新型BRZの概要はこちらの記事をご覧いただきたい。
3台ともに、ロングノーズ、ショートデッキの典型的なスポーツカーのプロポーションをもっている。典型的である理由は、3台ともにFR(フロントエンジン、リヤ駆動)であるからだ。
それでも、新型BRZのキャビンがやや大きく見えるのは、BRZが2+2(つまり乗車定員は4名)だから。フェアレディZとスープラは2シーターである。
新型BRZのボディサイズは
全長4270mm×全幅1775mm×全高1310mm、ホイールベース2575mm
である。
ホイールベースの2575mmは現行型より5mm長いが、おそらくプラットフォームは現行型のキャリーオーバーだろうと予想する。
対する次期日産フェアレディZもおそらく2021年中には正式にデビューするはずだ。
次期フェアレディZのボディサイズは
全長4382mm×全幅1850mm×全高1310mm、ホイールベース2550mm(予想)
ホイールベースの2550mmは予想値だ。こちらもおそらくプラットフォームは現行型からキャリーオーバーされるだろう。SUV人気、電動化、厳しいCO2排出量規制のもとで、まったく新規にスポーツカーを開発するのは難しい。プラットフォームをキャリーオーバーして熟成させて性能を上げていくのが現代流のスポーツカー開発だ。
トヨタ・スープラはBMWと共同開発というカタチで生まれたFRスポーツカーだ。
ボディサイズは、全長4380mm×全幅1865mm×全高1295mm、ホイールベース2470mm
3台のスポーツカーのなかでもっともホイールベースが短いのがスープラだ。全長は次期フェアレディZとほぼ同じ。全幅の1865mmはもっとも広い。グラマラスなボディがスープラの特徴だ。
全長4300mm±100mmの比較的コンパクトなFRスポーツという共通点がある3台だが、パワートレーンはまったく違う。
新型BRZの心臓は新開発の2.4ℓ水平対向4気筒
次期フェアレディZは(おそらく)3.0ℓV6ツインターボ
スープラは、直列4気筒/6気筒ターボ
と、水平対向/V型/直列とバラエティに富んでいる。
新型BRZのエンジンは、FA24型水平対向4気筒DOHCだ。現行型のFA20型が2.0ℓだったのに対して、新型は2.4ℓ。これにともなって最高出力、最大トルクともにアップしている。
現行型と共通なのは、自然吸気エンジンであること。フェアレディZ、スープラがターボ過給エンジンなのに対して、BRZはあくまでも自然吸気にこだわる姿勢を見せる。つまり、高出力・大パワーより扱いやすくレスポンスのいい回して楽しいエンジンを志向しているということだろう。最高出力回転数が7000rpmという高回転になっているのもその表れだ。
このエンジンは、北米のアセントなどに積んでいるターボ過給のFA24の自然吸気版。吸排気に可変バルブタイミング機構がつき、燃料供給は、直噴とポート噴射を併用するD-4Sを使う。
エンジン形式:2.4ℓ水平対向4気筒DOHC
エンジン型式:FA24
排気量:2387cc
ボア×ストローク:94.0mm×86.0mm
圧縮比:13.5
最高出力:231ps/7000rpm
最大トルク:250Nm/3700rpm
次期フェアレディZのエンジンはまだ発表されていない。モーターファンの予想は、現在スカイライン400Rが搭載する3.0ℓV6ツインターボのVR30DDTT型。400Rより高スペックになって登場するかもしれないが、ここでは400Rのスペックを紹介しておく。
エンジン形式:3.0ℓV型6気筒DOHCツインターボ
エンジン型式:VR30DDTT
排気量:2997cc
ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm
圧縮比:10.3
最高出力:405ps/6400rpm
最大トルク:475Nm/1600-5200rpm
トランスミッションは6MTを設定することは発表されている。2ペダルトランスミッションは、(希望的観測も込めて)ジヤトコが新開発した9速となるとしておこう。
スープラのトップレンジは、BMWのB58型3.0ℓ直6DOHCターボである。最高出力は387ps/5800rpm、最大トルクは500Nmだ。次期フェアレディZとライバル比較するならこの直6ターボということになるが、今回の主役は新型BRZ。したがって、SZ-Rが搭載するB48型2.0ℓ直4ターボのスペックを紹介しよう。
B48型直列4気筒DOHC ターボ
排気量:1998cc
ボア×ストローク:82.0mm×94.6mm
圧縮比:10.3
最高出力:258ps/5000rpm
最大トルク:400Nm/1550-4400rpm
スープラSZ-R排気量は2.0ℓだが、ターボ過給エンジンなので、BRZの2.4ℓ自然吸気エンジンより馬力/トルクともに高スペックになる。
組み合わせるトランスミッションはZF製8速ATで、MTの設定はない。
3台ともタイトで囲まれ感のある古典的なスポーツカーのコックピットの文法に則っている。
FRスポーツカーなら、マツダ・ロードスターを外すわけにはいかない。ロードスターは2.0ℓエンジン搭載のRFを選んでみた。
エンジンはSKYACTIV-G2.0の直4自然吸気。スペックは次の通りだ。
エンジン形式:直列4気筒DOHC
SKYACTIV-G2.0
排気量:1997cc
ボア×ストローク:83.5mm×91.2mm
圧縮比:13.0
最高出力:184ps/7000rpm
最大トルク:205Nm/4000rpm
マツダ・ロードスターRFのボディサイズは
全長3915mm×全幅1735mm×全高1245mm
ホイールベース2310mm
である。新型BRZと比べると全長で325mmも短い。やはり、ロードスターは、FRライトウェイトスポーツで、86/BRZとは違うカテゴリーの住人であることがわかる。
それにしても、スポーツカーにとって厳しい環境で、(頑張れば手が届く価格の)国産FRスポーツが4モデルも存在することにあらためて驚いた。
2021年は86/BRZ、フェアレディZが新型に切り替わる、ある意味、純エンジンによるスポーツカーの最後の煌めきの年になるのかもしれない。