TEXT●菰田潔(KOMODA Kiyoshi)
デザインが素晴らしい!と思う3台を選んだら、なんと日本車が2台入っていた。
第3位は、ジウジアーロがデザインしたことで知られる「いすゞ・117クーペ」だ。
この後継車として登場したピアッツアも素晴らしかったが、117の美しく柔らかい面で構成されたエクステリアデザインは美術品を見ている気にさせられる。
特に斜め後ろから見た印象は、今見ても独自の個性と先進性を感じる。ボンネット、フェンダー、ドア、トランクリッドに特別なキャラクターラインが入っているわけでもないのに、ひとつの美しい塊として見ることができる。
これは机の上で線を描いてできたものではなく、最初から立体で造り始めたものではないか、と思っている。
第2位は、スバル360だ。
試作車はスバルの前身である中島飛行機の職人の手によって作られた。大人4人が乗れること、バスが登れる道なら登っていけるエンジンパワーがあることを最低限の性能目標にした。そして出来上がったものは機能美というのに相応しいものだった。
開発を担当した百瀬晋六氏に生前お話を伺ったことがるが、スバル360はとことん機能を追求してできたものだという。ボディの剛性と軽量化は相反するものだが、飛行機を作るときと同じ手法を用い出来上がったものから過剰な部分を削っていくことで、剛性を保ったまま軽量化を実現したという。
機能美は何年経っても古くならないことをスバル360は証明している。
第1位は、BMWの初代6シリーズにあたる635CSi(E24)である。今となってはこの頃のキドニーグリルが一番小さかったかもしれないが、BMWデザインのすべてが盛り込まれたエクステリアデザインだと思う。
ボンネットを前に伸ばしてシャークノーズにしたり、サイドのキャラクターラインやらCピラーの根元が上に跳ね上がるホフマイスターエッケなどどこから見てもBMWだし、どこから見てもバランスが取れて美しい。きれいにレストアしている愛好家も少なくない。
『美しすぎるクルマ・ベスト3』は毎日更新です!
どんなに走りが楽しくても、どんなに乗り心地が良くても、ブサイクなクルマには乗りたくない。そう、デザインはクルマの命。ということで、これまで出会ったクルマの中からもっとも美しいと思ったベスト3を毎日、自動車評論家・業界関係者に選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。