マイナーチェンジを受けた新しいシビックタイプRは、2020年夏に発売になる。もうひとつのニュースは、ただでさえホットなタイプRをベースにさらに軽く、速くした限定モデルが登場することだ。その名は「シビックタイプR Limited Edition」である。世界限定1000台、うち日本への割り当ては200台となる。
Limited Editionの発売は2020年秋を予定している。
今回のマイナーチェンジのテーマは、タイプRとして、どうしたらもう一段ファンに喜んでもらえるかを考えつくし、「サーキット性能の進化」「一体感/ダイレクト感の進化」「ドライビング空間の進化」の3点を追求した。
まずは、マイナーチェンジの内容から。
エンジンはK20C型2.0ℓ直4DOHCターボで320ps/400Nmのパワースペックに変更はない。だが、エンジン冷却性能を向上させエンジンパフォーマンスをより満喫できるように進化させている。サーキット性能を進化させるためだ。
まずは、フロントグリルの有効開口部面積を現行比+13%し、ラジエーターに効率よく風を導入するように形状を変更を行ないつつ、ラジエーターのフィンピッチを3.0mmから2.5mmへ変更して放熱性を高めた。これはサーキット走行時のエンジン冷却水の最高水温差を10度も低下させた。またグリル開口部拡大によるフロントダウンフォース減少に対して、フロントバンパースポイラーの形状と剛性を細部までチューニングすることで現行モデル同等以上のダウンフォースレベルを実現している。
サーキットでのさらなるブレーキフィールの向上を目指し、ブレーキディスクに2ピースフローティングタイプを採用した。2ピース化によりディスクの熱倒れが減少することで連続走行におけるペダルストローク変化や踏力変化を大幅に低減。これにより常に安定したブレーキフィールを実現するとともに1台あたり2.5kgのばね下重量の低減を果たすことで運動性能の向上にも貢献した。
今回は、アダプティブダンパーシステム制御やサスペンションブッシュ、ボールジョイントに至るまでこれまでのタイプRのマイナーチェンジでは手を入れないような領域にまできめ細やかなサスペンションのアップデートを行なった。
アダプティブダンパーシステムの制御では、センサーサンプリング周波数を現行の2kHzから20kHzに10倍もアップしてよりきめ細やかな制御を可能とした。フロントロワーボールジョイントはボールジョイントにペンバリング加工を追加してフリクションを低減。微細な入力に対し、サスペンションの追従性を向上させている。
フロントコンプライアンスブッシュの高減衰化でサスペンション前後剛性を10%up。リヤはリヤアームBブッシュ高硬度化でサスペンション横剛性を8%upし、動的横力トーンイン量を増加させた。
シビックタイプRのハンドリングは熟成の域に達したと言える。
ホンダ初のフル・アルカンターラ表皮ステアリングホイール、手にしっとりと馴染むシフトノブ形状などを変更している。
アルカンターラ表皮は本革よりも生地の肉厚が薄く、そのままではグリップ径が細くなってしまうことから、新型タイプRでは贅沢にも裏地を2枚重ねすることでグリップ径を維持しつつ、アルカンターラ素材とそれに合わせた弾力性をチューニングすることで質感と機能性を大幅に向上させている。
タイプRを操る喜びの象徴である6速MT。車との一体感のさらなる進化を目指し、07タイプRから10年以上使い続けてきた丸型形状から別れをつげ、ドライバーの掌形状にジャストフィットさせながら、ショートストロークシフトにおけるノブ傾きの認識性や操作性能をさらに進化させるために新ティアドロップ形状にアップデートさせた。ノブ内部には90g分のスチール製カウンターウェイトを埋め込みトランスミッション側の操作荷重とノブ側の慣性重量バランスの最適化を計った。
シフトノブの変更でシフトフィールを大幅に向上させた。
新型は標準のシビックに採用しているホンダ・センシングを全世界向けに採用。
ボディカラーは
レーシングブルーパールが新色
国内の新色としてポリッシュドメタル・メタリックを導入した。ほかにフレームレッド、チャンピオンホワイト、クリスタルブラックパールで計5色を設定する。
タイプRを研ぎ澄ますLimited Edition
新型タイプRをさらに軽量化し、速さを突き詰めたモデルがシビックタイプRLimited Editionだ。世界限定約1000台。日本への割り当ては200台である。
軽さの追求は防音材などを省くことで13kg、Limited EditionのBBS製専用鍛造ホイール4本で10kgの軽量化を果たした。計23kgの軽量化だ。Limited EditionのBBS製専用鍛造ホイールに組み合わせるとタイヤはミシュラン パイロットスポーツCup2。軽量化されたボディとこのタイヤとホイールに合わせたうえで、ダンパーシステムとEPSの専用セッティングを施した。
ボディカラーは、サンライトイエローⅡとブラックの2トーンである。
シビックタイプRは、ホンダの英国スウィンドン工場で生産されていたが、新型も引き続き英国工場で生産される(ただしスウィンドン工場は2021年に閉鎖が決まっている)。