あのアニメのプラモだから「ガンプラ」、クルマのプラモデルだから「カープラ」。外出がままならない今、肩の力を抜いてちょっとカープラを作ってみませんか? 気になるカープラをピックアップして実際に組み立てながら、実車も振り返ってみましょう。 今回は高級ミニバン市場で絶大な存在感を誇るトヨタの30系ヴェルファイアのカープラを取り上げてみました。




TEXT&MODEL-BUILD◎高橋昌也 PHOTO◎トヨタ自動車 協力◎アオシマ(青島文化教材社)

前期型・ノーマルボディー

前期型・エアロボディ

後期型・ノーマルボディ

後期型・エアロボディ

 トヨタ・ヴェルファイアはアルファードの姉妹車で、アルファードVのネッツ店向けモデルとして2008年に初代モデル(20系。アルファードとしては2代目)がデビューしました。


 名前の由来は「VELVET(ヴェルヴェット=物静かな)」と「FIRE(ファイヤー=炎)」からの造語で、「物静かな炎」=「クールな情熱を持つクルマ」という意味を込めています。高級感や上質感を訴求したアルファードのデザインに対し、「力強さ」や「先進性」を押し出した、やや過激とも言える迫力あるデザインでアルファードよりも若い層にアピールして好評を博しました。


 また、ヴェルファイア(および2代目以後のアルファード)には主に上質感をアピールするノーマルボディ仕様と主に先進性をアピールするエアロボディ仕様がラインアップされているのも特徴で、これは後の2代目にも継承されています。


 2015年にフルモデルチェンジして2020年5月現在も販売されている2代目は、先代よりも大きなメッキグリルを採用し、全幅も20mm拡大されて重厚感が増大。特にエアロボディ仕様車(Z系グレード)のいわゆる「イカツさ」が増したスタイリングは先代のエアロボディ仕様車をしのぐ人気を博しており、エアロボディ仕様車が販売数の約40%を占める勢いを見せているそうです。


 また、フロアの低床化やシートの前後スライド量の拡大などにより、さらにゆとりある車内空間を実現したこと、ダブルウィッシュボーン式リヤサスペンションによる走行性能の向上、全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロールの設定など、多角的な安全性と快適性の充実も高く評価されており、現在もベストセラー高級ミニバンの地位を確固なものとしています。


 2代目ヴェルファイアは2017年12月25日にマイナーチェンジされ、予防安全装備が充実されて安全運転支援の強化が図られたほか、ヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパー、バックドア・ガーニッシュ、リヤコンビネーションランプをデザイン変更、それぞれの個性をより際立たせたスタイリングとなって現在に至っています。


 また2019年12月18日の一部改良(2020年1月6日発売)モデル(2020年5月現在の現行モデル)からは、同年5月7日の4系列店同時全車種併売化の関係から、従来装着していたネッツ店専売モデルを示す頭文字の「N」をあしらっていたフロントエンブレムがトヨタ共通の「T」の字をデザインしたものへ変更されています。


 ここでは便宜上、マイナーチェンジ前のモデルを「前期型」、それ以後を「後期型」と呼ぶことにします。

2代目(30系)ヴェルファイアの年譜

現在までの2代目ヴェルファイアの歩みは以下のようになります。

2015年1月26日


 新車発表・発売




2016年7月4日


 ゴールド加飾を施したヘッドランプやダークメッキを施したフロントグリル、ブラックをベースにゴールドのドットがのぞくウルトラスエードのメイン材に肩部にはダークブルーのクロコ調柄の合成皮革の組み合わせの専用シート表皮などを特別装備した、Zグレードをベースに“Aエディション”の装備を加えた「Z“Aエディション・GOLDEN EYES”」およびZAグレードをベースにした特別仕様車「ZA“GOLDEN EYES”」を設定。






2017年12月25日


 マイナーチェンジ(発売は2018年1月8日)


