でも、「どうやったらいいかわからないし、ドライビングスクールに行くほどでもないしな〜」
と、行動に移す方は多くないだろう。
そこで、モータージャーナリストであり、BMWやアウディのドライビングスクールでインストラクターも務める齋藤聡さん直伝の、初心者が気にするべき基本のポイントをご紹介する。
まずは、ここから始めよう!
結論から先に申し上げておくと、運転上達のための第一歩は、正しいドライビングポジション(ドラポジ)とハンドル操作ということになる。
今までこの2点について気にしたことのない方は、ここから始めてみてほしい。
例えば、プロ野球選手や陸上競技のアスリートなどが細心の注意をはらってフォームを作り上げているのをご存知の方は多いと思う。クルマの運転は一種の運動なので、身体を動かすのに適したフォーム=ポジションがある。
では正しいドラポジをとるポイントを挙げていこう。
◯ハンドルを切る際に腕を伸ばしたままでは微妙な操作ができない。背中が背もたれから離れていると身体が固定できないので、正確な操作ができなくなる。ハンドル操作をしている時は肘が曲がっていた方が、力のコントロールがやりやすい。
◯ペダル操作も同様で、微妙なアクセル操作やブレーキタッチは膝がのびた状態で足首だけ動かしていたのでは上手くいかない。
◯シートバックもあまり寝かせているとクルマの動きがわかりにくくなってしまうので、少なくとも胸部(肋骨あたり)は立てておかないと頭の位置が決まらない。
と、これらのことを意識してポジションをとると、意外に窮屈な感じのポジションと感じる方が多いかもしれないが、それが基本形だと思ってほしい。
ルーズなポジションをとっていると、自分の身体のコントロールが不正確になるのだ。
なぜ正確さを求めるかというと、不正確な入力ではアウトプットも不正確になり、挙動を感じ取りにくくなってしまうから。意図通りの操作をした時に起こるクルマのリアクションこそが、クルマの挙動として記憶に止めるべきものなのだ。
サーキットなどで開催されるドライビングレッスンのレクチャーでは、まずドラポジのとり方から教えるものが多い。
そこで教えているモータージャーナリストやレーシングドライバーも、インプレドライブを行なう際に、ポジションを合わせずに走り出すことは、まずありえない。それだけ正確な運転操作には、正しい運転姿勢が重要ということがおわかりいただけただろうか?
さて、これで正しいドラポジが取れたところで、次はハンドルの切り方だ。
ハンドル操作には押して切る派や、引いて切る派、ミックス派など色々な流儀があるので、「いやいや、そうじゃないよ」という方もでてくるとは思うが、
齋藤聡さんがBMWやアウディのドライビングスクールで教えているやり方を紹介しよう。
例えば、右に曲がりたい時には、左手でハンドルを押し出して、切り出しの初動を行なう。この時ハンドルを持つ手は時計の3時と9時の位置。
大抵のクルマのハンドルの面は前方に少し傾いているので、腕を前に押し出すようにすれば自然に切れてゆく。
そして180度切ったら持ち変える。180度ごとに切って持ち変えれば、ハンドルを持つ手は位置も同じになるはずだ。
ハンドルは180度切れればタイトな山道でも持ち変える必要はないので、大概のコーナーはクリアできるはず。インプレッションをとる時にも、ハンドルを離さない方が、操作に対するクルマの動きがよくわかるそうだ。
また、ハンドルを戻す時にも、このやり方だと、スッと直進状態が探せるという効果もある。
無理にこのやり方にする必要はないが、ハンドル操作のための基本形が必要なので、そういったものがないドライバーはぜひ試してほしい。
正しいポジションとステアリング操作が決まってこそ、初めて正確な操作が可能になり、それに対するクルマの挙動が確認できるようになるのだ。
今まであまり、真剣にドラポジとハンドル操作を考えたことがない方や、運転が上手くなりたいと思うドライバーは、次にクルマに乗る時には、正しいドライビングポジションと、一定のハンドル操作を心掛けるところから始めてみよう!
毎日乗っている愛車でも、今まで感じなかった挙動を感じることができるかもしれない!
では、安全運転で、楽しいドライビングを!