1977年(昭和52年)に登場した「ホンダR&P」は、「CB50」と同系の縦型エンジン、前後に10インチの4.0Jワイドホイール&5.40ワイドタイヤを採用したレジャーモデル。可愛い「モンキー50」や、スポーティーな「CB50」とはコンセプトが異なる、コロコロとした“パンダ”のような、愛くるしくてドッシリとした外観がポイント。前後にキャリアを装備するなど、積載性もGOOD!


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

R&P→Ride and Playの略称のこと!

写真は初期型の赤。

積載性向上を狙い、大型で頑丈なフロント&リアキャリアを装備。

「ホンダ モトラ」と同じ、ワイドな4.0Jホイールと同サイズの5.40-10タイヤ(パターンは異なる)を装備。

「ホンダ R&P」は、走る機能だけでなく、創る=カスタマイズする喜びをプラスするデザインスペースと、行動範囲を拡げる積む機能を拡充した、これまでにない感覚のレジャーバイク。すでに発売されていたレジャーモデルの「モンキー50」や、スポーツモデルの「CB50」とはコンセプトの異なる、独自のテイストが盛り込まれている。




「R&P」とは、『Ride and Play』の略で、「乗って楽しみ、創造するこころ」という意味。R&Pには、3つのポイントがある。それは、




・低速から高速まで扱いやすい走行性能


・自分の手で、自分だけのバイクが創れる、大きなデザインスペースを設置


・積載スペースを広げ、レジャーの幅を拡大

 ホンダの50ccスポーツモデル「CB50」と同系の、腰上(シリンダーヘッドとシリンダー)を上方にレイアウトした、空冷4サイクルOHC単気筒の“縦型エンジン”を搭載。最高出力はCB50が6.3馬力だが、R&Pは4.3馬力に抑制。適切なギヤ比を備えた5段ミッションとの組合せにより、街中でも扱いやすい特性に仕上げられている。




 タンク、フェンダー、サイドカバーは、自分自身の手で(Do it Yourself)自由にアレンジできるよう、ロゴやデザインを省略。その代わりに、イエローとブルーのデザインステッカーシートが2枚付属されていた。




 「走ること」「移動すること」に加え、キャンプなど到着地でも楽しめるよう、大型で頑丈なフロント&リアキャリアを採用し、積む機能を充実。同時にフレームも強化。




 燃料タンクは大容量の6Lとし、ロングツーリングも可能。メーター周りには、確認のしやすいインジケーターパネルを設置。大型メーターはトリップカウンター付きなので、ツーリングでの距離チェックも容易になった。




 シート高は690mmで、バランスの取りやすい大型ハンドルバーを採用。大型のガソリンタンクによってニーグリップがしやすく、ライディングポジションも非常にラクだ。




 踏破性&路面追従性が高く、乗り心地に優れた前後のサスペンションを採用。フロントはスポーツモデルの「CB50」にも採用の正立型フォークとし、ツイン型のリアショックは5段階調節可能なダンパーを装備。10インチのタイヤは、前後ともワイドな5.40-10サイズをチョイス。安定性に優れ、路面グリップ力の高い特殊パターンのオールラウンドなタイプがチョイスされている。




 エキゾーストパイプ&マフラーは、あらゆる走行条件に適したミドルアップタイプで、精悍なフォルムにデザイン。スロットルグリップは巻取り式で操作角が小さく、高いスポーツ性を備えているのがポイント。




 ヘッドライトは、大径のΦ130mmを採用し、夜間走行の安全を向上。テールランプは視認性に優れた大型タイプを装備。前後のドラムブレーキはチェック目盛り付きとし、ブレーキでシューの摩耗限界を容易に確認できるのが特徴だ。

50ccながら80km/h表示のスピードメーター。ビンテージモデルならではのアイテムだ。メーターはトリップカウンター付き。
余裕の積載量を誇る、大型のリアキャリアを装備。


発売時は『ホンダ R&Pクリエイティブ コンテスト』を開催!