 第2世代を迎えた予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備


 リヤクロストラフィックアラート(RCTA)やブラインドスポットモニター(BSM)新設定


 ヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパー、バックドア・ガーニッシュ、リヤコンビネーションランプをデザイン変更


 インテリアはメーター加飾やシート表皮、木目の色を変更し、高級感をさらに向上


 エアロボディ仕様の最上級グレードとして、ゆとりのセカンドシートを備える「Executive Lounge Z」を設定。専用内装色や専用加飾、防汚処理加工を施したホワイト色のプレミアム・ナッパ本革シートなどを採用。


 ハイブリッドの エアロボディ仕様にエントリーグレードのZグレードを設定


 3.5Lエンジン車はV6・3.5Lエンジン(2GR-FKS)&Direct Shift-8ATを採用


 構造用接着剤の適応範囲拡大や高剛性ガラス接着剤の使用などによりボディ剛性を高め、より優れた操縦安定性と乗り心地を実現


 ウェルキャブ(メーカー完成特装車)もベース車同様の改良を施し、チルト機構を導入した“サイド・リフトアップチルトシート装着車”を新設定




2018年10月25日


 一部改良


 駐車場などでのアクセルの踏み間違いや踏みすぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ<静止物>)を全グレードに標準装備


 ナビゲーションとのセットオプションとしていたブラインドスポットモニター(BSM)を、デジタルインナーミラーとの組み合わせに変更


 ウェルキャブ(メーカー完成特装車)においてもベース車と同様の改良




2019年5月30日


 クラウン、カローラスポーツ、アルファードと並び、日本における自動車の安全性評価プログラムであるJNCAPにおいて2018年度の予防安全性能評価で最高ランクの「予防安全性能評価ASV2+++(トリプルプラス)賞」を受賞


 アルファードとともに試験結果で最高得点となり「予防安全性能評価大賞」 を受賞


 JNCAPの2018年度の衝突安全性能評価において、クラウン、カムリ、カローラスポーツ、アルファードと並んで最高ランクの「衝突安全性能評価ファイブスター賞」を受賞




2019年12月18日


 一部改良(発売は2020年1月6日)


 スマートフォンとの連携を可能にした9インチのディスプレイオーディオ(DA)を標準装備(従来通りの車載用ナビゲーション機能を利用したい場合は、エントリーナビキットまたは T-Connectナビキットの2種類からの選択も可能)


 従来より設定の T-Connect SD ナビゲーションシステムには10.5 インチディスプレイ、リヤシートエンターテインメントシステムには13.3インチディスプレイを採用し大型化


 バックガイドモニターを全車標準装備


 3眼 LEDヘッドランプ、ウェルカムパワースライドドア&予約ロック機能の標準装備設定グレードを拡大


 スライドドア開閉に連動してステップが展開格納される電動サイドステップ(オプション)を設定


 ウェルキャブ(メーカー完成特装車)においてもベース車と同様の改良




2020年4月20日


 Zグレードをベースに、ゴールド加飾を施したヘッドランプ、 漆黒メッキ加飾のフロントグリルやLEDフロントフォグランプモール、バックドアガーニッシュ、リヤランプガーニッシュなどを採用し、ゴールドをアクセントとした特別感ある外観とした特別仕様車 Z“GOLDEN EYES”を設定(発売は5月1日)

2016年7月4日設定の特別仕様車。Z“Aエディション・GOLDEN EYES”(2WD)<オプション装着車>

2017年12月25日マイナーチェンジ(2020年1月8日発売)。ZR(ハイブリッド車・e-4WD)

2018年10月25日一部改良。ZG(ガソリン車・2WD)<オプション

2019年12月18日一部改良(2020年1月6日発売)。ZG(2WD)

