SABIC は、自動車レーダー・センサーに向けたレーダー吸収LNP「STAT-KON」コンパウンドに2種類の新グレードを追加し、同社のスペシャリティー材料のポートフォリオを大幅に拡張したことを発表した。

 新たなグレードはポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をベースとしており、PBT材料を使用して製造されたレドームとの統合に利用でき、自動車分野で要求される優れた耐薬品性を提供する。本製品は、より高い温度領域での使用が可能なポリエーテルイミド(PEI)をベースとする製品や高い耐久性と物理特性のバランスが要求される一般用途に向けたポリカーボネート(PC)樹脂をベースとした製品など、SABICの既存のレーダー吸収LNP STAT-KONコンパウンドを補完するものである。また本コンパウンドは、無線周波数(RF)の吸収率が高いことから、レーダー・センサーの検出範囲を拡張すると共に信号分解能の向上に寄与する。




 レーダー・センサーは先進運転支援システム(ADAS)で広く使用されており、死角検出、衝突回避、自動ブレーキ、交通警報などの機能を提供する。またレーダー吸収体(RAM、Radar absorbent material)は、レーダー波の発信源を遮蔽するために使用され、ゴースト像、誤動作、警報を引き起こす原因となる側帯波を減衰する。レーダー吸収LNP STAT-KONコンパウンドの選択肢が広がったことで、製造業者はセンサーのポジショニングや機能の柔軟性を向上でき、車両サイズなど車両に応じて最適なセンサーを設計可能となる。




 SABICのLNP製品マネージャーのJeff Xu氏は「レーダー・センサーは、LiDARやカメラ機能を損なう視界不良の状況であっても動作可能なため、ADASスイートにおける重要な構成要素です。近年レーダー・センサー市場は急成長しており、進化を続けるテクノロジーの支援に向けて、SABICはセンサーの精度と信頼性を増強できるスペシャリティー材料を継続的に開発しています。当社のLNPコンパウンドのポートフォリオは、レーダー波の高い吸収率を提供するとともに、軍用に設計された電波吸収体と比べて、コスト面での潜在的メリットがあります」と話している。

典型的な自動車用レーダー・センサーにおいて、レーダー吸収プレート(左から 2 番目の部品)を除くすべての部品が薄型化。

自動車レーダーのグローバルな成長をサポート

 Grand View Research, Inc.によると、自動車レーダー市場は2025年までに121.6億USDに達し、年平均成長率(CAGR)は20.8%に達すると予測されている。こうした急拡大の背景には、自動車産業への投資拡大、車両販売台数の伸び、安全性の重視、レーダー技術の革新などがある。




 新材料は、センサーの性能向上を通じて、この成長軌道に貢献している。SABICの新たなPBTベースのLNP STAT-KONコンパウンドは、77GHzで67%のRF吸収率を実現することで、自動車のADAS機能を高めることができる。SABICでは、レーダー・センサーの急速な進歩に伴い、新しい樹脂やより高いレーダー吸収特性を備えた材料をベースとした追加グレードを開発している。




 SABICは、材料開発における幅広い専門知識を備え、自動車環境において、レーダー装置をどのように設計し、その装置の性能を発揮すべきかについて多くの経験がある。同社は、広範な周波数での革新的な誘電特性テストと測定、およびシミュレーションを実行できるモデリング・ツールの開発にも取り組んでおり、レーダー・センサー製造業者や自動車OEMによるシステム設計と統合の最適化をサポートしている。




 SABICのすべてのレーダー吸収LNP STAT-KONコンパウンド製品ラインは、世界中で入手可能である。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 SABIC:自動車レーダーセンサー向けレーダー吸収LNP「STAT-KON」コンパウンド・ファミリーに新グレード2種を追加