東京ビッグサイトで1月15~17日に開催された、業界関係者を対象とするクルマの先端技術展「オートモーティブワールド2020」(注:業界関係者向け商談展のため一般の入場不可)。




同展示会は「第12回国際カーエレクトロニクス技術展」「第11回EV・HEV駆動システム技術展」「第10回クルマの軽量化技術展」「第8回コネクティッド・カーEXPO」「第6回自動車部品&加工EXPO」「第3回自動運転EXPO」の6種類で構成されている。




このうち「第10回クルマの軽量化技術展」には、金属加工部品メーカーのエイチワンが出展。ホンダNSXの「超高張力鋼管フロントピラー」に採用された「三次元熱間曲げ焼き入れパイプ(3DQ)」を出品した。




REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)


PHOTO●遠藤正賢、本田技研工業

現行二代目ホンダNSX

 人間がクルマに合わせるのではなくクルマが人間に合わせる“人間中心”のパッケージングで、スーパースポーツカーの世界にパラダイムシフトを起こした初代の頃より、ホンダNSXは視界の広さと運転のしやすさを追求してきた。それは現行二代目になっても変わらない。

現行二代目ホンダNSXのボディ骨格

 だが、1990年デビューの初代と2016年デビューの二代目とでは、求められている衝突安全性能とボディ剛性は大きく異なる。端的に言えば、視界を広くするにはピラーやドアを細く小さくしてガラス面積を広く取りたいが、最新の衝突安全法規をクリアする強度に加え、2倍強に膨れ上がったパワー・トルク、1.5倍前後に増えた車重に耐えうるボディ剛性を確保するには、肝となるピラーは太くしたい。

三次元熱間曲げ焼き入れパイプ(3DQ)を前方から捉えた写真

 そうした二律背反の要件を両立するため「超高張力鋼管フロントピラー」に採用されたのが、エイチワンの「三次元熱間曲げ焼き入れパイプ(3DQ)」だ。

三次元熱間曲げ焼き入れパイプ(3DQ)の製造工程イメージ図

 この「三次元熱間曲げ焼き入れパイプ(3DQ)」は、高周波加熱コイルによる逐次焼き入れと曲げ加工を同時に行い、その後水で冷却することで、閉断面構造のパイプに1500MPa級超高張力鋼板の適用を可能としている。

二代目ホンダNSXの前方視界イメージ

 その結果、高い強度と形状精度を確保しながら、断面形状を薄く細くすることでフロントピラーをスリム化し、広い前方視界を確保するのに成功した。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 高い強度と形状精度を確保しながらパイプ断面を薄肉スリム化