2020年4月20日設定(5月1日発売)の特別仕様車。Z“GOLDEN EYES”(ガソリン・2WD)<オプション装着車>

2代目(30系)ヴェルファイアのグレード

●2代目(30系)ヴェルファイア前期型(2015年1月〜)のグレード


 X/Z/V


  パワーユニット:2.5L(2AR-FE)エンジン+CVT(7速シフト付き)


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):319万7782円〜442万4073円


 ZA/VL/Executive Lounge


  パワーユニット:3.5L(2GR-FE)エンジン+6速AT


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):414万5237円〜671万6618円


 X(HV)/V(HV)/ZR/Executive Lounge(HV)


  パワーユニット:ハイブリッド[リダクション機構付きTHSⅡ{2.5L(2AR-FXE)エンジン}]+CVT(6速シフト付き)


  駆動方式:4WD(電気式)


  価格(税込み・当時):411万3818円〜703万6691円






 特別仕様車 GOLDEN EYES (2016年7月)


 Z“Aエディション・GOLDEN EYES”


  パワーユニット:2.5L(2AR-FE)エンジン+CVT(7速シフト付き)


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):392万6291円〜417万6655円


 ZA“GOLDEN EYES”


  パワーユニット:3.5L(2GR-FE)エンジン+6速AT


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):431万7055円〜451万1455円




●2代目(30系)ヴェルファイア後期型(2018年1月〜)のグレード


 X/Z/V


  パワーユニット:2.5L(2AR-FE)エンジン+CVT(7速シフト付き)


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):335万4480円〜443万円


 ZG/VL/Executive Lounge/Executive Lounge Z


  パワーユニット:3.5L(2GR-FE)エンジン+8速AT


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):463万2000円〜738万円


 X(HV)/Z(HV)/V(HV)/ZR/Executive Lounge(HV)/Executive Lounge Z(HV)


  パワーユニット:ハイブリッド[リダクション機構付きTHSⅡ{2.5L(2AR-FXE)エンジン}]+CVT(6速シフト付き)


  駆動方式:4WD(電気式)


  価格(税込み・当時):436万3200円〜750万8160円




●2代目(30系)ヴェルファイア後期型(2020年5月現在現行モデル)のグレード


 X/Z/V


  パワーユニット:2.5L(2AR-FE)エンジン+CVT(7速シフト付き)


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):352万円〜491万8000円


 ZG/VL/Executive Lounge/Executive Lounge Z


  パワーユニット:3.5L(2GR-FE)エンジン+8速AT


  駆動方式:FF・2WD/4WD


  価格(税込み・当時):518万5000円〜761万9000円


 X(HV)/Z(HV)/V(HV)/ZR/Executive Lounge(HV)/Executive Lounge Z(HV)


  パワーユニット:ハイブリッド[リダクション機構付きTHS㈼{2.5L(2AR-FXE)エンジン}]+CVT(6速シフト付き)


  駆動方式:4WD(電気式)


  価格(税込み・当時):454万7000円〜775万2000円




特別仕様車Z“GOLDEN EYES”(2020年5月)


  パワーユニット:2.5L(2AR-FE)エンジン+CVT(7速シフト付き)(ガソリン車)/ハイブリッド[リダクション機構付きTHSⅡ{2.5L(2AR-FXE)エンジン}]+CVT(6速シフト付き)(ハイブリッド車)


  駆動方式:FF・2WD/4WD/4WD(電気式・ハイブリッド車のみ)


  価格(税込み・当時):424万円〜504万円

2代目(30系)ヴェルファイアの主要諸元

●2代目(30系)ヴェルファイア前期型主要諸元


1:ガソリン車


X/V/VL/Executive Lounge


 ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4930×1850×1880mm(4WD車=1895、Executive Loungeは2WD=1935mm/4WD=1950mm)


 ホイールベース:3000mm


 車重:Xは2WD=1920-1990/4WD=1980-2050kg、Vは2WD=1990-2020/4WD=2010-2080kg、VLは2WD=2070/4WD=2130kg、Executive Loungeは2WD=2100/4WD=2160kg


