TEXT●吉田直志(YOSHIDA Naoshi)
3位は、トヨタ・ハイラックス。フェイスリフトだけかと思ったら、意外にも大改良。インタークーラーを空冷から水冷にスイッチさせ、燃費性能向上はもちろん、同時に制御をちょっと変えたようで扱いやすさまで整え、さらには空荷状態での乗り心地を不足ないレベルまで仕立てた、その正常進化たるトータルの設えに感銘。
また、新たに採用されたオートLSD(2WD時に作動)は安定性を狙っただけかと思いきや、ハンドリングに愉しさをプラスしていて、オドロキ。正直、改良前モデルのユーザーは乗り換えるとさらに幸せになれるんじゃないか、とまで思った。
2位に選んだルノー・ルーテシアは、RSでもないのに、ここまでハイレベルのアジリティは必要? さらにはスタビリティをもう少し落としてもBセグメントモデルとしては十二分に通用するのでは? と思えるほどに奢られた、その「ベース」ポテンシャルに驚き。
インテリアでは、このクラスなのに、強烈なコントラスト与えてもチープさが感じられない黒と白のコンビを用いたことが好印象。ただ、半角カタカナ、日本ではあまり見かけない書体の採用などは、ちょっとマイナス。
乗り心地に硬さがある? あ、ルノーは、いつも一部改良か、マイナーチェンジでしなやかさをプラスしてくるので、待っていれば、その不満、解消されます。
ダイハツ・タフトは絶対的な性能だけではなく、商品性を含めて、また、皆さんが気付いていないアドバンテージが多くあり、総合的1位に。
走行性能については、DNGAと呼ばれる新型プラットフォームコンセプトの第3弾モデルであり、その使いこなし、つまり熟成具合が一気にアップしてて、自分的には驚き度は軽乗用車という枠を超えて、今年最大。とにかく乗り味がいい。
そして、軽乗用車でありながらガラスルーフを採用どころか、標準装備にまでして、商品性を引き上げよう(盛り上げよう?)としたスタンスにも感銘。
さらには、2WDモデルでありながら空転したタイヤのスリップを制御してグリップを提供するグリップサポート制御の採用(こういった制御は4WDだけかと思ったので開発陣に2WDにも付けたほうがいいんじゃないですか? と進言したつもりが「2WDにも付いていますよ」と自信あり気に回答されてしまった)にもビックリした。
さらにさらに、DNGA採用モデルからだが、インフォテインメントにディスプレイオーディオ(DA)を選べるようにし、そこに、これまでは高額なナビゲーションシステムを必須としていた、いわゆるパノラミックビュー(ダイハツではパノラマモニター)を低価格で実現してしまっていること。ちなみに6.8インチならば税抜9万円で、ラジオ機能、AppleとAndroidともにスマホ連携機能、カメラによる周囲表示、駐車支援システムまで網羅。
とにかく、タフトのあれこれは、ユーザーのことを考えたスタンスに立ったものばかりで、クロスオーバーモデルだからという以前に、驚きは大きい。
ちなみに、なぜにタフトにこれほどに詳しいかといえば、実は、高齢の両親が購入したから。買い替えターゲットは、優れた実用性から当初はタントだったが、かつてロータリーエンジン搭載モデルを乗り回し、後にバイクでサーキットを走りまわっていた父親が、突然にタフトがいいと言い出したのだ。
息子としては、今後の送迎に活躍することやら考えると、いまだにタントのほうが良かったのではと思っているが...。
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