レポート日:2020年10月3日
オドメーター:3091km
TEXT&PHOTO◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)
8月の狂気じみた酷暑が過ぎて過ごしやすくなった。MFトゥインゴ号のオドメーターは3000kmも過ぎて、心なしかエンジンの吹け上がりもよくなった気がする。
相変わらず、街中を元気に走り回るときのトゥインゴ号の楽しさは格別だ。コンパクトカーだから、というわけではなく、「RR」だからこそ味わえる感覚がトゥインゴ号にはある。なんてこともない十字路をなんてこともないスピードで曲がる、それも楽しいのだ。
フロントタイヤが受け持つのが操舵だけだから、とかいろいろな説明ができるが、そんなことよりちょっと乗ってみればすぐに気づく、すっきりとした乗り味がトゥインゴ号の美点である。
全長4m以下(3645mm)
RR=リヤエンジン・リヤ駆動
前後異サイズのタイヤ(F165/65R15 R185/60ZR15)
最小回転半径:4.3m
というのがトゥインゴ号の基本的な成り立ちだが、最近、同様のクルマが登場した。
Honda eである。
全長4m以下(3895mm)
RR=リヤモーター・リヤ駆動
前後異サイズのタイヤ(F205/45ZR17 R225/45ZR17)
最小回転半径:4.3m
だ。
Honda eは、横浜で行なわれた試乗会で短時間だが街中をドライブすることができた。
Honda e、楽しいのだ。後輪駆動のコンパクトカーという共通点のとおり、街中の交差点でステアリングを切ってコーナリングするときの気持ちよさ、これはトゥインゴ号ととても似ている。
では、まずボディサイズを比較してみよう。
試乗会で、「ああ、やっぱりコンパクトなサイズがいいな!」と感じさせてくれたHonda eだが、我らがトゥインゴ号は、Honda eより、さらに全長で200mm、全幅で100mmも小さいのだ。20cmと10cm! トゥインゴ号、小さっ!
上の写真は、リヤアクスルセンターを同一線上に置いて並べてある。Honda eのフロント/リヤのオーバーハングの短さがよくわかるが、トゥインゴ号は、さらに短い!
大きく違うのは車重だ。
Honda eが1540kg
トゥインゴ号が1040kg
だから、なんと500kgもHonda eが重い。
前後重量配分は、
Honda eが50:50
トゥインゴ号が45:55
である。
Honda eもトゥインゴ号も最小回転半径は4.3m。
前輪の切れ角は、FF→FR→RRで大きくできる。
ちなみに、軽自動車のホンダN-ONEやN-BOXの最小回転半径が4.5m。つまり、この2台は軽自動車より小回りがきくのだ。
RRだから実現できた数字だろう。
これ、本当に街中を走る時にありがたい。どこへも自信をもって入っていけるし、前後にクルマが駐まっている駐車スペースでも一発で駐められる。
同じRRでも、やはりエンジンとモーターでは乗り味は大きく違う。
試乗会でHonda eに乗った後に、トゥインゴ号に乗ったら、ある意味トゥインゴ号の「野蛮さ〔!?)」に驚いた。3気筒ターボは盛大に振動するし、後ろからは元気なエキゾーストノートが聞こえる。
EVのHonda は音もなく振動もなく走る(EVらしい高周波のノイズは本当によく抑えられている)。
どちらがいいか、と言えば、正直に言えばHonda eが気に入ってしまった。
でも、トゥインゴ号の、盛大な音と振動の世界も、やはり心地いい。
ちなみに、パワーウェイトレシオは
Honda e:10.0kg/ps
トゥインゴ号:11.3kg/ps
と大差はない。
約3000kmほど走った平均燃費は、いまのところ13.1km/ℓ。燃料タンクは35ℓだから458.5km、走れる。
一方のHonda eは、一充電で走れる距離はWLTCモードで259km。ここは、トゥインゴ号の勝ち。
Honda eは、「OK, Honda?」と話しかければ、AIの本田くんが答えてくれる。「OK, Honda、近くでイタリアンが食べたいな。駐車場があるところで」というと、候補をすぐに教えてくれる。
トゥインゴ号で、「イタリアンが食べたいな」とつぶやいても、もちろん、なにも答えてくれない。
だからといって、なにか不自由か、といえば、そんなことはない。
だから、トゥインゴ号は、これでいいのだ。
Honda eもトゥインゴ号も、どちらも楽しい。そしてそれは小さな「RR」だからこそ、の楽しさもあるのだ。
■ルノートゥインゴ EDC キャンバストップ
全長×全幅×全高:3645×1650×1545mm
ホイールベース:2490mm
車両重量:1040kg
エンジン形式:ターボチャージャー付き直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:897cc
最高出力:68kW(92ps)/5500rpm
最大トルク:135Nm/2500rpm
トランスミッション:6速DCT(6EDC)
サスペンション形式:Ⓕマクファーソン Ⓡド・デオン
ブレーキ 前/後:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡドラム
タイヤサイズ :Ⓕ165/65R15 Ⓡ165/60R15
乗車定員:4名
WLTCモード燃費:16.8km/ℓ(市街地モード) 17.6km/ℓ(郊外モード) 19.5km/ℓ(高速道路モード)
車両価格:213万5000円
Honda e Advance
全長×全幅×全高:3895mm×1750mm×1510mm
ホイールベース:2530mm
車重:1540kg
サスペンション:Fマクファーソン式 Rマクファーソン式
モーター形式:交流同期モーター
モーター型式:MCF5型
定格出力:60kW
最高出力:154ps(113kW)/3497-10000rpm
最大トルク:315Nm/0-2000 rpm
電池:リチウムイオン電池
総電力量:35.5kWh
総電圧:355.2V
WLTC交流電力量消費率:138Wh/km
一充電走行距離WLTC:259km
車両価格○495万円