 駆動方式:FF・2WD/4WD


 X/Vエンジン:2.5リッター直4 DOHC(2AR-FE)


  最高出力:182ps(134kW)/6000rpm


  最大トルク:24.0kgm(235Nm)/4100rp


  トランスミッション:CVT(7速シフト付き)


  タイヤ:(前後)215/65R16-235/50R18


  燃費:2WD=11.4-12.8km/L,4WD=12.0-12.4km/L(JC08モード)


VL/Executive Loungeエンジン:3.5リッターV6 DOHC(2GR-FE)


  最高出力2802ps(206kW)/6200rpm


  最大トルク:35.1kgm(344Nm)/4700rpm


  トランスミッション:6速AT


  タイヤ:(前後)235/50R18


  燃費:2WD=9.5km/L,4WD=9.1km/L(JC08モード)


Z/ZA


 ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4935×1850×1880mm(4WD車=1895mm)


 ホイールベース:3000mm


 車重:Zは2WD=1940-2010/4WD=2000-2070kg、ZAは2WD=2040-2070/4WD=2100-2130kg


 駆動方式:FF・2WD/4WD


 Zエンジン:2.5リッター直4 DOHC(2AR-FE)


  最高出力:182ps(134kW)/6000rpm


  最大トルク:24.0kgm(235Nm)/4100rp


  トランスミッション:CVT(7速シフト付き)


  タイヤ:(前後)215/65R16-235/50R18


  燃費:2WD=11.4-12.8km/L,4WD=12.0km/L(JC08モード)


 ZAエンジン:3.5リッターV6 DOHC(2GR-FE)


  最高出力280ps(206kW)/6200rpm


  最大トルク:35.1kgm(344Nm)/4700rpm


  トランスミッション:6速AT


  タイヤ:(前後)235/50R18


  燃費:2WD=9.5km/L,4WD=9.1-9.3km/L(JC08モード)




2:ハイブリッド車


X/V/Executive Lounge


 ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4930×1850×1895mm(Executive Lounge=1950mm)


 ホイールベース:3000mm


 車重:X=2090-2180kg、V=2140-2180kg、Executive Lounge=2220kg


 駆動方式:4WD(電気式)


 パワーユニット:ハイブリッド(リダクション機構付きTHS㈼)


  エンジン:2.5リッター直4 DOHC(2AR-FXE)


   最高出力:152ps(112kW)/5700rpm


   最大トルク:21.0kgm(206Nm)/4400-4800rpm


  モーター:交流同期電動機


   最高出力:143ps(105kW)


   最大トルク:27.5kgm(270Nm)


  トランスミッション:CVT(6速シフト付き)


 タイヤ:(前後)215/65R16-235/50R18


 燃費:18.4-19.4km/L(JC08モード)


ZR


 ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4935×1850×1895mm


 ホイールベース:3000mm


 車重:2140-2200kg


 駆動方式:4WD(電気式)


 パワーユニット:ハイブリッド(リダクション機構付きTHS㈼)


  エンジン:2.5リッター直4 DOHC(2AR-FXE)


   最高出力:152ps(112kW)/5700rpm


   最大トルク:21.0kgm(206Nm)/4400-4800rpm


  モーター:交流同期電動機


   最高出力:143ps(105kW)


   最大トルク:27.5kgm(270Nm)


  トランスミッション:CVT(6速シフト付き)


 タイヤ:(前後)235/50R18


 燃費:18.4km/L(JC08モード)




●2代目(30系)ヴェルファイア後期型(2020年5月現在現行モデル)主要諸元


1:ガソリン車


 ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4935×1850×1935mm(4WD車=1950mm)


