第三 悪質・危険運転者対策の推進に関する規定の整備
一 妨害運転に対する罰則の創設(第百十七条の二及び第百十七条の二の二関係)
(一) 他の車両等の通行を妨害する目的で、一定の違反行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者に対する罰則を創設する。
(二) (一)の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者に対する罰則を創設する。
二 運転免許を受けることができない期間等に関する規定の整備(第九十条、第百三条及び第百七条の五関係)
公安委員会は、運転免許を受けた者が一の(二)の行為をしたときは、その者の運転免許を取り消す
ことができることとするとともに、三年以上十年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が運転免許を受けることができない期間を指定すること等ができることとする。
三 運転免許の効力の仮停止に関する規定の整備(第百三条の二関係)
一の(二)の行為をし、よって交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合について免許の効力の仮停止の対象とすることとする。
まず、通常は軽微な違反とされているのに、まかり間違えば、即免許取り消し、最悪、懲役にまでつながるおそれのある反則行為は、次の通り。
1. 通行区分違反
2. 急ブレーキ禁止違反
3. 車間距離不保持
4. 進路変更禁止違反
5. 追い越し違反
6. 減光等義務違反
7. 警音器使用制限違反
8. 安全運転義務違反
9. 最低速度違反(高速自動車国道)
10. 高速自動車国道等駐停車違反
従来は警察官に検挙されても「青切符」にサインし、後日、反則金を納めればチャラ(点数はつくが)になっていたが、今後は少しでも「あおり運転」の疑いをもたれた場合、あるいは他のクルマのドライバーからいいがかりをつけられた場合は、ただでは帰れないことになる。
もちろん、明らかに前車を後ろからあおって、しまいには前に割り込んで相手ドライバーに暴行をふるうなど、誰が見ても「妨害運転」と判断する悪質な行為であるならともかく、当該ドライバーに改正道交法の要綱にあるような「他の車両等の通行を妨害する意志」があったのか、なかったのかを判断する基準が、一切示されていないなんて明らかに「とんでも法」といえるのではないか? 警察は当事者の証言やドライブレコーダーの映像を見て捜査当局が判断すると言ってはいるが、結局はおまわりさんの胸先三寸になりやすいことに変わりない。
とにかく、コロナ禍をきっかけにひとりよがりの「正義」を振り回す「マスク警察」や「自粛警察」などという輩が横行するこの世の中、他のクルマの運転にいいがかりをつける「あおり運転警察」が出現しないとも限らない。そんないいがかりにはドライブレコーダーの記録などを根拠に、断固たる態度で、臨んでほしい。