3月12日、トヨタ自動車は、車体塗装工程で従来から使用しているエアスプレー式の塗装機に代わり、静電気を活用し空気を使わない新型の塗装機(エアレス塗装機)を開発したことを発表した。

二酸化炭素排出量を7%程度低減。塗装ラインのコンパクト可も可能に

 今回開発されたエアレス塗装機は、世界初となる新技術を駆使することにより、塗着効率(塗装の際に噴霧した塗料に対して実際に車体に塗着する塗料の割合)を従来型の60%~70%程度から、世界最高の95%以上に向上させている。




 このエアレス塗装機の導入により、トヨタグループの塗装工程における二酸化炭素排出量が7%程度削減できる見込み。加えて、塗装ブース(塗料を吹き付けるエリア)の下部にある未塗着塗料の回収装置の小型化することができるため、今後は塗装ラインのコンパクト化が可能となる。

 従来のエアスプレー式の塗装機は、おもに空気の力で塗料を微粒化し、微粒化した粒子を空気で車体に塗着(エアスプレー塗装)。このため、車体から跳ね返った空気によって塗料の粒子が吹き飛ばされることにより、塗着効率は60~70%程度と留まる。




 これに対して新型のエアレス塗装機は、電気で塗料を微粒化(静電微粒化)するとともに、静電気を帯びた粒子が車体に引き寄せられるように塗着(静電塗装)。静電微粒化および静電塗装の技術により、微粒化された粒子の飛び散る量が大幅に減少し、高い塗着効率を達成している。

 静電微粒化技術は、極少量の液体を吹き出す美容器具等で用いられているが、今回は車体塗装に応用。具体的には、塗装機の先端にある塗料の吹き出し口を円筒型にし、その先端に約600本の特殊な溝を作るとともに、円筒型ヘッドの回転で生じる遠心力により、塗料を溝に流れ込ませた上で静電微粒化。これにより、微粒化された塗料の粒子を静電気で車体に塗着させるという世界初の技術を開発したのである。

 車体の凹凸により円筒型ヘッドと車体の距離が変動することで、電流が不安定となるが、本エアレス塗装機は電流のばらつきを常時監視して、電圧を自動に制御することで、円筒型ヘッドと車体の距離を約10cmに保ちながら、一定の電流で静電微粒化と静電塗装ができるようになった。これにより、塗料粒子の大きさのばらつきを回避することができ、高品質な塗装の実現に成功した。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 トヨタが世界最高の塗着効率を実現した新型塗装機を開発! 二酸化炭素排出量の削減に寄与