マツダは、新型コロナウイルス感染防止に向けた支援活動として、軽症患者や無症状の病原菌保有者等を搬送する車両を6月5日に広島県に納入した。納車式は同日に広島県庁で行なわれた。

マツダとして貢献できること保健所などにヒアリング

ベースとなったのはマツダCX-8。広い室内空間によって、隔壁を作っても足元空間に大きな影響が出ない点も選択の理由だという。

 搬送車両のベースとなるのはマツダCX-8で、行政や医療機関からの様々な要望を踏まえて開発したもの。マツダ本社が開発を手がけ、マツダE&Tが架装を実施。このマツダE&Tとは、マツダの福祉車両や架装を手がける企業だ。


 納車やメンテナンスなどアフターサービスは提供先に所在するマツダの販売店、広島マツダが行なう。


 提供先は広島県で、提供台数は9台となっている。CX-8を選定した理由については、隔壁を装備した際にも充分な後部空間が確保しやすいこともポイントとなったという。

左上)前席から見た隔壁。限りなく後方視界が広いことがわかる。隔壁の設置によって、前席のシートスライド、リクライニングがある程度規制される。右上)オプションにより差圧計を設定。左)後席の排気システムを追加装備。

 なお搬送車両の仕様として、特徴となるのは3点。


 まず、前席の乗員の感染リスクを低減するとともに、前席と2列目席の間に大型の窓をもつ隔壁を設置。これまでの搬送車は、後方視界があまり良くなかったとの声があり、隔壁の透明なウインドウ部分をできるだけ大きくするように設計された。


 標準装備の空調に加えて、後席排気システムを装備することにより、後席の圧力を低くして前席への空気流入を抑制。排出ブロアには高性能なHEPAフィルターを装備。このHEPAフィルターはJISで規格が決められており、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもつ。よって排出した空気の中のウイルスも効率的に捕集するものとなっている。


 また、感染者搬送後の手入れのしやすさに配慮し、フロアマットのラバー化で除菌、洗浄しやすさを実現。座席に使い捨てのビニールカバーを装備し、感染者搬送後の消毒などの作業負担を軽減した。


 そして、さらなる扱いやすさを求めてオプション装備を設定した。前席と後席の隔壁越しにも、話がしやすい通話システムの設定。さらに、前席と後席の圧力差を確認できる、差圧計も用意されているという。これらも、搬送の担当者の声によるもので、感染患者の状態を確認するために会話をすることが多く、隔壁があっても会話がしやすいようにして欲しいとの要望に応えたもの。圧力計についても、適切な換気が実現できていることを確認できると安心、という希望からの設定としている。

後席のブロアファンで、室内の空気を排出。前席より常に低圧にすることによって、後席から前席への空気の流入を防いでいる。
中央に隔壁と後方右側に排出ブロアが見える。また、後席足元の空気を循環させるラインを新設することによって、後席内の空気の対流を作って淀みのない排出を手助けしているようだ。
情報提供元: MotorFan
記事名:「 マツダCX-8がコロナウイルス感染症軽症患者等向け搬送車両に! 作業者のニーズに応え、より扱いやすい車両を実現