エニカのサイトを見ると、シェリングできるクルマのバリエーションの豊富さに驚く。メルセデス・ベンツGクラス、ポルシェ・カイエン、BMW、レクサス、アウディ、ジャガー、テスラ、ジムニー、ハイエースと広範囲なカテゴリーのクルマがラインアップされている。
それだけでなく、オリジナルのミニや、VWビートル、そしてシトロエン2CVなどかなりの旧車まで登録されている。さらには、日本では発売されていない燃料電池車のヒュンダイ・ネッソなどもラインアップ。
じつはこのヒュンダイは、ヒュンダイ・モータースの日本法人が掲載したもの。また、アウディなどいくつかのディーラーも、車の魅力を感じて欲しいという狙いを持って登録をするケースが増えてきたという。
今後は、個人と登録の拡大ともに、企業の登録などの参入にもよって、さらにさまざまな車種、さまざまな地域への拡大が期待できる。
エニカの基本となる特徴的な部分は、自分のクルマを貸すシステムということ。現在、クルマの平均稼働率はわずか3%で、残りの97%は車庫に保管されていることになる。確かにこの不効率さは、不経済さを助長する。他方で、人口1000万人を超える都市は、2014年の28地域から41地域に拡大している。予測では2030年には人口の6割が都市に集中するという。このことは、交通インフラの供給不足が課題となることを示している。
このなかで、クルマを所有する人が所有しやすく、そして利用する人が利用しやすい環境に貢献するという双方のニーズを両立させるのがエニカの狙いだ。
駐車場に駐まったままのクルマを有効活用する。また、個人所有のクルマをシェアリングすることのメリットは、ある場所に出向いて借りるという移動を促すことから、近所のクルマを借りるという、個人所有ならではのメリットが活きてくることになる。
実際に東京都23区内の現状では、受け渡しスポットは4200箇所。23区内で徒歩10分(800m)以内に受け渡しスポットが14箇所もある、というところまで成長したという。つまり、徒歩圏内でほぼ確実にクルマが確保できるまでに至っている。このあたりが、単一企業ベースで拠点を拡大する形とは大きく異なる部分だ。
さらに注目なのは、前述したようにレンタカーなどのように決められたクルマしかないのではなく、750車種以上という個性的な車種がラインアップされていることで、移動の必要性として借りるという他に、このクルマに乗りたいという希望もかなえてくれるものになっている。
例えばエニカの人気車種ランキング上位には、トヨタ・アルファード、ポルシェ・カイエン、BMW3シリーズなどが常連としてランクされる。このクルマを借りたいという、これまでのクラスだけを指定するだけのレンタカーやシェアリングとは、ちょっと異なるニーズに対応できていることの証だ。欲しいクルマを、買う前にじっくりと試乗してみることにも利用できる。
ディーラーの試乗ならば、ディーラー周囲を回るだけ、それもセールスマン付きという、ちょっと堅苦しいものになりがちだが、エニカならば1日でも、それ以上でもじっくりと見極めることができる。
エニカ利用者のアンケートに、興味深いものがある。利用者がカーシェアを利用するに当たって、「抵抗感が全くない/少ない」と答えた割合についてだが、5月には36%だったものが6月には67%となっている。
明らかに抵抗感が薄らいでいるのだが、この理由が「他の公共交通機関を利用するよりも感染リスクが低いと考えたから」という答えが61%を占めたという。
また、新規会員数も4-6月はおよそ5000〜7000件/月だったものが、7月では約1万7000件、8月では約2万2000件と急増している。これもやはり、クルマで移動することでの感染リスクに対する安心感も評価されているものと考えられる。
現在、クルマを利用するにはシェアリングなどさまざまな形が存在するが、個性的なモデルの揃うエニカも大きな選択肢のひとつとなるだろう。
なお、エニカではこの5周年を記念して、9月25日より記念キャンペーンを実施の予定だ。豪華なプレゼント企画や、代官山蔦屋書店で乗れる、トヨタ・スープラ、メルセデス・ベンツGクラスの展開。書店内表示など、エニカをより身近に感じられる企画を用意しているという。詳細については、エニカのウエブサイトをご覧いただきたい。
また、借りる側でなく、貸す側としてグレードアップしたクルマを購入するのも面白いだろう。