大型トラックに必須の高圧エアシステム。それを作り出すためのコンプレッサからオイルを排したいのが昨今の少なくないニーズだという。ではオイルフリーにするとどうなるのか。


(S4105:三輪精機)

 南展示場4階の入り口近くに「さあ回してくれ!」と言わんばかりの体験コーナーがある。高圧エアでホイールを回してみませんかとあり、その高圧エアを作り出すコンプレッサを手回しで駆動させるというもののようだ。「1.8MPaくらいまで貯めれば回ります。でもそこまで貯めるのが結構大変です(笑)」という説明とともにトライ。なーに、こういうのはコンプレッションのときだけ力を入れてあとは惰性で回転運動を保持してハンドルを回せば——あれ、本当にかたいな……。




 そんなこんなで苦労して1.8MPa弱(勘弁してもらった)まで溜め、圧力解放スイッチでホイールは無事にクルクル回りました。しかしこれ、いったいなんのデモ機なんでしょうか。そう尋ねると「オイルフリーエアコンプレッサです」と答えてくれた。




 大型トラックには高圧エアシステムが各所に用いられることから、コンプレッサが備わっている。潤滑のためにはオイルが必要。しかし高圧エア中にも当然ながらオイルミストは含まれてしまい、エアを用いる際にはそれを分離するためのドライヤーが必ず必要である。また、圧力解放時に(停車中にプシュー!とやっているのを聞いたことのある方もいらっしゃるだろう)たとえば基地などの「いつも同じ場所」で噴いた場合、地面にオイル染みができてしまうという。




 オイルはなくしたい。しかし潤滑性は保持しなければならない。そこでとった手段は樹脂製のコンプレッションリングだった。具体的な素材については教えてもらえなかったが、デモ機を手で回した限りでは渋さや引っかかりなどの違和感はなかった。しかしさすがに従来機と同等性能を実現するまでには至らず、ピストンスピードを抑えるためにショートストロークになってしまっているのが現状だという。オイルフリーを強く求められている状況で、早い実現を望みたい技術である。

デモ機の容量は170cm^3、ボア85×ストローク30mmと、ピストンスピードを抑える目的からショートストローク設計になってしまっているのが課題のひとつ。使用圧力は0.98MPa、最高回転数は2400rpm。水冷式としている。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 三輪精機:コンプレッサからオイルを除け!【東京モーターショー2019】