ここ5年の日米両市場での販売台数を見てみよう。
日本市場
2020年 30位 2万4222台
2019年 29位 3万1538台
2018年 27位 3万8290台
2017年 26位 4万1622台
2016年 32位 2万235台
アメリカ市場
2020年 14万5420台
2019年 15万3434台
2018年 15万622台
2017年 12万7563台
2016年 11万2235台
2016年 11万1450台
現行CX-5が登場して4年が経った。マツダは着実に改良を加えて商品力をキープしている。最新の技術改良はソフトウェアのアップデートによって性能向上を図っている。
現行CX-5が登場して4年が経った。マツダは着実に改良を加えて商品力をキープしている。最新の技術改良はソフトウェアのアップデートによって性能向上を図っている。
マツダが誇るSKYACTIV-D2.2のソフトウェアのアップデートによって出力が190ps(140kW)から200ps(147kW)へアップした。試乗したのは、SKYACTIV-D2.2を搭載した4WDモデルのBLACK TONE EDITION(6AT)だ。
マツダR&Dセンター横浜まではマイカーのF30型BMW320dで出かけた。B47型2.0ℓ直4ディーゼルからSKYACTIV-D2.2型2.2ℓ直4ディーゼルへの乗り換えだ。
乗り換えてすぐに気づくのは、SKY-D2.2のNV性能の高さだ。明らかにBMWよりも静かだし振動も少ない(最新のG20型320dは未試乗だが)。一回毎の燃焼の粒(なんてものはないのだが)が細かく、かつ揃っている印象だ。
BMW 320dスポーツ(F30型)のB47型2.0ℓ直4ディーゼルのスペックは
最高出力:190ps(140kW)/4000rpm
最大トルク:400Nm/1750-2500rpm
一方のCX-5の商品改良前が
最高出力:190ps(140kW)/4500rpm
最大トルク:450Nm/2000rpm
今回の商品改良で
最高出力:200ps(147kW)/4000rpm
最大トルク:450Nm/2000rpm
である。
3000rpm以下では改良前とトルクもパワーも変わっていないから、実走行ではあまりパワーアップを体感できるシーンはないだろう。4000rpmでのトルクが330Nmくらいだったものが350Nmにアップしたことで最高出力が4000rpm時に200psになったというわけだ。3000rpm回転より高回転域での伸びということではメリットはあるだろうが、それよりも「200ps!」という気持ちの方が大きい。200psですよ!
今回の改良点のハイライトのひとつは、アクセルペダルの味付けの変更だ。簡単に言うとアクセルペダルが「重く」なったのだ。グラフを見てわかるとおり、踏み始めからキックダウンスイッチ作動点までどのシーンでもペダル踏力は重くなっている。これは乗ってみても感じる。重くなったというより、速度とアクセルペダルの関係が「タイト」になった感じだ。パワートレーンとしての高級感が増した印象だ。「重い」という言い方より、「思い通り」という方が近い。アクセルペダルが軽いと、自分の希望よりも踏み込んで(=加速してしまって)、慌ててアクセルペダルを戻す(オーバーシュート)という動きが出てしまう。運転はギクシャクするし、もちろん燃費にも悪影響がある。重くしすぎれば、「加速が悪いという印象」と「運転していて足首が疲れる」ことに繋がる。
じつは、筆者は以前マツダのテストコースで、同じクルマでアクセルペダルの重さを「軽い」「市販車の同じ」「重い」を切り替えて試乗させてもらった経験がある。オルガン式のペダルを同じ試乗車から取り外し、3種類の使用のペダルに入れ替えながらの試乗だった。そのときに、アクセルペダルの踏力の違いが、こんなにもドライビングに影響するのかと驚いたのだ。足だけでなく、頭の動き、頭を支える筋肉の緊張度などさまざまな部位に関係があるのだと教えてもらった。
そのマツダ技術陣が自信を持ってセッティングしたアクセルペダルだけあって、CX-5 SKYACTIV-D2.2はまた洗練度を上げている。
参考のために記しておくと
巡航時のエンジン回転数はメーター読みで次の通りだ(目視で)。
100km/h 2030rpm
110km/h 2150rpm
120km/h 2350rpm
といったところだ。今回はせっかくなので新東名の速度制限120km/hの路線も走ってみた。120km/h巡航でも車内の騒音レベルは気にならなかった。ただし、前面投影面積が大きいSUVだから、120km/h巡航すれば、燃費には多少悪影響が出るだろう。
今回は、325.1km走って燃費計のデータは14.3km/ℓだった。ちなみに高速主体で走った(120km/h走行もした)233.3kmでは15.7km/ℓだった。
ところで、昨今の論調ではディーゼルにやや逆風が吹き始めている。ここは冷静な議論が必要だろう。今回の実燃費を元に少し考えてみよう。
次はCO2排出量も少し考えてみよう。
1ℓのガソリンと軽油が排出するCO2の量は環境省のデータによると
ガソリン 2322g/ℓ
軽油 2619g/ℓ
である。
ちなみに単位発熱量は
ガソリン 34.6GJ/kℓ
軽油 38.2GJ/kℓ
で軽油の方が大きい。
この数字で考えると今回のSKYACTIV-D2.2(4WD)のCX-5の燃費14.3km/ℓでのCO2排出量は
166.8g/km
である。
同じ燃費達成率で試算すると
SKYACTIV-D2.2:166.8g/km
SKYACTIV-G2.5:207.3g/km
SKYACTIV-G2.5T:221.1g/km
となる。
ここでもディーゼルエンジンの優位が見える。
ディーゼルで14.3km/ℓの燃費であれば、ガソリンで13.9km/ℓ走ればほぼ同じCO2排出量になるわけだ。
また原油の溜分の割合のうち軽油は21.6%(石油成分の得率)になる。つまり。この21.6%は軽油として使うのがもっとも効率がいいのだ。
燃費、テールパイプCO2排出量、電源構成(EVやPHEVなどでは)WtWの考え方など、さまざまな視点がある自動車用燃料だが、選ぶ側の我々もいろいろ要素を考えながら冷静に選ぶ必要が今後はさらに必要になるだろう。
政府がどう旗振りをしても、すべての自動車が2030年代半ばにEVだけになることもないし、ディーゼルがなくなることもない。
CX-5に乗ってあらためて考えた。ディーゼルはいい。今後も技術開発を続けて上手に使っていくべきパワートレーンだ、と。洗練されたディーゼルエンジン、SKYACTIV-D2.2の価値はまだまだ上がることはあっても下がることはないのだ。
マツダCX-5 BLACK TONE EDITION
全長×全幅×全高:4545mm×1840mm×1690mm
ホイールベース:2700mm
車重:1710kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rマルチリンク式
駆動方式:4WD
エンジン
形式:2.2ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ
型式:SH-VPTS型
排気量:2188cc
ボア×ストローク:86.0×94.2mm
圧縮比:14.4
最高出力:200ps(147kW)/4000pm
最大トルク:450Nm/2000rpm
燃料:軽油
燃料タンク:58ℓ
燃費:WLTCモード 16.6km/ℓ
市街地モード:13.6km/ℓ
郊外モード:16.6km/ℓ
高速道路モード:18.4km/ℓ
トランスミッション:6速AT
車両本体価格:359万1500円
オプション価格:21万4500円(地上デジタルTVチューナー 2万2000円、10.25インチセンターディスプレイ 2万2000円、ボーズサウンドシステム+10スピーカー 8万2500円、電動スライドガラスサンルーフ 8万8000円)