 ホイールベース:3000mm


 車重:Xは2WD=1920-1990/4WD=1980-2050kg、Vは2WD=2000-2030/4WD=2060-2090kg、Zは2WD=1940-2010/4WD=2000-2070kg、VLは2WD=2110-2130/4WD=2170-2190kg、ZGは2WD=2090/4WD=2150kg、Executive Lounge/Executive Lounge Zは2WD=2150/4WD=2210kg


 駆動方式:FF・2WD/4WD


 X/V/Zエンジン:2.5リッター直4 DOHC(2AR-FE)


  最高出力:182ps(134kW)/6000rpm


  最大トルク:24.0kgm(235Nm)/4100rp


  トランスミッション:CVT(7速シフト付き)


  タイヤ:(前後)215/65R16-235/50R18


  燃費:2WD=10.6-11.4km/L,4WD=10.6-11.0km/L(WLTCモード)[2WD=12.6-13.6km/L,4WD=12.6-13.1km/L(JC08モード編集部独自換算値・参考)]


VL/ZG/Executive Lounge/Executive Lounge Zエンジン:3.5リッターV6 DOHC(2GR-FKS)


  最高出力301ps(221kW)/6600rpm


  最大トルク:36.8kgm(361Nm)/4600-4700rpm


  トランスミッション:8速AT


  タイヤ:(前後)235/50R18


  燃費:2WD=9.9-10.2km/L,4WD=9.6-9.9km/L(WLTCモード)[2WD=11.8-12.1km/L,4WD=11.4-11.8km/L(JC08モード編集部独自換算値・参考)]




2:ハイブリッド車


 ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4935×1850×1950mm


 ホイールベース:3000mm


 車重:X=2090-2170kg、V=2160-2190kg、Z=2140kg、ZR=2160-2190kg、Executive Lounge/Executive Lounge Z=2240kg


 駆動方式:4WD(電気式)


 パワーユニット:ハイブリッド(リダクション機構付きTHS㈼)


  エンジン:2.5リッター直4 DOHC(2AR-FXE)


   最高出力:152ps(112kW)/5700rpm


   最大トルク:21.0kgm(206Nm)/4400-4800rpm


  モーター:交流同期電動機


   最高出力:143ps(105kW)


   最大トルク:27.5kgm(270Nm)


  トランスミッション:CVT(6速シフト付き)


 タイヤ:(前後)215/65R16-235/50R18


 燃費:18.4-19.2km/L(JC08モード)

2代目(30系)ヴェルファイアのカープラ

アオシマ 1/32 ザ・スナップキット No.04 トヨタ ヴェルファイア。メーカー希望小売価格1500円(税抜き)

 現在のところトヨタC-HRのカープラは、アオシマ(青島文化教材社)から1/32スケールのものとフジミ模型から1/24スケールのものが発売されています。今回は第1回目で取り上げたトヨタC-HR(https://motor-fan.jp/article/10014551)の時と同じく、接着不要、塗装不要で誰でも簡単に組み立てられるアオシマの1/32スケールのものを選択しました。プラモデルをまったく組み立てたことのない方や、久方ぶりにプラモデルを作るといった方にもオススメできる商品です。


 さて、このカープラは商品名には「トヨタ ヴェルファイア」とあるだけですが、詳しく言えば2代目(30系)ヴェルファイアの前期型、ガソリンエンジンのZ系グレードを模型化したものです(おそらくZAグレード)。C-HRの時にも書きましたが、トヨタのハイブリッド車はエンブレムに青い影がついているのが特徴です。このカープラのカラーリング用シールにそれが再現されていませんからハイブリッド車ではないことがわかります。またエアロボディなのでZ系グレードなのがわかります。ちなみにホイールは235/50R18用のシルバーメタリック塗装の18インチ・アルミホイールですね。


 このカープラには4色のボディカラーがあり、お好みで選べます。今回組み立てたのは「バーニングブラッククリスタルシャインガラスフレーク」ですが、このほか「ホワイトパールクリスタルシャイン」、「ブラック」、「グレイッシュブルーマイカメタリック」があります。もちろんボディカラーとカラーリング用シールの色以外はすべて同じ内容です。

