さらに、「事前予告看板」が設置されていたとしても(上記目撃例のいくつかは、目撃者により「事前予告看板」の設置が確認されている)、それなりのハイスピードで走っているドライバーの中には、うっかり(?)見落とす人だっているだろう。全国的に多発しているとみられる「Nシステム」を、オービスと勘違いしてブラックマークが残るくらいのパニックブレーキを踏むのと同じ危険性をはらんでいるというわけだ。
もちろんこれは、ドライバーのみならず、警察官にとっても同じ。ガードレールの外側で取り締まってはいるものの、100km/h超でクルマに突っ込まれたらただでは済まない。その辺のリスクを、果たして認識したうえでの所業なのか。事実、紀勢自動車道での取り締まりの報道写真を見ると、三重県警の警察官はヘルメットをかぶっていることから、ある程度の危険性は感じているようだが、とはいえ、紀勢自動車道の制限速度は70km/h。100km/hでの衝突時の衝撃度は、その2倍を超えるのだ。(衝撃度は速度の2乗に比例する。)
実は10年以上前、日常茶飯事となっていた高速道路でのネズミ捕りにおいて受傷事故が発生し、それをきっかけに、その後、長年にわたって自粛していたという事実がある。もちろん、従来のネズミ捕りは警察官が道路に飛び出し、違反車を止めるというう危険な作業を強いられていたため、その場で切符を切る必要のない移動オービスとは同列には論じられないが、だからといって、ドライバー側の安全が担保されているとはいえない。最近、流行りの「自己責任」とでもいうつもりなのだろうか。
とにかく、高速走行時の急ブレーキの危険性は、一般道でのそれの比ではない。気持ちはわかるが、いきなり見たことのないような装置が目の前に現れたとしても、急ハンドル、急ブレーキは極力避けて欲しい。たとえ切符を切られたとしても、命までとられるわけではないのだから。