1月10~12日に千葉県の幕張メッセで開催された「東京オートサロン2020」で、北9ホールにブースを構えたModulo(モデューロ=ホンダアクセス)。そこで最も注目を集めていたのはやはり、ホンダS2000の誕生20周年を記念して新たに開発した「フロントエアロバンパー」や「スポーツサスペンション」などのパーツを装着する「S2000 20thアニバーサリープロトタイプ」だろう。2月20日に予定されている詳細発表の前に明らかにされた、その中身とは?




REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)


PHOTO●遠藤正賢、本田技研工業

ホンダS2000(AP1-100)のフロントマスク
ホンダS2000(AP1-130)のフロントマスク


 今回出品された車両のベースとなったのはAP1(2.0L車)の初期型(ホンダアクセス広報いわく、恐らく最も初期の1999年式とのこと)だが、「フロントエアロバンパー」を装着したその顔つきはむしろAP1-130(2003年10月のマイナーチェンジ)以降のモデルに近く、それをさらにモダンかつレーシーに仕立てたもの。そんな第一印象を筆者は受けた。




 それもそのはず、この「S2000 20thアニバーサリープロトタイプ」には、ホンダアクセスがコンプリートカーシリーズ「モデューロX」で培ってきた、風の流れを積極的にハンドリングに活かす“実効空力”、その最新のノウハウが投入されていた。

「フロントエアロバンパー」の両端にはカナード形状が与えられている

 具体的には、中4ホールのHonda/無限ブースに展示された「フリードモデューロXコンセプト2020」と同じく、バンパー両端にカナード形状を採用。舵角が当たりフロントタイヤがホイールハウスの外側に張り出した際もタイヤに風が当たらず、かつフロントホイールハウス内の乱流がボディ側面を流れる風によって吸い出されるよう縦渦を発生させることで、直進安定性を向上させている。

「フロントエアロバンパー」の下面中央は“実効空力”を狙った形状

 また、下面中央をくぼませてボディ下面へ空気を積極的に取り入れつつ、より低くボディの凹凸が少ない位置で空気が速く流れるよう、その中心部を太く長いボックス形状として、整流効果がフロアのより後方まで持続する効果を狙っている。




 そして「S2000 20thアニバーサリー」には「スポーツサスペンション」も設定されるがが、こちらは新車販売当時にディーラーオプションとして設定されていたものとは異なる新開発品とのこと。このサスペンションにも、四輪のタイヤすべてが路面を捉え続け、そのポテンシャルを最大限発揮できるセッティングを追求する、「モデューロX」で培われたノウハウが最大限盛り込まれているようだ。なお、この「スポーツサスペンション」には、以前のものと同様にフロント減衰力5段階調整機構が備わる予定だという。

復刻生産される「トランクスポイラー ダックテールタイプ」

 エクステリアではこのほか、「トランクスポイラー ダックテールタイプ」とリヤホイールハウス前の整流板「リアストレーキ」が復刻生産され、「ボディカバー ハーフタイプ」も用意される見込み。だが展示車両に装着されていたタイヤ&ホイールは、あくまでショー向けの演出。実際には初期型のボディ・シャシーと純正16インチタイヤ&ホイールをベースにエアロパーツやサスペンションが開発されているようだ。

新デザインの「オーディオリッド」などが装着されたインテリア

20thロゴ入りのシート生地はプロトタイプ専用のもの

 またインテリアアイテムとしては、AP1-120以降のものをベースとした新デザインの「オーディオリッド」のほか、「フロアカーペットマット」、完全新開発の「フットライト」が用意される。展示車両のシートは中央が20thロゴ入りのスエード調となっていたが、これもショー向けの演出とのこと。S2000はデビューから21年、生産終了からもすでに11年が経過しており、シートが傷んでいる車両は多いため、こちらもぜひ商品化してほしい。




 この「S2000 20thアニバーサリー」、詳細が明らかにされるのは2月20日。かつて2.0L最終モデル(AP1-200)を6年半所有し、現在は中期型(AP1-120)の特別仕様車「ジオーレ」を3年半愛車としている筆者としては、その実際の走りが気になって仕方がない。特にAP1-130(2003年10月のマイナーチェンジ)より前のモデルは限界域の挙動がピーキーな傾向にあるため、それが最新のノウハウでどれほど緩和されているのか、チャンスがあればぜひレポートしたいと思う。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 「トランクスポイラー ダックテールタイプ」や「リアストレーキ」の復刻生産も