箱の中身。第1回目のトヨタC-HRと同様、組み立てやすさを追求してパーツの一体化をはじめとした徹底的な合理化をはかっているためアッサリした印象を受ける。

リヤのプライバシーグラス部分はブラックスモーク成形の部品を使い、フロントのグラス部分との差別化をはかっている。ちょっとブラックスモークが強めな印象。

バンパーなどはギラギラのメッキ部品、ホイールにはツヤ消し調メッキ部品を使うことで実車の素材や仕上げの違いを表現している。

第1回目のトヨタC-HRと同様、成形不良対策でタイヤ裏側はくり抜かれている。完成後はそんなに見えないとは言え、やはり溝を埋める部品が欲しい。また、タイヤのトレッドパターンも何らかの形で再現して欲しいところ。

こちらも滅多に裏返して見ないとは言え、マフラーの一部が彫刻されただけの車体裏面はいささか寂しい。せめて『トミカ』のようなミニカーの車体裏面ぐらいの彫刻表現が欲しいところ。もしくはシールでも良いかも知れない。

 今回のカープラは第1回目のトヨタC-HR(https://motor-fan.jp/article/10014551)と同様に部品を切り出してシールを貼るだけなので、模型工作用ニッパーとピンセット、つまようじが有れば誰でも簡単に短時間で組み立てられます。もちろんメーカーの指定通りにそのまま組み立てても何の不満もなく仕上がるのですが、今回はちょっとステップアップして、一部を付属のシールを使わずに模型用塗料で部分的に塗装してみましょう。


 塗装と言っても模型用塗料や筆や溶剤をそろえて…という本格的なものではなく、模型用マーカー塗料でチョイチョイと塗ってみる程度のものですので、あまり構えずに気楽に楽しんでみましょう。現在、「模型用」として入手しやすいマーカー塗料は、GSIクレオスから発売されている『ガンダムマーカー』とタミヤから発売されている『タミヤ ペイントマーカー』の2種類になります。三菱鉛筆の『ポスカ』のようなポスターカラーマーカーもプラスチックに塗れますが、塗膜が固く、すぐにパリパリはがれてしまうのでオススメは出来ません。あくまで非常手段でしょう。


 前者はその名前の通り「機動戦士ガンダムのプラモデル」=通称『ガンプラ』の塗装用に開発されたものですが、もちろん『ガンプラ』だけでなくプラモデル全般に使用できます。大雑把に言えば前者はアクリル絵具、後者は油絵具の親戚になり、使われている溶剤はまったく異なります。また、両者ともメーカー希望価格は1本200円(税抜)ですが、『ガンダムマーカー』の特殊塗料シリーズである「EX」は300円(税抜)となっています。今回は黒と銀の2色だけを塗ることにし、黒には『ガンダムマーカー』の「ガンダムブラック」、銀には『ガンダムマーカーEX』の「シャインシルバー」を使用することにしました。


 まずはドアハンドルなど、ボディのメッキ加飾された部分を「シャインシルバー」で塗りました。基本的にはフリーハンドですが、一部はマスキングテープを使用して塗料がハミ出さないよう留意しています。続いてフロントガラスの下部を「ガンダムブラック」で塗装。ここはワイパーの突起が邪魔になってなかなかシールが貼り辛いため、塗装したかったところです。本来、ここに貼るべきシールのフチの部分を利用してマスキングしていますが、そのままではシールのノリが強いので、一度、カッティングマットに貼って粘着力を弱めてから貼っています。また、実車では大型メッキベゼルに囲われた台形のロアグリルの内側も「ガンダムブラック」で塗装した後、周囲を「シャインシルバー」で塗っています。


