TEXT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
音や振動は盛大に進入してくるのに、遅くて驚いたのが、フィアット500のツインエア搭載車。ターボの過給が始まるまでの低速域はどうやっても遅くて、幹線道路や首都高速などの合流では恐怖すら感じる。しかも、デュアロジックと呼ばれる5速シーケンシャルのシングルクラッチは、どうせなら3ペダルにして欲しい!!というほど、変速時の「間」が大きい。でも、クルマとの「あうんの呼吸」が合ってくるととても楽しいのも事実。
MTは限定車銘柄ということで中古を買うしかないけれど、トコトコという音、振動を盛大に発しながらゆっくり走るのもいいかも。ダウンサイジング、シリンダーレスが叫ばれる時代になっても2気筒まで思い切ったメーカーはとうとう出現せず(レンジエクステンダー用途などならあるかも)。次期500は、EV化されるそうだから乗るなら今だ!!
ボア×ストロークが同じであることから、フェラーリV8の2気筒を落として6気筒化した、と巷間言われてる2.9L V6ターボは、510ps/6500rpm、600Nm/2550rpmという文句なしのスペック。
フェラーリとは異なり、後席もDセグメントらしくきちんと座れるし、荷物だってたくさん積めるからファミリー層にだって使おうと思えば使える(うちの家族だとクルマ酔いが続出しそうな乗り心地だけど)。ジュリアのそれは、セダンという形をしているのに暴力的なほどで、しかもターボでも思いのほか回るのが、いかにもイタリア製らしい。
エンジンで選ぶのなら、直列6気筒、もうそろそろ乗れなくなりそうな12気筒も捨てがたいけれど、ここ数年では運転していて思いほのか痛快だったのが、V型8気筒を搭載するレクサスLC500。
477ps/7100rpm、540Nm/4800rpmというアウトプットを裏切らない力感が公道なら全域で堪能できる。NAエンジンらしくスムーズな回り方なのはもちろん、5.0Lという大排気量と分厚い最大トルクを活かして、低速から有り余るような推進力が感じられる。しかも、アメリカンV8に抱くような荒々しいイメージとはまったく異なり、音振動関係もレクサスらしく申し分なし。
コンバーチブルも出たし、乗るならハイブリッドよりも5.0L V8かな。
【近況報告】
新型ハリアー、RAV4 PHVの完成度の高さに感嘆しつつ、試乗会にあったハイランダー(日本未導入の3列シートSUV。左ハンドル)が、米国を主戦場とするらしく、ゆったりした乗り心地とハンドリング、トルクフルなエンジンで蕩けるような気持ちになってしまった。
【プロフィール】
中古車の広告代理店に数か月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライターになって約17年が経過。現在の愛車は、デミオの最終型(1.5LガソリンMT)で、新車1年で3500kmしか乗っていない。
『気持ち良いエンジンならこの3台』は毎日更新です!
内燃機関は死なず! 世の中の流れは電動化だが、エンジンも絶えず進化を続けており、気持ちの良いエンジンを搭載したクルマを運転した時の快感は、なんとも言えないものだ。そこで本企画では「気持ち良いエンジンならこの3台」と題して、自動車評論家・業界関係者の方々に現行モデルの中から3台を、毎日選んでいただく。明日の更新もお楽しみに。(モーターファン.jp編集部より)