シューはカムと呼ばれる部品が回ることで開閉する。開くことでドラムにシューが当たって制動力を発生するわけだ。シューを外す時は2カ所ある支点からスナップリングを外してカムを広げる。この状態でシューを手前に引き出すのだ。シューを外したらバックプレートを外して周囲をキレイにしておこう。
エンジン側をキレイにしたらプレートや周囲のパーツも清掃しよう。ちなみに我が家にはサンドブラスト機もあるがエアコンプレッサーの容量が小さいため、アッと驚くような仕上がりにはならない。でもサビや汚れを落とすくらいは可能。ということでプレートとドラムを処理した。
エンジン側の汚れを落としていて気がついたが、プレートの裏にはゴムのOリングが合計3個あった。ここも汚れを落として保護艶出し剤を塗布しておく。清掃が終わったらプレートを組み直しておこう。
外したシューは厚い所で3ミリ以上残っていたが、何年前のものかわからないので今回は新品に交換することにした。贅沢だがベスパは意外にもパーツが安い。今回用意したのはイタリア製で2枚セットが880円(税別)。財布に優しいのだ。
新品のシューはそのまま組まず、角をヤスリで削って面取りしておこう。これはブレーキの泣きを予防するとともに、当たり面をできるだけ広くしたいから。
またベスパのブレーキ整備ではシューの面にスリットを入れて制動力を強化するのが定番。ただ、そこまでせずとも十分なので面倒くさがり屋さんは省いても大丈夫だ。
シューの面取りを済ませても、そのままシューは組まない。これだけ汚れていたエンジンだから、シューを開閉するカムの周囲もデロデロなはず。ということでスムーズに動くようにするため、カムを外して清掃&グリスアップする。
カムを外すには裏側にあるリンク状のアームからスプリングを外してフリーにする。するとアームが回り割りピンで固定されていることがわかる。割りピンを外せばカムからアームが外れ、カムを引き抜くことができるのだ。
カムを引き抜いたらエンジン側を徹底的に清掃しよう。またカムの入る穴も十分に清掃して脱脂しておくこと。内部にはグリスが溜まっているので、古いグリスはすべて取り除こう。
取り外したカムやアーム、スプリングなどもキレイに清掃しておこう。ただ、ここまでサビが出ていると新品に交換しても良かった気がする。とはいえ、走り出してからでも簡単に作業できるので、今回は再使用する。
カムを清掃しているとゴムのOリングが2個あり、細くなった部分のグリスが飛び出さない構造であるとわかる。当然劣化しているのでOリングを外して溝の内部もキレイにしておく。
Oリングは各サイズが揃った汎用品を持っていたので、その中からサイズの合うものを選ぶ。Oリングセットも今やネットで手に入るから、ケチらず新品交換しておこう。さぁ、それではカムを組み戻すことにする。まずは細くなっている部分にグリスを塗っておく。
清掃したためカムはスムーズに入っていくが、Oリングが新品のため抵抗があるはずだ。力ずくではなく回しながらゆっくり入れていこう。反対側からカムが出てきたらアームとスプリングを入れて最後までカムを通す。通したらアームを新品の割りピンで固定してスプリングをかけよう。
あとはシューを取り付けるだけだが、その前にシューが入る部分にもグリスを塗布しておこう。動く部分には基本的にグリスを塗るのが鉄則。ブレーキ関係にはシリコングリスがいいようだ。
2枚あるシューはスプリングをかけた状態で装着する。カムと反対側の穴にシューを2枚とも入れつつ。外した時と同じ要領でカムを回して開いた状態にする。ここにシューを少しずつズラして装着するのだ。ポン!とハマってくれるはず。
シューを組んだら、忘れずに落下防止のスナップリングを装着する。重要保安部品であるブレーキの整備なので、こうした部分には細心の注意が必要だ。
シューを装着したら、あとはドラムを元に戻すだけ。ドラムをスプラインに沿って差し入れたらアクスルナットの内側にカラーを入れる。この時、スプラインに薄くグリスを塗っておくといいだろう。
最後にブレーキが効くかテストする。といっても簡単で、ドラムを手で回してブレーキカムを操作するだけ。これで回転が止まってくれたら、残りは前後のタイヤを装着してから効き具合を調整する。また、カムでドラムを止めた状態でナットを締めるといいだろう。新品の割りピンを入れたら作業完了だ。