また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、2013年4月より日本へ導入されたフォルクスワーゲンのCセグメントハッチバック&ワゴン「ゴルフ」の七代目をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●フォルクスワーゲン
そして、2012年9月に世界初公開された七代目ゴルフは、「MQB」と呼ばれる新世代のアーキテクチャーを初めて採用。ボディ・シャシーのみならずパワートレーンやシート、インフォテインメントシステム、ADASに至るまで全面的に見直すことで、車両全体で最大100kg軽量化しつつ、基本性能を大幅に向上させた。
なお、欧州仕様の全長×全幅×全高は4255×1799×1452mm、ホイールベースは2637mmで、六代目に対しそれぞれ+56mm、+13mm、-28mm、+59mm。全高を大きく下げながら、主に左右方向の室内空間を拡大している。
では、そんな七代目ゴルフがどのように進化していったのか、モデルの変遷を以下に記す(価格はいずれも発表時点のもの(当時の税率における消費税込み))。
日本仕様のローンチエディション、またフォルクスワーゲン国内正規輸入60周年記念限定モデル第一弾として「デア・エアステ」を設定した。「デア・エアステ(Der Erste)」とはドイツ語で「最初の」「No.1の」という意味。
750台限定の「TSIコンフォートライン デア・エアステ」(279万円)は105ps&175Nmの1.2L直4直噴ガソリンターボエンジン+7速DCT、1250台限定の「TSIハイライン デア・エアステ」(305万円)は140ps&250Nmの1.4L直4直噴ガソリンターボエンジン+7速DCTを搭載する。
なお、リヤサスペンションは1.2L車がトーションビーム式、1.4L車はマルチリンク式となる。
「TSIコンフォートライン デア・エアステ」はバイキセノンヘッドライトのほかミリ波レーダーとフロントカメラを標準装備し、ACCやレーンキープアシスト、マルチコリジョンブレーキなどを実装。
「TSIハイライン デア・エアステ」はさらに、LEDポジションランプ付きバイキセノンヘッドライト、専用デザイン17インチアルミホイール、アルカンターラ&ファブリックスポーツシート、ドライビングプロファイル機能などを標準装備する。
カタログモデルを発表。廉価グレードの「TSIトレンドライン」(249万円)と中間グレードの「TSIコンフォートライン」(269万円)は1.2L、上級グレードの「TSIハイライン」(299万円)は1.4Lエンジンを搭載する。
「デア・エアステ」との違いは、「TSIコンフォートライン」ではバイキセノンヘッドライトとレーンキープアシスト、「TSIハイライン」ではLEDポジションランプ付きバイキセノンヘッドライトがメーカーオプション扱いとなる点。
フォルクスワーゲン伝統のホットハッチ「GTI」(369万円)を追加。専用のハニカムフロントグリルに前後バンパー、リヤスポイラー、赤と白のタータンチェック柄スポーツファブリックシート(レザーシートのオプション設定あり)などを標準装備する。
220ps&350Nmの2.0L直4直噴ガソリンターボエンジンと湿式6速DCTで前輪を駆動。車高-10mmのスポーツサスペンションにプログレッシブステアリング、電子制御式ディファレンシャルロック“XDS”を採用してシャシー性能も強化している。
ステーションワゴンの「ヴァリアント」を追加。全長は5ドアハッチバックより310mm、先代バリアントより30mm長く(日本仕様同士の比較)、荷室容量は後席使用時で先代より100L大きい605L、後席格納時で同125L大きい最大1620Lに達する。
グレードは1.2L車の「TSIコンフォートライン」(269万5000円)と、1.4L車の「TSIハイライン」(322万5000円)の2種類。
フルタイム4WDの高性能モデル「R」(510万円)を追加。専用の大型エアインテーク付きフロントバンパー、ブラック塗装フロントグリル&リヤディフューザー、ブラックレザースポーツシートなどを標準装備する。
280ps&380Nmの2.0L直4直噴ガソリンターボエンジンと湿式6速DCTを搭載。フルタイム4WD「4モーション」には電子油圧制御式オイルポンプで作動する第5世代ハルデックスカップリングを採用する。
