ただし、販売計画台数は国内で年間500台をわずかである。
欧州ですでに販売が開始されているマツダ初の量産EV、それがMX-30である。国内でも2020年10月に24Vマイルドハイブリッドを組み合わせた2.0ℓガソリンエンジン仕様のMX-30がデビューしているが、いよいよ発売されたわけだ。
e-SKYACTIVと命名された電動パワートレーンやバッテリーの詳細を見てみよう。
その前に気になる価格から紹介しよう。
MX-30 EV MODELメーカー希望小売価格(消費税込)
EV 451万円
EV Basic Set 458万7000円
EV Highest Set 495万円
EVとEV Basic Setの装備の差は軽微だ。交通標識認識システム(TSR)、ドアミラーのヒーテッド機能、自動防眩ルームミラー、ステアリングがBasic Setでは本革巻きになる。
EV BasicとEV Highest Setの装備差は、アダプティブLEDヘッドライト、クルージング&トラフィックサポート、デイタイムラインニングライト、シートがクロスからクロス+合成皮革になるなどかなりある。
スペック
MX-30 EV(日本仕様)
Technical Specifications
全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1565mm
ホイールベース:2655mm
トレッド:F1565mm R1565mm
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式
車重:1650kg
パワートレーン:e-SKYACTIV
駆動用モーター:交流同期モーター
最高出力:145ps(107kW)/4500-11000rpm
最大トルク:270Nm/0-3243rpm
駆動用二次電池:リチウムイオン電池
総電圧:418V
バッテリー容量:35.5kWh
水冷式
充電:DC充電 CHAdeMO
AC(普通)充電 最大6.6kW
一充電走行距離(WLTCモード):256km
交流電力量消費率 WLTCモード:145Wh/km
市街地モード 121Wh/km
郊外モード 129Wh/km
高速道路モード 152Wh/km
最高出力145ps、最大トルク270Nmのモーターはフロントに搭載され前輪を駆動。最高速度は140km/h(欧州仕様)、0-100km/h加速タイムは9.7秒(同)となる。注目すべきは電池容量で、総電力量は35.5kWh。これは日産リーフの40kWhよりも少ない(リーフ上位グレードe+系では62kWh)。さらに小さなBセグメントに属するプジョーe-208の電池容量は50kWhだが、比較しておよそ7割程度に抑えられている。
ちなみに、Honda eの電池容量は35.5kWhでMX-30 EV MODELと同じ。ボディサイズの小さいHonda eの一充電走行距離はベースモデルで283kmである。
これはマツダがバッテリーの生産、動力源となる電力の発電方式まで含めて環境に考慮した結果、決定されたスペックだ。マツダの試算によれば資源採取から生産、消費、そして廃棄までを含めたライフサイクルアセスメント(LCA)全体で見ると、EV用バッテリーに起因するCO2排出量は決して少なくはないとしている。火力発電で電力を賄うとなればこの段階でも多くのCO2が発生。大きく重い大容量バッテリーを搭載するとなれば、内燃機関の車両と比較してもEVはかなりの走行距離を重ねない限り、一概にエコとは言い切れなくなる。
ならば、LCAを考慮して適度なサイズのバッテリーを選択し、車両のモデルライフ全体でのCO2排出量を抑えて環境性能を高めようというのがマツダの思想だ。車両製造時の環境負荷を抑え、価格や車両重量もむやみに上昇させずEVを成立させることが可能になる。35.5kWhの電力量で、WTLCモードの一充電走行距離は256km。セカンドカーとしての使用であれば充分という発想である。そして、「これ以上の航続距離が必要な方は、今後ロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーやPHEVも計画しているからそちらをどうぞ」ということだ。電池容量に過度に頼らず、電動車の環境性能をより高めるアプローチを行なっているわけだ。
日本での発売には購入の選択肢を広げるため残価設定型クレジット「マツダスカイプラン」が利用できる。3年後の残価率は従来のエンジン車と同じでメーカー希望小売価格の55%に設定している。これは非常に高い残価率である。
ちなみにマツダスカイプランの残価率は
3年プラン:55%
4年プラン:43%
5年プラン:35%
6年プラン:30%
と発表されている。