レヴォーグの次にはレヴォーグのセダン版であるWRXがそう遠くない将来(2021年?)に登場するだろう。
ここでは、スバルがすでに発表している資料と現行エンジンラインアップ等を考えあわせた予想してみる。
この次期レヴォーグが搭載するのは、新開発1.8ℓ水平対向4気筒直噴ターボだと発表されている。わかっていることは
・新開発
・排気量は1.8ℓ
・リーン燃焼
・熱効率40%以上
・圧縮比UP
である。
まずは、現在のレヴォーグが搭載しているエンジンを見てみよう。
FB16DIT
排気量:1599cc
ボア×ストローク:78.8mm×82.0mm
圧縮比:11.0
最高出力:170ps(125kW)/4800-5600rpm
最大トルク:250Nm/1800-4800rpm
燃料供給:DI
使用燃料:レギュラー
排気量:1998cc
ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm
圧縮比:10.6
最高出力:300ps(221kW)/5600rpm
最大トルク:400Nm/2000-4800rpm
燃料供給:DI
使用燃料:プレミアム
の2機種のエンジンをラインアップする。
次期レヴォーグのエンジンはモデルチェンジ当初は1.8ℓ水平対向4気筒直噴リーンバーンターボのみだが、追って新開発1.5ℓ水平対向4気筒直噴ターボ(リーン燃焼コンセプトを採るかどうかは不明)が投入されると噂されている。
ここで1.8ℓと1.5ℓのふたつの新開発エンジンが登場するわけだ。
1.5ℓ水平対向4気筒直噴ターボは従来の1.6ℓFB16DIT(170ps/250Nm)の代替エンジン
1.8ℓ水平対向4気筒直噴リーンバーンターボは従来の2.0ℓFA20DIT(300ps/400Nm)の代替エンジン
ということになる。
まずは、現在のスバルの販売比率やモデル比率を見ていこう。
2019年暦年の生産・販売実績によると世界販売台数は前年比2.0%減の104万1712台だった。
これを地域別に見るとこうなる。
販売は圧倒的に北米に依っている。アメリカとカナダを足すと全体の71.7%。日本が13.5%だから、日・北米で85.2%となる。
つまり、スバルが意を払うマーケットは、まずは北米ということになる。
次に、モデル別販売比率だ。
インプレッサ(32.2%)
レガシィ(26.0%)
フォレスター(26.0%)
アセント(6.7%)
となっている。この4モデルで全体の90.9%を占める。
それぞれのモデルの搭載エンジンはこうなっている。
となると、レヴォーグ、WRX、BRZなどのモデルはスバルにとって主流モデルではないことがわかる。レヴォーグに至ってはわずか1.5%に過ぎない。だから次期レヴォーグがどんなエンジンを積もうが大勢には影響しない……というわけではない。
現在のエンジンラインアップを表にまとめてみた(仕向地によってスペックには違いがある)。
スバルには、1.6ℓ2機種/2.0ℓ3機種/2.4ℓ/2.5ℓの7機種ものエンジンが存在する。ディーゼルと6気筒がラインアップ落ちしたものの、スバルの規模で7機種のエンジンは多い。
このエンジンラインアップが次期レヴォーグ搭載の新開発1.8ℓエンジンを皮切りに整理されていくと予想する。
この時点で
■86/BRZが搭載するFA20型2.0ℓ水平対向4気筒自然吸気エンジンはディスコン。次期型はFA24型の自然吸気版を搭載する。
■WRX S4が搭載しているFA20DIT型は次期型へ移行するタイミングでFA24DITの高出力版に切り替わり、FA20DIT型はディスコン。
となる。
整理すると
現在のFB16(115ps/148Nm)〜FB20(154ps/196Nm)の範囲は新開発1.5ℓ水平対向4気筒直噴ターボエンジンへ
現在のFB20(154ps/196Nm)〜FA20DIT(300ps/400Nm)の範囲は新開発1.8ℓ水平対向4気筒直噴ターボエンジンへ
となる。
これで、全エンジンの直噴化が完了
ひとつ前の中期経営ビジョン「際立とう2020」で2021年度までに世界生産の8割をダウンサイジングターボへ移行するとしていた過給エンジン8割化も完了する。
その時点で自然吸気エンジンは
FA24自然吸気(次期86/BRZ専用)
FB25
の2機種になる。
さて、ここまで予想をご覧になっていただいたわけだが、次にレヴォーグに載る新開発1.8ℓ水平対向4気筒直噴リーンバーンターボについてももう少し予想してみよう。
新開発1.8ℓエンジンは、
・排気量は1.8ℓ
・リーン燃焼
・熱効率40%以上