これに対し、車高-20mmの専用スポーツサスペンションとプログレッシブステアリングに加え、電子制御式ディファレンシャルロック“XDS”を採用したほか、ブレーキを前後ベンチレーテッドとしつつピストン径とディスク径・厚をアップして、シャシー性能を大幅に強化している。
「TSIハイライン」(315万9000円)と「ヴァリアントTSIハイライン」(339万9000円)にスマートエントリー&スタートシステム「キーレスアクセス」を標準装備した。
「ヴァリアントTSIハイライン」をベースに、スポーティな専用の前後バンパー、サイドスカート、5スポーク17インチアルミホイール、ファブリック&アルカンターラスポーツシートなどを装着した「R-ライン」(359万9000円)を追加した。
「GTI」をベースに最高出力を10psアップの230psとし、アダプティブシャシーコントロール“DCC”を標準装備し、電子制御油圧式フロントディファレンシャルを初採用。専用19インチアルミホイールを装着し、ブレーキディスクを四輪ベンチレーテッド化のうえサイズアップした「GTIパフォーマンス」(435万円)を500台限定で設定した。
ボディカラーはカーボンスチールグレーメタリックとピュアホワイトで、限定台数はそれぞれ300台、200台。タータンチェック柄スポーツシートは専用のファブリック&アルカンターラ生地となる。
「TSIハイライン」をベースに、フォルクスワーゲンの本拠地であるウォルフスブルク市の城と狼の紋章が型押しされた、ヴォルケーノブラウンの専用アルカンターラ&ナパレザースポーツシートを採用。さらにウッド加飾パネルや専用17インチアルミホイールを装着した、ゴルフ生誕40周年記念特別限定車「エディション40」(349万9000円)を設定した。
ボディカラーと限定台数は、専用色のライムストーングレーメタリックが400台、ディープブラックパールエフェクトが200台、オリックスホワイトマザーオブパールエフェクトが400台の計1000台。
「ヴァリアントTSIコンフォートライン」(287万9000円)のエアコンをマニュアルから2ゾーンフルオートに、エアフィルターをチャコール(活性炭)入りに変更した。
「TSIコンフォートライン」「ヴァリアントTSIコンフォートライン」をベースに、専用デザインのアルミホイール、ファブリックシート、ドアシルプレートなどを装着し、専用ボディカラー「クリプトングレーメタリック」「サンセットレッドメタリック」を設定する限定車「ラウンジ」を発売した。
「TSIコンフォートライン ラウンジ」(309万円)は総計1500台、「ヴァリアントTSIコンフォートライン ラウンジ」(319万円)は総計800台の限定販売。
ステーションワゴンの高性能モデル「Rヴァリアント」(559万円)を追加した。主な特徴は5ドアハッチバックの「ゴルフR」に準ずるが、新たにブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)とリヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突被害軽減ブレーキ)をゴルフとして初めて採用している。
また、100台限定の「Rヴァリアント ローンチエディション」(581万8000円)を設定。カーボン調モダングレー&ブラックナパレザーシート、ブラックペイント19インチアルミホイールを標準装備した。
「GTI」と「R」に6速MT車を追加した。価格はそれぞれ389万円、539万円。
専用の前後バンパーやオーバーフェンダー、ファブリックシートなどを装着するクロスオーバー4WDステーションワゴン「オールトラック」を追加した。
180ps&280Nmの1.8L直4直噴ターボエンジンと6速DCTを搭載し、205/55R17タイヤを装着するともに最低地上高を25mmアップ。フルタイム4WD「4モーション」には第5世代ハルデックスカップリングと電子制御式ディファレンシャルロック“XDS”、を採用し、ドライビングプロファイル機能に専用の「オフロード」モードを追加して、悪路走破性を高めている。
グレードは「TSI 4モーション」(347万円)と、「TSI 4モーション アップグレードパッケージ」(367万円)の2種類。
2.0L直4直噴ターボエンジンの最高出力を45ps増しの265psに高め、さらに6速DCTが3~6速の際にアクセルペダルをキックダウンするだけで約10秒間最高出力が290ps、最大トルクが380Nmにアップする「ブースト機能」を実装。
