三菱のラリー史の中で、ランサーの名前は外すことはできない。それはランエボということではなく、1973年発表の初代ランサーに遡る。それ以前の60年代より三菱は世界のラリーに参戦していた。最初はコルト1000、そして初代ギャランへとマシンを変えてきたが、やはり世界を驚かせたのが初代ランサーの登場だった。
わずか1.6ℓのSOHC &ツインキャブのエンジンながら、発表同年の第8回サザンクロスラリーで初登場にして1-4位独占という偉業を達成し、翌年サファリラリーでも初登場で総合優勝。以降、サファリとサザンクロスに参戦しトータル7連覇を飾った。しかし輝かしい戦績の中、排ガス規制で初代ランサーもパワーを失っていった。
そして1979年に登場したのが2代目ランサー。その名も“全てを超える”の思いを乗せての”EX”を冠した。コンベンショナルなFRレイアウトを継承したが、ラリーファンにとっては肩透かしの存在。当初は1.4と1.6ℓの2種類でトップエンドには1600GTというモデルがあったが、エンジンはSOHCのシングルキャブだった。
そんな悶々としているなかで、79年11月に第23回東京モーターショーが開催された。そこに展示されたのが、ランサーEXの海外ラリーバージョンだった。エンジンは2.0ℓのターボ仕様。ステアリングが右に設置されているのは、英国仕様なのかファンへのサービスと見られたが、大きなスポイラー一体のフロントバンパーにオーバーフェンダー、そしてドアミラー。ボンネットにはNACAダクトのインテークを装備。そしてグリルには海外モデルらしくスリーダイヤを冠していた。
ファミリーカーに徹したかに見えた2代目ランサーが、こんな迫力あるマシンになれるのだ! とまさに驚愕の存在感を見せた。それは大げさにいえば、和製フィアット131アバルトラリーといったところ。
そして81年には欧州向けにコルト・ランサー2000ターボの量産バージョンが発表された。流石にオーバーフェンダーはなかったが、バンパー一体型フロントスポイラー、大径ホイールを装備するモデルとなった。
欧州版と同年、遅れて日本でようやくターボモデルが発売された。しかしその名はランサーEX 1800 ターボ。グレードとしてはGSRと競技向けGTがあったが、バンパーは標準モデルと同様でその下にスポイラーを付け足したもの。そしてまだドアミラーが認可されていなかったので、フェンダーミラーでの登場となった。そのポテンシャルは高く評価されたが、排気量が下がる以上に、その見た目にちょっとがっかりした人は多かった。
そして83年のマイナーチェンジとともに、インタークーラーが装備され135psから160psとなった。このタイミングに併せてドアミラーが採用され、海外モデルとほぼ同様のスポイラー一体型フロントバンパーが採用された。
このプラモデルがマイナーチェンジ後なのは、極めて欧州仕様に近いもっとも人気のあったモデルなのだ。
新たに型をおこしたということでより繊細な表現がなされており、アンダーボディの表現も興味深い。また、装着されるタイヤもちゃんとアドバンHFタイプDのようだ。
これをベースに、海外仕様モデルを作るのもいいし、またラリーマシンを作るのも良さそうだ。発売は新たに2020年6月26日を予定、価格3,200円+税となっている。