一方、新型ハリアーのデザインは一言で表すならば「流麗」。泥臭さとは無縁で、最近流行のアウトドアキャンプ場に行くのも憚られるような雰囲気だ。ボディ断面は艶かしい抑揚が与えられ、フェンダーの盛り上がりも滑らかだ。
ルーフエンドもRAV4が後方まで水平をキープしてユーティリティ感を演出しているのに対して、新型ハリアーはなだらかなクーペフォルムとしている。
なお、新型ハリアーではグレードの名称も先代から一新された。どちらも基本は3グレード展開なのだが、先代が下から「エレガンス」「プレミアム」「プログレス」というグレード名だったのに対して、新型では以下の通り、「S」「G」「Z」というあっさりとしたものに変更されている。
ホイールサイズはRAV4も新型ハリアーも最大で19インチが設定されている。しかしタイヤは異なり、RAV4の上級グレードは235/55R19だが、新型ハリアーの最上級グレードとなるZ“レザーパッケージ”は225/55R19と、やや細いサイズが採用されている。
ちなみに、最低地上高は新型ハリアー(Z“レザーパッケージ”)が195mm、RAV4は190〜200mmで大差ない。車体の基本構成が同一なので当たり前なのだが、デザインの印象からすると、RAV4はもっと最低地上高が高いように見える。オフロードのイメージが薄いマツダCX-5の最低地上高が210mmというのを聞くと、ますます意外だ。
室内に目を向けてみよう。エアコン吹き出し口やセンターコンソールの構成、三角窓の形状などを比べてみると、両車が共通のプラットフォームを用いていることが納得できる。異なるのは、センター部のディスプレイだ。RAV4のディーラーオプションで選べるナビゲーションは9インチ画面が最大だが、新型ハリアーでは12.3インチのワイド画面が設定されているのだ。
そのほかにも新型ハリアーは「上質さ」を意識した装備が奢られており、独自性を際立たせている。
ひとつ目の自慢が、「曲木(まげき)」に着想したウッド加飾である。曲木とは、水に浸したり蒸したりして柔らかくした木材を型にはめて乾燥させることで曲線に整形する木工技術のこと。...とプレスリリースを基に説明してみたものの、広報写真ではその成果が分かりにくい。ここは、実車で確認したいところだ。
もうひとつの注目装備が、トヨタで初採用となる調光ガラスを用いたサンルーフである。調光時には障子越しのような柔らかい光が差し込むというから、こちらも機会があれば実車で確認したい装備だ。もちろん、電動式のシェードも備わる。なお、RAV4は前後2枚のガラスで構成される一般的なサンルーフが設定される。
パワートレーンは、新型ハリアーとRAV4で共通だ。2.5ℓ直4(A25A-FXS)+ハイブリッド(THSII)と2.0ℓ直4(M20A-FKS)+ダイレクトシフトCVTの2種類だ。
駆動方式はどちらもFFと4WDが用意されているが、注目は4WDだ。ガソリン車には湿式多板クラッチを設けて必要に応じて後輪にトルクを配分する「ダイナミックトルクコントロール4WD」、ハイブリッド車には後輪をモーターで駆動する「E-four」が組み合わされるが、RAV4のガソリン車にはもう1種類、4WDシステムが用意されている。それが、前後だけでなく左右の後輪トルクも独立して制御する「ダイナミックトルクベクタリングAWD」だ。
RAV4の試乗会では、フラットなダート路面でダイナミックトルクベクタリングAWD車に乗ることができたが、Rの小さいコーナーの旋回中、アクセルオンで面白いようにクルマの向きを変えることができた。カウンターステアを当てながらコーナー出口に向かって加速する際の気持ち良さは、なかなか味わえないものだった。日常の場面でどれほどその恩恵に与れるかは分からないが、このダイナミックトルクベクタリングAWDはRAV4の大きなセールスポイントのひとつになっている。
また、RAV4では路面の状況に応じて「マッド&スノー」「ノーマル」「ロック&ダート」の走行モードを選択できるマルチテレインセレクトのほか、ダウンヒルアシスト&ヒルスタートアシストコントロールも用意されている。「都会派」な新型ハリアーでは、そのような悪路走行を意識した装備が採用されているかは不明だ。
シャシー関係は、チューニングは異なると思われるが、基本構成はRAV4のものを新型ハリアーは受け継いでいるようだ。サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット、リヤがダブルウィッシュボーンを採用する。新型ハリアーのプレスリリースには「極低速域でもスムーズなストロークの動きを確保したショックアブソーバー」や「ブレーキ制御によりコーナリング中のアンダーステアを抑制するアクティブコーナリングアシスト」などの採用も謳われているが、これもRAV4は装備済みである。
安全装備も、RAV4と新型ハリアーでは共通のようだ。「トヨタセーフティセンス」は両車ともに、歩行者(昼夜)や自転車(昼間)が検知対象に含まれたプリクラッシュセーフティを採用する。
※下の2枚の写真はRAV4のもの
新型ハリアーで新採用となったのは、デジタルインナーミラーだ。走行中の前後方向映像を録画する機能も備えているのは、あおり運転などの問題がかまびすしいこの頃において、いざというときに頼もしい。
RAV4は2019年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど自動車評論家たちからの評価も高く、スマッシュヒットとなっている。新型ハリアーはそんなRAV4と基本コンポーネンツを共有しているため、共通部分も少なくないのだが、見事なまでにキャラクターが作り分けられている。その商品企画の巧みさは、さすがトヨタである。
新型ハリアーで気になるのはまだ発表されていない価格だ。先代ハリアーは300万4100円〜468万9300円という価格帯だったが、果たしてどうなるか。もしもお買い得感のある価格が設定されたら、新型ハリアーもRAV4に続く、2打席連続ヒットとなりそうな予感がする。