REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru)
取材協力●トライアンフ モーターサイクル ジャパン
トライアンフ・スピードツイン.......1,685,500円
プレスリリースから引用するとスピードツインは“カスタムロードスター”と呼ばれている。冒頭に記した通り、往年のネーミングを2019年に復活導入。クラス最高のハンドリングとスリリングなパフォーマンスを備えていると言う。
一見そのフォルムは、ボンネビルT120ベースのお手軽な派生モデルに見えるかもしれない。しかし、実はフレームもエンジンチューニングも専用新開発されており、同ブランドに掛けた意気込みの強さが感じられる力の入ったホットモデルなのである。
搭載エンジンはもちろん1200ccのバーチカルツイン。ショートストロークタイプのSOHC8バルブと270°クランクの採用等、基本的には共通だがスラクストンRのユニットをベースに専用チューニングが施された。
ボンネビルT120と比較すると圧縮比は10.0から11.0対1へと変更。最高出力は80ps/6,550rpmから97ps/6,750rpmへ、最大トルクは105Nm/3,100rpmから112Nm/4,950rpmへ大幅に向上している。
クラッチ部品一式も変更熟成され、マグネシウムカバー等、エンジンカバー類も軽量化が施されている。スラクストンエンジンと比較しても2.5kg軽く仕上げられた。左手スイッチで簡単に切り換えられるライディングモードもロード、レイン、スポーツの3モードから選択できる。
またフレームはアルミ部品を組み合わせた新デザインの採用で軽量高剛性を追求。リヤのスイングアームもT120はスチール製だが、スピードツインはアルミ製を装備。7本スポークの軽量アルミキャストホイールの採用等、車両重量も大幅に軽量化され、スラクストン比で10kgダウンの196kg(乾燥)に仕上げられている。
前後タイヤは17インチZRコードのピレリ製ディアブロロッソⅢ。ちなみにボンネビルT120はフロント18、リヤ17インチサイズ。フロントのジオメトリーも専用設計され、T120はキャスターが25.5°、トレールが105.2mm だったが、スピードツインは22.8°の93.5mm。フロントフォークを立てた設計が印象深い。
これは軽快なハンドリングを重視した設計を意味している。特別にスポーティなセッティングが施されているのである。
鋭さを隠して穏やかに走るカッコ良さに魅力を覚えた。
足つき性チェック(身長168cm)
ディテール解説
◼️主要諸元◼️
エンジン形式:水冷SOHC並列2気筒 8バルブ270°クランク
排気量:1200cc
ボア・ストローク:97.6×80mm
圧縮比:11.0 :1
最高出力:97PS(72kW)/6,750rpm
最大トルク:112Nm/4,950rpm
吸気システム:マルチポイントシーケンシャル電子燃料噴射
エグゾーストシステム:2-INTO-2 エグゾーストシステム(ブラシ仕上げ)
始動方式:セルモーター
潤滑方式:ウェットサンプ
潤滑油量:3.8L(フィルター交換時・3.4L/オイルのみ交換時・3.2L)
駆動方式:Xリングチェーン
クラッチ:湿式多板式、アシスト付
トランスミッション:6速
一次減速比:1,257(93/74)
二次減速比:2.625(42/16)
ギヤ比
1速:3,500(49/14)
2速:2,500(45/18)
3速:1,850(37/20)
4速:1,480(37/25)
5速:1,296(35/27)
6速:1,172(34/29)
フレーム:鋼管とアルミニウム製クレードル
スイングアーム:アルミニウム製両持ちタイプ
ホイール(前/後):鋳造アルミ合金、マルチスポーク、17x3.5インチ / 同17x5.0インチ
タイヤ(前/後):チューブレス120/70 ZR-17 / 同160/60 ZR-17
サスペンション(前/後): φ41mmフォーク/ プリロード調整機能付きツインショック
トラベル量(前/後):120 mm/120 mm
ブレーキ(前/後):Brembo製φ305mmツインディスク、対向4ピストンキャリパー、ABS /φ220mmシングルディスク、Nissin製2ピストンフローティングキャリパー、ABS
全幅:760mm
全高:1,110mm (除くミラー)
シート高:807mm
ホイールベース:1,430mm
キャスター:22.8 º
トレール:93,5mm
車両重量(乾燥):212kg (196kg)
燃料タンク容量:14.5L
燃料消費率:4.8L/100km(20.8km/L)
⚫️試乗後の一言!