a.死傷事故以外でも、とにかく交通事故を起こしたら否応なく免許停止が適用されるのか?
b.従来、「物損事故」に関しては、基本的に行政処分は科せられない場合がほとんどだったが、今回の改正ではどうなるのか?
これに対する回答は、以下のとおりだ。
a.
携帯電話やカーナビなどを注視することによって運転がおろそかになり、例えば蛇行したり、歩道に乗り上げそうになったり、歩行者が横断中の横断歩道で止まり損ねたりして他車のドライバーや歩行者が避けることを強いられた場合等、例え死傷事故とならなくても、まかり間違えば重大な事故(死傷事故)につながりかねないと警察官が判断した場合は、「交通に危険を生じさせた」として非反則行為(赤切符)を適用する場合があります。
b.
これも警察官の判断によります。「物損事故」だからといって行政処分を科さないということはありません。判断基準はあくまでも現場の交通に危険を及ぼしたか、あるいは危険を及ぼす可能性があったかどうかということです。これは道交法改正前から変わっていません。
というわけで、要は、最終的にはその違反を目視した警察官の判断に委ねられるということだ。要は、人身の伴わない物損事故であっても、基礎点数6点、免許停止処分を受ける場合もあるし、逆に言えば行政処分を受けないで済む場合もあるということ。つまり、「交通の危険」=「交通事故」とは言い切れないということにもなる。メディアのみなさん、わかりましたか?
ちなみに、一部メディアの記事で「スマホやカーナビ画面を2秒以上注視したらながら運転」などということがまことしやかに語られているが、これは警察に聞くまでもない。そんなことは以下のように道交法上のどこにも書かれていないのだ。
第71条第5号の5
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百二十条第一項第十一号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。
つまり、運転中に通話したり画面を注視したりする行為は、秒数にかかわらず「違反は違反」なのだ。
中には某県警が「2秒までならセーフ」と言ったような報道もみかけるが、警察がそんなこと言うわけがない。もし言ったとしたら大問題だ。なにしろ「10km/hまでならスピード違反してもいいですよ」と言うようなものだからだ。(大体、2秒ってどうやって測るんだ?)
※確かに政府広報や警察庁のサイトに「スマホやカーナビを2秒以上注視するとドライバーが危険を感じる状態となり事故につながりやすい」とあるのは事実だが、「2秒以上注視すると違反」とは決して言っていない。それがなぜ「2秒まではOK」になるのか、いささか理解に苦しむところだ。
くれぐれも、いい加減なメディアが作り出す都市伝説に惑わされないように!