・圧縮比UP
となっている。
「リーン燃焼」については、もちろん全域リーンというわけにはいかないだろうが、最新の燃焼コンセプトを織り込んでくるだろう。非常に楽しみだ。そのうえで、圧縮比UPも謳っている。
圧縮比の前にボア×ストロークを考えてみよう。
水平対向エンジンでもっとも重要なのはストロークだ。ストロークを延ばせばそれはエンジン幅の拡大に直結する。最新トレンドのロングストローク化にも限度があるのだ。スバルはFBエンジン開発の際に、従来のショートストロークからロングストローク化することに成功している。現在、もっともストロークが長いのはFB20とFB25の90.0mmだ。
ストローク90.0mmまで使うとなると、ボアは80.0mmになる。
ボア80.0mm×ストローク90.0mmで排気量1809.6ccだ。
これでS/B比(ストロークをボアで割った数字。1より大きければロングストローク)が1.125となる。スバルでもっともS/B比の大きなエンジンになるわけだ。
ちなみに、VWのEA211evo(1.5ℓ直4直噴ターボ)のS/Bは1.153だ。EA211evoの圧縮比が12.5だから、スバルの新開発エンジンの圧縮比もターボエンジンながら12.0〜12.5くらいまで上げられるだろう。特別なエンジンでないという位置づけならレギュラーガソリン仕様となるから、12.0あたりになるのではないか?
新開発1.8ℓ水平対向4気筒エンジンの予想スペック(あくまでも予想)はこうなる。
エンジン形式:水平対向4気筒DOHCターボ
排気量:1810cc
ボア×ストローク:80.0mm×90.0mm
圧縮比:12.0
最高出力:200ps
最大トルク:320Nm
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
バルブ駆動:ロッカーアーム
可変バルブタイミング:In/Ex
使用燃料:レギュラー
さて、ここまで予想にお付き合いいただいたので、もう少し進めてみたい。次はスバル版THS、つまりスバル・ストロングハイブリッドについてだ。
ご存知の通り、現在スバルは「e-BOXER」と呼ぶ、マイルドハイブリッドを持っている。とはいえ、このe-BOXERはあくまでも「マイルド」。北米では、クロストレック(XV)に、PHEV仕様が存在する。「Crosstrek Hybrid」だ。
エンジンはFB20。これにTHSⅡのコンポーネントをスバルのエンジニアが苦心して組み込んだのが、Crosstrek Hybridである。PHEV仕様だから、8.8kWhのバッテリーを積み、17マイル(約27km)のEV走行もできる。
しかし、Crosstrek Hybridのパワートレーンは量産前提というわけでもない。搭載するFB20型は圧縮比を13.5まで高めた専用仕様だ。
上に書かれている「SUBARU HEV用エンジン」が、この圧縮比13.5のFB20型を指しているのかは不明だ。ただし、ここまでの予想で(勝手ながら)FB20型をディスコンにしている関係上、ここは「新開発のSUBARU HEV用エンジン」が存在してほしい。
それが、自然吸気1.8ℓ水平対向4気筒エンジンだ。つまり、レヴォーグが積むリーンバーン直噴ターボの自然吸気版である。
スバル版ストロングハイブリッド(BOXER THS)
エンジン形式:水平対向4気筒DOHC
排気量:1810cc
ボア×ストローク:80.0mm×90.0mm
圧縮比:13.0
最高出力:100ps
最大トルク:150Nm
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
バルブ駆動:ロッカーアーム
可変バルブタイミング:In/Ex
使用燃料:レギュラー
というスペックに本格開発したTHSを組み合わせる。
現行プリウスのエンジンは
エンジン形式:1.8ℓ直4DOHC
エンジン型式:2ZR-FXE型
ボア×ストローク:80.5mm×88.3mm
圧縮比:13.0
S/B比:1.10
最高出力98ps/最大トルク142Nm
である。
本家トヨタと同じく1.8ℓエンジンとTHSを組み合わせるというわけだ。
これでスバルのエンジンラインアップは
1.5ℓ水平対向4気筒直噴ターボ
1.8ℓ水平対向4気筒直噴ターボ
2.4ℓ水平対向4気筒直噴ターボ
1.8ℓ水平対向4気筒(ハイブリッド向け)
2.4ℓ水平対向4気筒(86/BRZ向け)
となるわけだ。
この予想がどこまで合っているか? 皆さんも次期レヴォーグが登場するまで楽しみながら予想してみていただきたい。