同社は、熱の移動方法である対流・伝導・輻射のうち、対流に着目。固体で最も熱伝導率の低い物質であるシリカエアロゲルは、内部の細孔が空気の動けないほどの空間に仕切られており、空気が対流できないことにより熱伝導が抑制される。今回、このシリカエアロゲルを微細に粉砕した断熱フィラーとして加工。独自の高分子材料技術により、フィラーが高密度な状態を維持したままでの塗料化を実現し、塗膜として、静止空気の熱伝導率0.026W/mKを下回る、0.020W/mKを達成した。
住友理工はこの薄膜高断熱材「ファインシュライト」について、不織布にコーティングしたシートタイプでの供給を始めた。狭い隙間や空間にも設置でき、軽量であることから、同社が主な事業基盤とする自動車向けへはもちろん、熱対策が必要な家電、住宅、保冷ボックスなど幅広い用途での断熱対策に寄与する。さらに、不織布以外にもさまざまな基材に応用が可能なため、さらなる製品展開を見据えた開発を進めていく。