32ℓ容量のシート下トランクを装備し、中央にタコメーターを配置したスポーティーなメーターと、利便性にも優れるフラットステップを採用。高速道路も利用できるパワフルな155ccで、価格は37万9500円と同カテゴリーではトップクラスにリーズナブルなマジェスティS。




REPORT●千輪 毅(CHIWA Tsuyoshi)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ヤマハ・マジェスティS.....37万9500円

以前は125ccと250cc、400ccなどのラインナップだったマジェスティシリーズだが、現在は155ccモデルとなり進化を続けている。マジェスティ125の雰囲気をフロントフェイスに残しているのも特徴だ。

車体カラーは写真のホワイトのほかに、グレー、ブラック、イエローの計4色となる。

特徴的なリヤサス機構がもたらす良好な乗り心地

 跨ってみると、身長170cmの私では両足の踵は接地せず、足着き性はさほど良くないが、シート幅がスリムで車体の近くに足を着けるので不安感は少ない。




 アクセル全開での加速では、発進から時速20km/h程度までを7000rpmほどでの変速となり、それ以上の速度域では8000rpm付近での変速となる。振動などの少ない上品なフィーリングながらパワフルな加速を発揮する。15psの加速力は市街地では十分な動力性能だ。




 この加速力は100km/hまで途切れることがなく、高速道路での追い越し時にも頼もしいパワーを発揮してくれる。最高速付近は110km/hくらい。ライダーが伏せることなく、この速度域までは無理なく加速していく。

 走っていて不思議だったのは、ギャップを拾って車体は突き上げられているのに、振動がライダーに伝わりにくいこと。身体は揺れていないのに、身体の下で車体だけが揺れているような、不快な振動を乗り手が感じにくいフィーリングで、乗り心地が良かった。リヤサスペンションに、マスの集中にも寄与するモノクロスの水平配置されたミッドシップダンパーが採用されていることも少なからず関係しているだろう。




 ハンドリングについては、前後タイヤはマジェスティS用に専用開発された台湾製のマキシスR1Nで、フロントが120/70-13、リヤが130/70-13サイズ。接地面積の大きなハイグリップタイヤが、低速時の機敏な動きと、高速時の安定感の両立につながっている。




 フロントに267mm径、リヤに245mm径の前後ディスクブレーキは、ABSこそ装備していないが、高い速度域でも十分すぎる制動力を発揮し、また、タッチのフィーリングもレバーを握りこむほどに制動力が増していくという、ライダーが把握しやすい味付けとなっていて好感が持てた。フロントに採用されているウェーブ形状ディスクも見栄えがかっこいい。

 握りやすい細身のグラブバーは、タンデム時にパッセンジャーの疲労軽減と安心感につながり、センタースタンド使用時にも役立つ。また、駐車位置の微調整もラクに行えるので好印象だ。




 シート下トランクは32ℓと、このクラスではトップクラスの大容量。メインキー操作でオープンするので手軽で、ヘルメットと小物を同時に収納できるのがなにかと便利だ。ハンドル下の収納部はオープンタイプで使いやすいが、雨天時やセキュリティには注意が必要だ。また、この収納部にはスマートフォンなどの充電に役立つ12VのDCジャックも装備している。

ディテール解説

デジタル時計付きの3連メーターパネル。中央には視認性のいいアナログ式タコメーターが配され、右は大きな表示が見やすいデジタル式スピードメーターとなる。
エンジンのON/OFFはもちろん、シートオープンやハンドルロックを施錠するメインキーには、いたずら防止のキーシャッター機能も搭載されている。
フロントブレーキにはウェーブ形状の267mmディスクを装備。専用タイヤは台湾製のマキシスR1Nが採用されている。
リヤブレーキもディスクタイプとなるが、形状はウェーブタイプではなく一般的なローターとなり、直径は245mm。
フロントの小物入れには、12VのDCジャックが装備されているので、スマートフォンなどを充電しながら走行できるのが便利。
クラス最大級となる32ℓ容量のシート下トランク。ヘルメット1個を入れてもスペースに余裕があるところが使いやすい。
タンデムステップは雨天時にも滑りにくいアルミ製のバータイプ。タンデムしないときは格納しておけるのでスマートだ。
グラブバーはタンデム時にパッセンジャーの疲労軽減に貢献するだけでなく、センタースタンド使用時や、車両の駐車位置を微調整するときにも役立つ。

マジェスティS 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 2BK-SG52J/G3K3E


全長/全幅/全高 2,030mm/715mm/1,115mm


シート高   795mm


軸間距離   1,405mm


最低地上高 90mm


車両重量  145kg


燃料消費率


国土交通省届出値


定地燃費値   40.0km/L(60km/h) 2名乗車時


WMTCモード値 37.5km/L(クラス2, サブクラス2-1) 1名乗車時


原動機種類 水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ


気筒数配列 単気筒


総排気量 155cm3


内径×行程 58.0mm×58.7mm


圧縮比   11.0:1


最高出力  11kW(15PS)/7,500r/min


最大トルク 14N・m(1.4kgf・m)/6,000r/min


始動方式 セルフ式


潤滑方式 強制圧送ウェットサンプ


エンジンオイル容量 1.00L


燃料タンク容量   7.4L(無鉛レギュラーガソリン指定)


吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション


点火方式 TCI(トランジスタ式)


バッテリー容量/型式 12V, 6.5Ah(10HR)/GT7B-4


1次減速比/2次減速比 1.000/8.787


クラッチ形式 乾式, 遠心, シュー


変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック


変速比 2.480~0.740:無段変速


フレーム形式 バックボーン


キャスター/トレール 26°00′/80mm


タイヤサイズ(前/後)


 120/70-13 M/C 53P(チューブレス)


 130/70-13 M/C 57P(チューブレス)


制動装置形式(前/後)


 油圧式シングルディスクブレーキ


 油圧式シングルディスクブレーキ


懸架方式(前/後)


 テレスコピック


 ユニットスイング


ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED


乗車定員 2名
情報提供元: MotorFan
記事名:「 不快な振動カット!の足まわりが秀逸|155ccスクーター、ヤマハマジェスティS試乗