 フロントウィンドウ上部、サイドの三角窓の周囲、リヤウィンドウの周囲は実車では車内の部品や内側からガラスに貼られたフィルムなので、やはり貼るべきシールのフチの部分を利用してマスキングした後、内側から「ガンダムブラック」を塗っています。これで仕上がりはより実車に近くなります。


 もっともこれらは無理をして塗装する必要はありません。あくまで「楽しむ」ことが大事です。もし仮に塗装に失敗しても、本来、貼るべきシールは無傷で残っていますから、それを貼れば十分にリカバリーできるでしょう。


 今回はこの塗装に最も時間をかけてみましたが、

上から『ガンダムマーカー』の「ガンダムシルバー」、同EXの「シャインシルバー」、『タミヤ ペイントマーカー』の「クロームシルバー」。同じ「銀(シルバー)」でも色の表情が全然違う。「ガンダムシルバー」は最もツヤ消し感が強く、「シャインシルバー」は最もメッキ感が強い。「クロームシルバー」はその中間ぐらい。「ガンダムシルバー」は「銀塗装」、「シャインシルバー」は「銀メッキ」、「クロームシルバー」は「アルミ素材」の表現にそれぞれ向くと思う。

細長い部分はムラにならないよう塗り重ねずに一気に塗りたいので、マスキングテープでマスキングしてから塗装した。マスキングテープは100均で購入したもの。

フロントウィンドウ下部の塗装のマスキング(赤枠で囲った部分)には、もともと貼る指示をされているシールのフチ(ピンク色に着色指示している部分)を使って貼っている。これならいちいちマスキングテープを切り出す手間が省ける。

フロントウィンドウ下部、サイドウィンドウ周囲、Bピラーなどは外側から、フロントウィンドウ上部、三角窓の周囲などは内側から塗装している。これにより少し実車に近づけられた。

リヤウィンドウもシールの「使わないところ」をマスキングシート代わりに使用して内側から黒く塗る。ピラー部分も実車ではクリアーブラックのパネルなので、裏側から黒く塗った方が本物っぽい。

ちょっとしたテクニック。ライトなどのクリアー部品はフチ(断面)を黒く塗ると装着した時に締まった印象になる。透明樹脂は断面から周囲の光を拾って乱反射させてしまうため、余計な光を遮断するわけだ。実車では黒やダークグレーのゴムでシールされている部分。

完成したカープラをフロントから見る。バンパーやBピラーの黒い樹脂部分は塗料と実車の部材とでは質感が違うので、結局、シールを貼ることにした。左右の大きなロアグリルはシール貼りではないので、繊細な彫刻を生かすことが出来た。

完成したカープラをリヤ側から。実車ではリヤライト上下はブラックスモーク樹脂を使ってブラックアウトされているが、カープラではクリア樹脂の下地に黒いシールを貼って表現している。ここはいずれブラックスモーク塗装したい。

 このカープラと同じヴェルファイアは現行モデルの2代目(30系)でも前期型なので、2020年5月現在、すでに中古車でしか購入できません。本サイトの「MotorFan特選中古車検索」で中古車を調べてみると2代目(30系)前期型は全体では166〜555万円、最多価格帯はおおよそ300万円前後といったところ。当然と言うべきか、ハイブリッド車よりガソリンエンジン車の方がタマ数は多くなっています。


 ガソリン車ではノーマルボディの標準モデルであるXグレードかエアロボディのZグレードがタマ数が多く、ハイブリッド車ではエアロボディのZRグレードのタマ数が多いようです。また、Executive Loungeもガソリン車よりはハイブリッド車の方がタマ数が多くなっているようです。ちなみにハイブリッド車だけ見ると価格は239〜555万円といったところでしょうか。


 前期型ならば2.5Lガソリン車のXグレードもしくはZグレードが比較的お買い得と言えるかもしれません。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 トヨタ30系ヴェルファイアを作る アオシマ 1/32 ザ・スナップキット No.04 トヨタ ヴェルファイア【#お家でカープラ】第3回