TEXT &PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)
すれ違う新型スズキ・ジムニーを横目で追いながら、知らない林道を今日は目指す。去年の台風と今年の長梅雨での崖崩れ。2ヵ所ほどあったお気に入りの場所は、いまは通行止めで行くことができない。
僕のスズキ・ジムニーは1986年式のJA71という型式だ。あれ? と思う人もいるかもしれない。フロントグリルはその前のSJ30のものが付いており、多分フロントバンパーは軽バンのバンパーが付いている。譲り受けた時点でバンパーが付いていなかったので車検の為にこれになった。ホイールはJB23の純正アルミホイールに夏タイヤ。冬タイヤはスチールホイールに贅沢にもブリザックを履いている。
僕はオリジナルにこだわるタイプではないのである程度安ければその方が良い。手元に来た時からそうなっていたり、「あ、これで良いよね。着けちゃおう!」もある。「これ付く?あげるよ!」なんてパーツもある。だから僕のスズキ・ジムニーはごちゃごちゃではあるのだが、それで良いと思っている。
スズキ・ジムニーには、いまは幌タイプはラインアップから消えてしまったが、これはメタルドアと呼ばれていた仕様で、ドアに窓枠がある。手動レギュレーターによるサイドガラスの上下、ルーフと荷室は幌である。エアコン、パワーステアリングなんて当然無し。エンジンは550ccのターボ付き。80km/h巡行ぐらいまではストレスはなし。
暑い? うん暑い。
でも後ろの幌をくるくる巻いて全開にしておけば、風が通り抜けていくので、気持ちは良い。少し手間がかかるけれども、ウイルスジープMBのようにフロントウインドウを前に倒す事もできる。
寒い? 寒くはない。
ヒーターはあるから。さて「どうなの?スズキ・ジムニー?」の話はこのあたりで。「どんな楽しみ方してるの?」が僕には都合が良くて書きやすい。
ハンモックを吊るには丁度良い距離の立ち木を2本見つけないと当然だが吊れない。これは結構難題で、持っては来たが、張れる場所がないと言う人もきっと多かったのではないかな。木が1本でいいのなら、ハンモックを吊れる確率はかなり上がる。僕は、その1本をスズキ・ジムニーのロールバーで代用しようと考えていた。そんな場所ならきっとある。
1本も木のない所、例えばフラットな芝生のキャンプ場でも、フレーム付きのハンモックが商品化されているので、そちらの方が確実ではある。金属製のフレームがかさばるのと、値段アップは仕方ないところではある。ゆるり、関西だとはんなりかな。ハンモックに揺られながら、放浪の旅への誘いを受けた本、そして写真集。左手を伸ばせば、丁度良い距離にスナック。触れた物を食べれば良い。ランチは凝らずにインスタントで済ます。コンビニのサンドイッチ、おにぎりでも良いと思う。グルメが今日の目的ではないのだから。
もちろん、料理に時間をかけるのも良いと思う。音楽を聴くのも良い。風と光とあとはひとつ自分で選ぶ。陽が西へ傾いたら、帰りの準備。来た時よりも美しく。次に来た人が「きっと誰も来た事がないね、ここ」そう思ってもらうのが、見知らぬ人へのプレゼント。
今度一緒に珈琲飲もうか!