選ぶに当たって、モーターファン編集部の「20代・クルマ好き・地方出身」のスタッフとその周辺にもリサーチを行なった。今回は、「100万円で買える」クルマを選んだが、中古のスポーツカーを選ぶとなると、クルマを見極める目も重要だ。また購入してから、「手を入れてコンディションを上げる、あるいは維持するためのコスト」もそれなりにかかることも忘れないようにしたい。100万円で買える中古スポーツカーは、どうしても低年式になる。クルマによっては新車登録から10年以上経った個体も多くなる。コストについては、余裕をもって考えたい。
フェアレディZといえば、日本を代表するスポーツカーの一台だ。現在6代目で、今回紹介するモデルは5代目(Z33型)に当たる。4代目の生産終了から2年の空白を経て2002年に復活した5代目のシャシーは11代目(V35型)スカイラインと同じフロントミッドシップパッケージ(FMパッケージ)を採用。3.5ℓ V6エンジンが搭載されており、トランスミッションは6MTと5ATが選べる。またスーパーGTなどの耐久レースにも参戦。レース向けホモロゲーションモデルであるバージョンニスモ・タイプ380RSやロードスターが設定されるなど幅広いラインアップが用意された。またこの5代目から2シーターのみの設定となった。
エクステリアは初代を見据えつつ、シンプルでクリーンなデザインは発売から18年経つ現在でも全く古臭さを感じない。インテリアでは初代、2代目モデルに採用されていたインパネ中央に設置された3連メーターが復活し、スポーティーな印象を引き立てている。
このZ33型の中古平均価格は現在約80万円を推移しており、日本を代表するFRスポーツカーを100万円以内で手に入れることができる。
※中古市場を見てみるとタマかずが多いのは、ATモデルだ。MTモデルの方が価格はやや高いようだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4310×1815×1315
ホイールベース(㎜)=2650
エンジン:3.5ℓ V型6気筒DOHC
駆動:FR
最高出力:280ps(206kW)/6200rpm
最大トルク:37.0kg・m(363N・m)/4800rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
新車価格:310万円
※2002年発売当時のスペック
CR-ZはHonda独創のハイブリッドシステムのIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)と、先進的で躍動感のあるデザインが特徴だ。1.5ℓ i-VTECエンジンと小型・軽量なIMAの組み合わせにより、走りの楽しさと優れた燃費性能を高次元で両立しており、走行の状況や、ドライビングスタイルなどに合わせて、「SPORT」「NORMAL」「ECON」の3つの走行モードを選択できる3モードドライブシステムを搭載している。またこのクルマのトピックはハイブリッドカーとして世界で初めて6速MTを設定したこと。当時はハイブリッドカー=エコという考え方が主流だったが、その概念を見事覆した。
エクステリアは当時ヒットしていた2代目インサイトやプリウスと同じワンモーションフォルムとし、空力を追求したドアミラーやアウタードアハンドルなどに、専用デザインが採用されている。インテリアは運転席側は運転に必要な機能を集中配置し、スーパー3Dメーターを中心に、その左右に水平基調のバー表示とした計器類をレイアウト。高い視認性と、クリスタルブルーの照明による未来感を演出している。残念ながら(いまのところ)一代限りで消滅してしまったCR-Zだが、タマ数はスポーツカーしては少なくない。価格はお手頃だ。
平均中古車価格は、約75万円。ハイブリッドと6MTによるクリーンで爽快な気持ちの良い走りを求める人におすすめだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4080×1740×1395
ホイールベース(㎜)=2435
エンジン:1.5ℓ 水冷直列4気筒SOHC+モーター
駆動:FF
最高出力:113ps(83kW)/6000rpm
最大トルク:14.7kg・m(144N・m)/4800rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
トランスミッション:CVT
新車価格:249万8000円
※2010年発売当時のスペック
ホンダ・インテグラは、「走る・曲がる・止まる」という高い基本性能と洗練されたデザインを誇るスポーツクーペ。2001年に発売された4代目は、最高出力160馬力2.0ℓ DOHC i-VTECエンジンを搭載する「iS」と、最高出力220馬力の2.0ℓ DOHC i-VTECエンジンとクロスレシオ6速マニュアルトランスミッションを組み合わせた「TYPE R」の大きくふたつのグレードが設定された。
今回は「iS」を紹介する。エクステリアは立体的で空力性能に優れたエアロダイナミックなフォルムを持つ、個性的で力強いデザインが特徴。インテリアも運転席を中心としたドライバー優先のスポーティーでパーソナルな空間を創出している。低回転域で1バルブをほぼ休止する吸気側のVTECと、吸気バルブタイミングの位相をエンジン負荷に応じて連続的に制御するVTCを組み合わせた最高出力160ps(118kW)、最大トルク191Nm(19.5kg・m)の2.0ℓ DOHC i-VTECエンジンを搭載。トランスミッションは5MTとダイレクト制御Sマチック付5ATが選べる。
