TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)
発砲炎(はっぽうえん)とは、大砲や戦車砲、ライフルや拳銃など「銃砲」の射撃時に銃口・砲口の先に発生する火球のことを指す。銃砲は火薬の燃焼高圧ガスを利用して弾丸を高速射出するもの。このとき、銃口・砲口からは弾丸とともに燃焼ガスなどが噴出し、強烈な閃光を発する。これが発砲炎。英表記ではマズルフラッシュなどという。
戦車の発砲炎はとくに凄まじく、装薬量や気象条件にもよるが、おおむね車体サイズ以上の発砲炎が出現する。戦車の射撃音は「ドカン」というよりも「カッ」という表現に近い音で、ほぼ同時に伝播してきた衝撃波を体全体で感じるものだ。放たれた弾頭は瞬時といえるごく短い時間で目標へ達し、命中、標的を貫通もしくは破壊する。
こうしたことが展開されるのが陸上自衛隊・富士総合火力演習だ。見学スタンドの目前で射撃が行なわれ、発砲炎を間近に見るには最適の機会。ここで紹介している写真も総火演で撮影したものだ。射撃というものがどういうことなのか、それがよくわかる機会である。今年は開催できるようになってほしいものだ。