロントに267mm径、リヤに245mm径の前後ディスクブレーキは、ABSこそ装備していないが、高い速度域でも十分すぎる制動力を発揮し、また、タッチのフィーリングもレバーを握りこむほどに制動力が増していくという、ライダーが把握しやすい味付けとなっていて好感が持てた。フロントに採用されているウェーブ形状ディスクも見栄えがかっこいい。
握りやすい細身のグラブバーは、タンデム時にパッセンジャーの疲労軽減と安心感につながり、センタースタンド使用時にも役立つ。また、駐車位置の微調整もラクに行えるので好印象だ。
シート下トランクは32ℓと、このクラスではトップクラスの大容量。メインキー操作でオープンするので手軽で、ヘルメットと小物を同時に収納できるのがなにかと便利だ。ハンドル下の収納部はオープンタイプで使いやすいが、雨天時やセキュリティには注意が必要だ。また、この収納部にはスマートフォンなどの充電に役立つ12VのDCジャックも装備している。
認定型式/原動機打刻型式 2BK-SG52J/G3K3E
全長/全幅/全高 2,030mm/715mm/1,115mm
シート高 795mm
軸間距離 1,405mm
最低地上高 90mm
車両重量 145kg
燃料消費率
国土交通省届出値
定地燃費値 40.0km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 37.5km/L(クラス2, サブクラス2-1) 1名乗車時
原動機種類 水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 155cm3
内径×行程 58.0mm×58.7mm
圧縮比 11.0:1
最高出力 11kW(15PS)/7,500r/min
最大トルク 14N・m(1.4kgf・m)/6,000r/min
始動方式 セルフ式
潤滑方式 強制圧送ウェットサンプ
エンジンオイル容量 1.00L
燃料タンク容量 7.4L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V, 6.5Ah(10HR)/GT7B-4
1次減速比/2次減速比 1.000/8.787
クラッチ形式 乾式, 遠心, シュー
変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比 2.480~0.740:無段変速
フレーム形式 バックボーン
キャスター/トレール 26°00′/80mm
タイヤサイズ(前/後)
120/70-13 M/C 53P(チューブレス)
130/70-13 M/C 57P(チューブレス)
制動装置形式(前/後)
油圧式シングルディスクブレーキ
油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後)
テレスコピック
ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED
乗車定員 2名