今回の新型Cクラスのパワートレーンのハイライトを簡単に述べると
・全車電動化されたこと(48VのISGを使うマイルドハイブリッドが標準)
・C300が搭載する2.0ℓが新開発のM254型になったこと
・全車標準の48V駆動のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)ガ第二世代に進化したこと
・初めて48Vマイルドハイブリッドを組み合わせる2.0ℓ直4ディーゼルエンジンが大幅に進化したこと
・登場が予定されているガソリンPHEV仕様はEV走行で100km走れること
・ディーゼルPHEV仕様も追って登場すること
である。
新型Cクラスのガソリンエンジンは
C180/C200:M264型1.5ℓ直列4気筒DOHC直噴ターボ
C300:M254型2.0ℓ直列4気筒DOHC直噴ターボ
C220d/C330d:OM654型直列4気筒DOHCディーゼルターボ
のガソリン2種、ディーゼル1種のエンジンをラインアップする。
FAME(Family of Modular Engines)の4気筒のみだ。
すべてのエンジンに組み合わせる48Vマイルドハイブリッドシステムは、
20ps(15kW)/200NmのISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)へと進化した。
現行C200 BSG搭載モデルのマイルドハイブリッドは、48V駆動だが、その名前とおりBSG(ベルトドリブン・スタータージェネレーター)を使っている。クランクシャフトの回転をベルトを介してスターター/ジェネレーターとして作動するデバイスだ。出力は定格8kW(約10.7ps)最高出力10kW(約13.4ps)/38Nmだった。
新型Cクラスの48V ISGは、15kW(約20ps)/200Nmものブーストが可能だ。またBSGではなくISGになったことも注目だ。9G-TRONIC(メルセデス・ベンツ内製の9速AT)のトルクコンバーターの前部にISGを組み込んでいる。
詳細は不明だが、1.5ℓ/2.0ℓ直4ガソリン、2.0ℓ直4ディーゼルともに、同じ48V駆動のISGが組み込まれるようだ。ISGのパワースペックは共通だ。
C300が搭載する2.0ℓ直4ターボエンジンは、新型Eクラスも積む新開発のM254型だ。Eクラスより出力がアップしたISGと組み合わせる。
上の図版は新型Eクラスのものなので、スペックがやや違うが、基本は同じだ。
最高出力はEクラスのM254型が最高195kW(265ps)なのに対してC300は190kW(258ps)、最大トルクは400Nmになる。
BMEP(正味平均有効圧)=25.1barというから、ディーゼル並みだ。
ちなみに、BMEPとは、エンジンの排気量によらずに、トルク特性を横並びに評価するために用いられる理論的な数値だ。排気量あたりのトルクに比例する。ガソリンNAは10-13bar程度、ガソリンターボは18-24bar程度、ディーゼルターボでは、18から30barを超えるものまである。
このM254型2.0ℓ直4エンジンは、すでに登場している3.0ℓ直6エンジンのM256型の4気筒版と考えていい。
ボア×ストロークは83.0mm×92.4mm。ボアピッチは90.0mmだろう。
・CONICSHAPEシリンダー
・NANOSLIDEコーティング
・Mercedes-AMG Petronas Formula 1 teamとの共同開発したツインスクロールターボ
・電動コンプレッサー付
ちなみに、現行Cクラス、Eクラスが搭載する2.0ℓ直4エンジンは、M274型(1991cc)である。
と言った最新技術満載のエンジンだ。短時間なら20kW(約27ps)のブーストも可能だという。
同じ型式、同じ排気量のエンジンだが、新型はよりパワーアップしていることがわかる。エンジン本体ももちろんだが、そして48Vマイルドハイブリッドシステムの進化の度合いも大きい。
C200d/300dが搭載する2.0ℓ直4ディーゼルターボの型式は、OM654型で変わらないが、新型には、モディファイを意味する「M」の文字が追加された。OM654Mである。
C200d/300dが搭載する2.0ℓ直4ディーゼルターボの型式は、OM654型で変わらないが、新型には、モディファイを意味する「M」の文字が追加された。OM654Mである。
モディファイされたポイントは多い。
まずは、ストロークだ。新しいクランクシャフトの採用でストロークが92.3mmから94.3mmへ伸びた。その結果、排気量が1950ccから1992ccへ拡大している。
ディーゼルモデルもガソリンエンジンと同様に48VのISGが採用されている。
また、コモンレール式直噴システムの最大噴射圧は従来の250MPaから270MPaへとアップしている。ターボチャージャーは、新しい可変タービンジオメトリーの水冷式になった。メルセデス・ベンツのディーゼルエンジン得意の、ナトリウム封入のクーリングダクト付スチールピストンも採用している。
排気後処理も進化した。エンジン近傍にふたつのNOx吸蔵触媒、そしてDPF(ディーゼル・パーティキュレート・フィルター)、尿素SCRシステムを備えるほか、車両下部にはもうひつSCR触媒コンバーターを追加している。
こちらも、新旧でスペックの比較をしておこう。
もうひとつ、新型Cクラスで注目したいのが、PHEVモデルだ。まずは、2.0ℓ直4ガソリン(M254型)にPHEVシステムを組み合わせたモデルが登場する。現行型ではC350eというモデル名だったが新型のモデル名は未発表だ。
この新型CクラスPHEVは、従来モデルの約2倍の航続距離である約100kmをEV走行できる。100kmもEV走行が可能なら、通常のドライブならエンジンを使わずに済むだろう。メルセデス・ベンツによれば、カーボンフットプリントは(電源構成にもよるが)「BEV(バッテリ−EV=電気自動車)並み」だという。
組み合わせるモーターは95kW(約129ps)/440Nm、搭載するバッテリ−は25.4kWhである。バッテリーの充電時間は
55kW DCチャージャー(オプション):約30分
11kW ACチャージャーが標準だ。こちらだと計算上は2時間20分ほどで満充電できる。日本の家庭用3kWであれば、8時間半ほどだ。
容量の大きなバッテリーを搭載しているにもかかわらず、ラゲッジ容量は現行C350eより大きいという。
EV走行時の最高速度は140km/hと発表されている。
EV走行距離が100kmというのは、PHEVとしては、ある意味「完成形」になるだろう。これ以上を求めるならBEVだし、100km超えのロングドライブでは高効率のエンジンが応えてくれるからユーザーはバッテリーの残量を気にする必要はない。
ディーゼル搭載モデルにもPHEVモデルの追加も予告している。
新型Cクラスは、メルセデス・ベンツの「Electric First」戦略に則ったモデルだ。すべて4気筒、すべて電動化されたCクラスの完成度を試すのがいまから楽しみだ。