スウェーデンの商用車メーカーであるスカニアが、興味深いタンデムボギー『RB662』を発表した。ダンプトラックや木材運搬トラックは、往復の一方向に無負荷で走行することが多い。この類の車両のタンデムアクスルに工夫を凝らすことで、燃料消費量を最大6%削減し、タイヤの摩耗を減らし、回転半径を小さくし、そして無負荷時のトラクションを向上させるという。


TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

スカニアが、オプションとしてリフト&ディスエンゲージ機能を備えた『RB662』タンデムボギーアクスルを発表した。この新しいオプションを使用することで、燃料を最大6%節約でき、回転半径を小さくできる。持ち上げにかかる時間は25秒未満であり、通常のシャーシの高さと標準タイヤ装着時の最低地上高は約70mmである。スカニアトラックの製品マネージャー、Bo Eriksson氏は以下のように述べた。




「特定のアプリケーションの顧客から非常に強く望まれてきた機能ですので、この優れたソリューションを発表できることを嬉しく思います。荷を積んでいないとき、燃料消費量を最大で6%削減可能です。スウェーデンの木材運搬トラックで良くあるのですが、150〜200kmの戻り区間を空荷で走行する方にとっては、導入を検討する価値があるでしょう。タイヤの摩耗が少なくなり、操作性も向上します」

このLiftable and Disengageable Tandem Bogie (LDTA)タンデムボギー=『RB662』は、空荷状態で走行する際、車軸を持ち上げて路面とタイヤとの接触を遮断する。同時に車軸ギアをドッグクラッチにより接続を遮断できる仕組みだ。搭載するにはエアサスペンション装備車であることが必須であり、また重量は60kg増加する。燃料削減の多くは2番目の(切断された)車軸ギア内における摩擦減少であり、転がり抵抗の減少に起因するのは節約の約10%のみである、と考えられている。3つのボギーウェイト(19、21、および26トン)が使用可能であり、2番目の車軸を持ち上げたときの負荷制限はそれぞれ9.5、10.5、および13トンである。




操作も簡単である。ドライバーはボタンを押すだけで車軸を上げることができる。過負荷状態を識別した場合はポップアップ警告がインストルメントパネルに表示され、車軸が持ち上げられることはない。また解放はドッグクラッチを介して実行される。




スカニアでは、このオプションが多くのトラックに採用されることを期待している。投資コストと回収できる金額を検討すれば、経営に与える影響はポジティブである。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【海外技術情報】Scania:無負荷時に路面との接触を切断可能なタンデムアクスルを開発