ZFは、自動運転および運転機能の自動化に関して広範囲なアプリケーションをもっている。ZFのCEOウォルフ-へニング・シャイダー氏は米国ラスベガスで行なわれている世界最大の技術見本市「CES 2020」において、以下のように述べている。
「ZFは既に、性能レベルと価格の異なる幅広いシステムを乗用車、商用車、産業機器向けに提供しています。『ZF coASSIST』は、高級車並みの快適・安全機能を実現するレベル2+システムを安価なセグメントで実現することを可能にします」
ZFはアジアの大手自動車メーカーから、乗用車向けにレベル2+のエントリーレベルシステムである「ZF coASSIST」を受注した。センサー技術、中央制御ユニットを含むシステムと関連ソフトウェアの開発を行い、2020年内に出荷を開始する。カメラ、レーダー、中央制御ユニットから構成される先進のセンサーセットが、ACC、信号認識、車線変更・維持支援、渋滞時サポートを可能にする。
「乗用車向けにはレベル2+に最も大きな普及のポテンシャルがあると考えています」とシャイダーCEOは語っている。レベル2+では、コントロールユニットが各種の支援機能を統合し、包括的でパワフル、かつインテリジェントな運転サポートを実現する。より進んだ各機能間の連携によって、それぞれの支援機能が独立して作動するシステムよりも、高度な快適性と安全性が提供できる。
高いレベルの自動運転機能における課題はコストだが、「ZF coASSIST」は1,000米ドルを下回る価格で提供される予定。ZFでは、さらに高機能のレベル2+を可能にする「ZF coDRIVE」と「ZF coPILOT」も用意している。
「商用車においては、レベル4以上の完全自動運転システムに対する高いニーズを感じています」とシャイダーCEOは語っている。公共交通における自律走行車両の運用は法規制に左右されるが、商用車は既に限られた敷地内や専用車線内において高度に自動化されたモードでの運用が行われている。物流の集配拠点(デポ)や都市交通におけるドライバーレスの輸送が普及することは、システムにかかるコストが早期に償却されることにもつながる。
ZFは現在、「ZF ProAI」コンピューターを基にしたレベル4システム用のECU(電子制御ユニット)を、大手商用車メーカー向けに開発中。市場への投入は、2024年から2025年を予定している。
ZFはまた、より迅速で包括的なソフトウェア開発をめざしている。マイクロソフト社との提携を通じ、ソフトウェア開発のスピードとクオリティを大手IT企業並みに引き上げる計画だ。そうすることで、ZFのグローバルなリソースをさらに効率的に活用し、顧客のニーズに効果的に対応することが可能になる。この提携によって、マイクロソフト社のソフトウェア開発に関するノウハウ、Azureクラウドサービスやデベロッパーツールを活用することもできるようになる。ZFは自動車市場向けにこれまでの様なハードウェアだけでなく、ソフトウェア製品も供給するサプライヤーへと進化する。
「モビリティ業界では、引き続き大きな変革が進んで行きます。今後は、自動車用システムにおけるソフトウェアやソフトウェア関連サービスの果たす役割がますます高まっていくでしょう。お客さまに、そしてその先の消費者のみなさまに高い付加価値を提供する革新的な製品を開発するため、ZFも進化を続けます」と、シャイダーCEOは結んでいる。