さらに、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロック、大径4輪ベンチレーテッドブレーキディスク(フロント340×30mm/リヤ312×22mm)、アダプティブシャシーコントロール“DCC”、225/35R19タイヤを標準装備し、専用前後バンパーや大型リヤスポイラーなどを装着して、シャシー性能も高めている。
室内には、専用のファブリック&アルカンターラ生地レカロスポーツシートとアルカンターラ巻きステアリングを装着。また、「ディスカバープロ」を標準装備した。
「TSIコンフォートライン」「ヴァリアントTSIコンフォートライン」をベースに、バイキセノンヘッドライトや20スポーク16インチアルミホイール、専用のファブリックシートやプラスティック加飾パネル、「ディスカバープロ」などを標準装備した「オールスター」を設定した。
「TSIコンフォートライン オールスター」(299万9000円)、「ヴァリアントTSIコンフォートライン オールスター」(315万9000円)とも限定300台。
「GTI」をベースに「クラブスポーツ トラックエディション」と同様のチューニングを施しつつ、タイヤを225/40R18サイズ、シートを専用ファブリック&アルカンターラシートに変更し、キーレスアクセスを標準装備することで快適性を高めた「クラブスポーツ ストリートエディション」(449万9000円)を350台限定で発売した。
また「Rヴァリアント」をベースに、カーボンドアミラーカバー、カーボン調ナパレザーシート、グレーペイント19インチホイールを標準装備した「カーボンスタイル」(576万円)を70台限定で発売した。
「TSIコンフォートライン」「TSIハイライン」「ヴァリアントTSIコンフォートライン」「ヴァリアントTSIハイライン」をベースに、テレマティクス機能「ガイドアンドインフォーム」やバイキセノンヘッドライト、ヘッドライトウォッシャーなどを標準装備した特別仕様車「コネクト」を発売した。価格はそれぞれ306万円、319万円、346万9000円、359万9000円。
「GTE」以外をマイナーチェンジ。前後バンパーおよびランプのデザインをよりシャープなイメージに変更。室内には12.3インチのデジタルメーター「アクティブインフォディスプレイ」を初採用した。
また、ラジオシステム「コンポジションメディア」とインフォテインメントシステム「ディスカバープロ」のモニターサイズを、それぞれ6.5インチから8インチ、8インチから9.2インチへ拡大。後者にはさらに、ジェスチャーコントロール機能を実装している。
さらに、渋滞時追従支援システム「トラフィックアシスト」を「TSIトレンドライン」および「GTI」「R」6MT車以外に標準装備。「GTI」は最高出力を10ps増しの230ps、「R」は30ps増しの310psとし、加えて「R」に新開発の湿式7速DCTを設定した。
グレード構成および価格は下記の通り。
TSIトレンドライン(1.2Lターボ+7DCT、FF)…249万9000円
TSIコンフォートライン(1.2Lターボ+7DCT、FF)…279万9000円
TSIハイライン(1.4Lターボ+7DCT、FF)…325万9000円
GTI(2.0Lターボ+6MT、FF)…389万9000円
GTI(2.0Lターボ+6DCT、FF)…399万9000円
R(2.0Lターボ+6MT、4WD)…549万9000円
R(2.0Lターボ+7DCT、4WD)…559万9000円
ヴァリアントTSIコンフォートライン(1.2Lターボ+7DCT、FF)…293万9000円
ヴァリアントTSIハイライン(1.4Lターボ+7DCT、FF)…339万9000円
ヴァリアントTSI R-ライン(1.4Lターボ+7DCT、FF)…359万9000円
Rヴァリアント(2.0Lターボ+7DCT、4WD)…569万9000円
オールトラックTSI 4モーション(1.8Lターボ+6DCT、4WD)…359万9000円
「GTE」(469万円)をマイナーチェンジ。主な変更内容は他グレードに準ずる。
また、BEV「e-ゴルフ」(499万円)を追加した。
136ps&290Nmのモーター、35.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、JC08モード航続距離301kmを確保。充電は200V普通充電(3kWおよび6kW)と急速充電(チャデモ規格)に対応させた。さらに、4段階に調整可能なブレーキエネルギー回生システムを搭載し、走りの自由度を高めている。
