TEXT&PHOTO@世良耕太(Kota SERA)
F1もWEC LMP1ハイブリッドも、同じように熱効率の競争を繰り広げています。もっといえば、日本のSUPER GT GT500もエンジンの熱効率競争を展開中。最新の『モータースポーツのテクノロジー 2019-2020』では、TOYOTA GAZOO Racingが開発し、TS050ハイブリッドに搭載している高効率ハイブリッドシステム、とくにエンジンについて取材することにしました。
いくらこちらに取材する意志があっても、相手が首を縦に振らなければ始まりません。そこが最大の難関です。これまで何度撃沈したことか。『モータースポーツのテクノロジー』も7年7冊目ともなれば、(相手によりけりですが)こちらがどのような情報を求めているか、わかろうというものです。
「ピストンとか見たいんやろうけど、それは絶対だめ」と先手を打たれてしまいました。なぜなら、 2020-2021年シーズンから始まるル・マン・プロトタイプ・ハイパーカー(LMPH)でも、いま開発中の技術を引き続き使うからです。自然吸気エンジンから過給エンジン、エンジンからモーターのように、まったく新規の技術に移行するなら済んだ技術の一部は公開してもいいと考えるかもしれませんが、LMP1に投入しているエンジンに関して、その論理はあてはまりません。
熱効率のグラフに数字は入っていませんが、誌面を確認していただければ、50%にかなり近いところで開発が進んでいることを感じ取っていただけると思います。そして、それを実現した技術についても。
企画の交渉を行なったのは、WEC富士6時間を開催している10月上旬の富士スピードウェイでした。ピットレーンで会った空力技術者と立ち話をしたところ、「今回のタイミングでラグビーのワールドカップに行きたいというTMG(ドイツ・ケルンにある活動の拠点)のメンバーがいて、みんなで申し込んだんですよ。でも、全然当たらなくて」と残念がっていました
エンジンや、エンジンを含むハイブリッドシステムだけでなく、空力開発のポイントについてもまとめていますので、お見逃しなく。