 ホンダ R&Pの発売時には、 ステッカーデザインを競う『ホンダ R&Pクリエイティブ コンテスト』も開催。“創造性を楽しんもらう”をコンセプトに開発された、R&Pならではの試みだった。優秀作品の一部(写真下)は、「東京モーターショー」に参考出品された。

1980年(昭和55年)、R&Pはマイナーチェンジ。最高出力は4.3psから4.1psにダウン

 1980年(昭和55年)、R&Pはマイナーチェンジ。外装デザインとエンジン細部が変更。フロントフェンダーにマッドガードを新採用。最高出力は4.3psから4.1psにダウン。カラーはイエロー、ブラック、レッドの3色。

レースでも活躍したホンダ R&P

写真は4MINIチャンプより(2000年発売)。

 R&Pには、ホンダの50ccスポーツモデル「CB50」と同系統の空冷4ストロークOHC単気筒の“縦型エンジン”を搭載。また、ダイヤモンドフレーム、正立型フロントフォーク、ツインショック型スイングアームなど、フレームや足周りも頑丈なのがポイントだ。




 R&Pは、ストリートカスタムはもちろん、ミニバイクレースでも活躍。写真は『1999年まるち杯ミニバイクレース西関東シリーズ』の4ストクラスチャンピオンの下前氏と愛機のR&P。排気量アップ、オイルクーラー装着、マフラー変更、前後アルミホイール装着、フロントディスクブレーキ化、リアショック変更など、レース仕様にカスタマイズされている。




 R&Pのエンジンについて、下前氏は「R&Pの縦型エンジンは、とにかく頑丈。大きなトラブルは1度もありません。お金がかからなくていいですよ(笑)」と語っていた。




※4MINIチャンプより(2000年発売)

R&Pといえば、ビッグフットカスタムが人気!

月刊モト・チャンプより(1998年11月号)。

 写真はR&Pをベースにカスタマイズされた1台。低く、長く、ワイドなフォルムに仕上げられたこのマシンは、ノーマルの4.0Jホイールに、超極太の4輪用バギータイヤをチョイスしているのがポイント。




 ガソリンタンクや前後ホイールのリム部はキャンディブルーにドレスアップ。ファットな足元とのバランスを考慮し、大型のベーツライト、ワイドハンドル、ダウンマフラー等をコーディネイト。




 なお、R&P用4.0Jワイドホイールとハブは、まだ社外のモンキー用10インチワイドアルミホイールが存在しなかった2000年頃まで、モンキーの太足カスタム作成にも重宝された。

※カッコ内は1980年型


全長(m) 1.715


全幅(m) 0.760


全高(m) 0.985


軸距(m) 1.120


最低地上高(m) 0.150


車両重量(kg) 85


燃費(km/L)


(30km/h定地走行テスト値) 75


登坂能力(tanθ) 0.34


最小回転半径(m) 1.8


エンジン形式 空冷4サイクルOHC 単気筒


総排気量(cc) 49


内径×行程(mm) 42.0×35.6


圧縮比 9.5


最高出力(ps/rpm) 4.3/9,000(4.1/9,000)


最大トルク(kg-m/rpm) 0.37/7,000(0.36/7,000)


始動方式 プライマリ キック式


潤滑油容量(L) 0.9


燃料タンク容量(L) 6.0


変速機形式 常時噛合式


一次減速比 4.437


変速比 1速 3.083


2速 1.882


3速 1.400


4速 1.130


5速 0.960


最終減速比 3.071


フレーム形式 ダイヤモンド式


懸架方式 (前)テレスコピック式(後)スイングアーム式


キャスター(度) 26°30′


トレール(mm) 49


タイアサイズ (前) 5.40-10-4PR


(後) 5.40-10-4PR


ブレーキ形式 (前) ワイヤ式リーディングトレーリング


(後) ロッド式リーディングトレーリング


発売当時の価格:12万8000円(14万5000円)
情報提供元: MotorFan
記事名:「 【いま欲しい昭和バイク ホンダR&P】5.40-10サイズの太いタイヤに惚れた!