「TSIハイライン」「ヴァリアントTSIハイライン」をベースに、総出力400W、10チャンネル、9スピーカーのデンマーク・ディナウディオ社製プレミアムサウンドシステムを搭載。
さらに、ヴォルケーノブラウンマイクロフリース&ナパレザーシート、前席シートヒーター、専用17インチアルミホイール、ウッド加飾パネルなどを標準装備した「ディナウディオエディション」を設定した。
価格はそれぞれ362万9000円、376万9000円で、いずれも300台限定販売。
「TSIコンフォートライン」「TSIハイライン」をベースに、「アクティブインフォディスプレイ」、「ディスカバープロ」、モバイルオンラインサービス「フォルクスワーゲンカーネット」などを標準装備した「テックエディション」を設定した。価格はそれぞれ299万9000円、349万9000円。
「GTI」をベースに、「アクティブインフォディスプレイ」、「ディスカバープロ」、「フォルクスワーゲンカーネット」、オートマチックハイビーム「ダイナミックライトアシスト」、AFS「ダイナミックコーナリングライト」、ダイナミックターンインジケーター付きLEDテールランプ、アダプティブシャシーコントロール“DCC”、225/40R18タイヤを標準装備する「ダイナミック」を設定した。
価格は6速MT車が435万9000円、6速DCT車が445万9000円。なお、6速MT車のみ100台限定で、かつ同モデルが「GTI」6速MT車の最終仕様となった。
「ヴァリアントTSIコンフォートライン」「ヴァリアントTSIハイライン」をベースに、「アクティブインフォディスプレイ」、「ディスカバープロ」、モバイルオンラインサービス「フォルクスワーゲンカーネット」などを標準装備した「テックエディション」を設定した。価格はそれぞれ316万9000円、366万9000円。
「TSIコンフォートライン テックエディション」「TSIハイライン テックエディション」「ヴァリアントTSIコンフォートライン テックエディション」「ヴァリアントTSIハイライン テックエディション」「オールトラックTSI 4モーション」をベースに、パークディスタンスコントロールおよびパークアシストを標準装備。
また一部グレードに、ベージュレザーシートやディナウディオ社製オーディオをオプション設定するなど、装備を大幅に充実させた「マイスター」を発売した。価格はそれぞれ306万9000円、355万9000円、320万9000円、373万9000円、399万9000円。
TDIコンフォートライン…323万円
TDIコンフォートライン マイスター…353万9000円
TDIハイライン…362万円
TDIハイライン マイスター…391万円
ヴァリアントTDIコンフォートライン…337万円
ヴァリアントTDIコンフォートライン マイスター…367万9000円
ヴァリアントTDIハイライン…376万円
ヴァリアントTDIハイライン マイスター…405万円
また、特別仕様車「マイスター」に、ブラインドスポットディテクションとリヤトラフィックアラートを標準装備した。
「GTI」をベースに、2.0L直4直噴ターボエンジンの最高出力を60ps増しの290ps、最大トルクを30Nm増しの380Nmに高め、7速DCTとアクラポヴィッチ社製チタンマフラーを搭載した「TCR」(509万8000円)を600台限定で発売した。
また、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロック、大径4輪ベンチレーテッドブレーキディスク、アダプティブシャシーコントロール“DCC”、235/35R19タイヤを標準装備しシャシー性能を強化。外装には専用のフロントリップスポイラー、サイドスカート、リヤディフューザー、内装には専用のファブリック&マイクロフリースシートなどを採用している。
■フォルクスワーゲン・ゴルフTSIトレンドライン(FF)*2013年5月発表モデル
全長×全幅×全高:4265×1800×1460mm
ホイールベース:2635mm
車両重量:1240kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1197cc
最高出力:77kW(105ps)/4500-5500rpm
最大トルク:175Nm/1400-4000rpm
トランスミッション:7速DCT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:195/65R15
乗車定員:5名
車両価格(当時):249万円