重量は約1,200kgと軽量。馬力は控えめだが、スポーティなドライブを十分に楽しめる。中古車平均価格は45万円。タイプRはさすがに100万円を超えてしまうが、日常でのスポーツを楽しむならiSがぴったりだ。余った予算は、メンテ代に当てよう。
全長×全幅×全高(㎜)=4385×1725×1135
ホイールベース(㎜)=2570
エンジン:2.0ℓ 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
駆動:FF
最高出力:160ps(118kW)/6500rpm
最大トルク:19.5kg・m(191N・m)/4000rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
トランスミッション:5AT
新車価格:249万8000円
※2001年発売当時のスペック
トヨタMR-SはMR2の後継車で、1999年から2007年まで生産された2シーターのオープンスポーツカーだ。なんとこのクルマ、960kg(Bエディション)という超軽量ボディに、ミッドシップエンジン・リヤドライブを採用している超マニアックなオープンカーなのだ。ミッドシップレイアウト及びショートオーバーハングによりヨー慣性モーメントを小さくしたうえ、ロングホイールベースとしたことで操舵応答性と収束性の両立を図り、これにより卓越した操縦性と走行安定性を実現した。
エクステリアはロングホイールベースとショートオーバーハングのタイヤを4隅にレイアウトし、ドシッとした力強いプロポーションが特徴だ。またルーフは2つ折り収納が可能な、ガラス製リヤウインドウを備えたソフトトップが採用されている。
トランスミッションは5MT(2002年以降のモデルは6MTに変更された)のみだが、通常のHゲイトのほかに、AT免許でも走行可能なシーケンシャル(2ペダル)も採用されている。
平均中古車価格は約85万円。個性派オープンスポーツを求める人にぴったりな一台だ。ただし、タマ数は少ないから、程度のいい出物を見つけたら、ぜひチェックしてみてほしい。
全長×全幅×全高(㎜)=3885×1695×1235
ホイールベース(㎜)=2450
エンジン:1.8ℓ 直列4気筒DOH
駆動:ミッドシップ
最高出力:140ps(103kW)/6400rpm
最大トルク:17.4kg・m(170.6N・m)/4400rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
トランスミッション:5MT
新車価格:249万8000円
※1999年発売当時のスペック
2003年デビューのマツダRX-8は、2002年に販売を終了した3代目RX-7の後を受けて登場したモデルだ。コンパクトなロータリーエンジンの特長を活かした車両レイアウトがもたらす操縦性能、自然吸気高性能REによる気持ちの良い加速感を感じることができるスポーツカーだ。搭載されるロータリーエンジン「RENESIS」は、軽量、コンパクトながら、ハイパワー仕様では250ps(184kW)の高出力を発揮する。サスペンションは、アドバンスドフロントミッドシップにより可能になったローボンネットを生かすため、フロントに新開発のインホイールタイプ・ダブルウィッシュボーン式を、リヤにはロングリンクマルチリンク式を採用。これにより、俊敏な回頭性と優れた安定性を両立させ、マツダの目指す、人と車とが一体となり意のままに操れる楽しさを実現している。
またスタイリングにも特徴がある。4ドア・4シーターでありながら、スポーツカーとしてのスタイリングを独創的に表現。ピラーレスの前後観音開きの4ドア、「フリースタイルドア」によって、「より2ドアらしい4ドア」を実現した。後席はそこまで広くなく、長距離乗車には向いていないが、他の2ドアモデルと比べれば使い勝手、居住性は高い。
中古の平均価格は約65万円。ロータリーエンジン搭載車がこの価格で手に入るとは驚きだ。ただし、燃費は、JC08モード燃費が9.0km/ℓ、実燃費もそれなりなのは、わかって買う必要がある。
全長×全幅×全高(㎜)=4435×1770×1340
ホイールベース(㎜)=2700
エンジン:1.3ℓ 水冷直列2ローター
駆動:FR
最高出力:210ps(154kW)/7200rpm
最大トルク:22.6kg・m(222N・m)/5000rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
トランスミッション:5MT
新車価格:240万円
※2003年発売当時のスペック
今回は中古で100万円以内で買えるスポーツカーを紹介した。クルマを操る楽しさを体感するには、価格もサイズもパワーも手頃なモデルを選んでみた。100万円といえども、FRからミッドシップ、NAからハイブリッド、REと様々な種類のスポーツモデルが充実している。20代のクルマ好きでスポーツカーを考えているなら、この5台をショッピングリストに載せて検討してみてはいかがだろうか。多くの車種があるがその中からぜひ自分にあった性格の一台を見つけていただきたい。