今井優杏さんが選んだ「美しすぎるクルマ」は、いかに「ナデナデ」したくなるかを基準にセレクト。その第1位に輝いたのは、アストンマーティンDB11だ。全身に隙と無駄が一つもない、最上級のナデナデカーだと今井さんは語る。




TEXT●今井優杏(IMAI Yuki)

ハッと心惹かれる、またはつい見送る、というクルマは数ありますが、いつまでも手元に置いてナデナデしたい、くらいに思えるクルマはなかなかありません。なので、今回はナデナデ目線で選びました。

第3位:アバルト595コンペティツィオーネ

2代目500を見事に現代流に解釈し、3代目500に昇華させたのはロベルト・ジョリート。現在はFCAのヘリテージ部門の責任者を務めている。アバルト595はその3代目500をベースに、エアロパーツや大径ホイールで武装している。

3位はアバルト595コンペティツィオーネ。フィアット500じゃ駄目なのかっていうと、全然OKです。しかしお題が「史上最高に美しいクルマ」ですから欲張って高い方のアバルトを選んだだけです(てへ)。




しかし、500ベースのデザインの凄さは、かように500に代表される「ポップ」と595シリーズに見られる「クール」を、ベースは同じモノながら、テイストで完璧に棲み分けるという引き算の美学。こってりしているようで実は底まで澄み渡ったスープなんだということを、595のゴテっとした感じを見ると再認識するのです。




あそこまでテイストを盛ろうとすると、並のクルマ、たとえば日本のコンパクトカーをベースにしたりすると、もっとグチャグチャになっちゃうと思うから。こういう手法、トゥインゴとかも上手ですよね。

第2位:レンジローバー・ヴェラール

2017年にデビューしたレンジローバー・ヴェラール。ファミリーの末弟であるイヴォークの一つ上のポジションに位置する。デザインを統括したジェリー・マクガバンはディフェンダーを手がけた後、ジャガー・ランドローバー全体のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに昇格した。

2位はレンジローバー・ヴェラール。SUVを見て「美麗...!」と驚愕したのは初めてかもしれません。




もちろんイヴォークもキレイなんですけど、ヴェラールほどのボディーサイズだからこそ、アプローチ&デパーチャーアングルを考慮された前後オーバーハングのストンと切り落とした感じがあっても、存分にボンネットが長くてホイールベースもゆとりがあり、全体的なシルエットが前後方向に美しい。




特にサイドから見たときのルーフのシュっと筆で描いたような傾斜角にぐっときます。内装も好き。

第1位:アストンマーティンDB11

2016年に、DB9の後継モデルとして登場した四座グランドツアラーのDB11。デザイナーのマレク・ライヒマンは、2005年からヘンリク・フィスカーのあとを継いでアストンマーティンのデザイン部門を牽引している。

1位はアストンマーティンDB11。ヴォランテでもクーペでもなんでもいい、無条件に好き。写真なんかで見るよりナマのほうが断然、美しい。




ちょっと有機的な感じすら漂わすヘッドライトの水滴みたいな形状とか、同じくグリルの開口の造形とか、ノーズの長さにルーフの傾斜、そしてヒップライン、もう、好き(2回め)。最上級のナデナデカーだと思います。




全体的にするりとなめらかな曲線で構成されているのに、そしてかなり大きなボディサイズなのに、フェンダーの張り出しや線&面構成でデザインの間延びがなく、隙と無駄が一つもない。ドアミラーすらも美しい。佇まいだけでドキっとさせるなんて、只者じゃありません。




ああ、ここまで書いててシトロエンDS(1955)とかSLS AMG(最終型)とかも好きだったなぁとかフツフツと湧いてきてしまったので慌ててPCを閉じようと思います。止まらんなぁ。

『美しすぎるクルマ・ベスト3』は毎日更新です!




どんなに走りが楽しくても、どんなに乗り心地が良くても、ブサイクなクルマには乗りたくない。そう、デザインはクルマの命。ということで、これまで出会ったクルマの中からもっとも美しいと思ったベスト3を毎日、自動車評論家・業界関係者に選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。
情報提供元: MotorFan
記事名:「 【美しすぎるクルマ・ベスト3(今井優杏)】アストンマーティンDB11は最上級のナデナデカーだ!